私たちは、「手を上げよう」と


　スポーツなどの専門分野では、「今度は絶対に成功するぞ」と思い込んでも「失敗したら大変だ」ということばに負けてしまう場合がある。成功した経験がないと、「成功」ということばでは脳は成功に向かってはたらかないからだ。これとは反対に、成功する人は成功を重ね「失敗する気がしない」と自信満々だ。どうしたら成功するかは、本人にも自覚されていないが、以前に成功した経験があると、そのときの脳のはたらきがひとりでに進行して、成功を重ねることになるのだ。

　言葉が行動のブレーキになることがある。

先日から体育の授業でマット運動が始まった。

私は後転が苦手で去年は何回かやるごとにできるようになったのだが、今年はできるのかが不安だった。最初の初回では思っていた通りできなかった。しかし、それは心の中で「どうせ無理だ」や「できない」と思っていたから現実になった。心の中で「無理」「できない」と思って自分に保険をかけるのは、人間の心理学的に行なっていることだと、聞いたことがある。これは、失敗したときのショックを減らすためや「できる」と思って挑んで失敗するとつらいから心の防衛になるそうだ。でも、「失敗してしまう」と思ってやると行動にブレーキがかかるので最初からできると信じて挑戦することの方が良いと思う。

　しかし、言葉が行動にプラスの影響を与える面もある。

運動会や体育祭のリレーで大勢から歓声を浴びて二、三人を一気に抜いて一位になる人をみたことがある。すごくかっこいいと思った。その子は走る前から「絶対勝つ」という気持ちもあったのかも知れないし、なかったかも知れない。だけど周りの歓声で自分の本当の実力を出して一位を取っていた。これは、周りの言葉がその子の行動にプラスの影響を与えていたと思う。

　確かに、言葉も成功した経験も大切だ。

しかし、一番大切なことは「天は自ら助くる者を助く」という諺があり、これは自分を信じて努力する人には、運も味方してくれるという意味だ。つまり、自分の考えを大切にし努力をしていると報われるということだと思う。