味覚

    ()  年月日

「うーん。」

 その声は、母が作った料理を見た時に思わず出てしまった声だ。その時作ってくれた料理は、グラタンカレーだ。それは、グラタンの中に、カレーを入れるものだ。わたしはそれが初めて出てた時に、

「はぁ?」

と声が漏れてしまった。わたしには、グラタンの中にカレーを入れるという発想がなかった。また、母はカレーの中に大根を入れる。丸く切った大根とにんじんと肉を入れてある。それが小さいころは、当たり前だと勘違いしていたが、友達とカレーの話になった時に

「それってマジで?」

と2回聞かれた。わたしはカレーもグラタンもとても苦手だった。

 しかし、わたしの父は、それらが大好きだった。わたしは信じられなかった。理由は、グラタンカレーは、カレーが好きだからだと言っていた。大根カレーは、大根のみずみずしさとカレーがマッチしているからだそうだ。わたしはそれを聞いて、そもそもカレー自体が美味しくなくて、大根はカレーに入れるものではないと思ってしまった。

 わたしのクラスでは、給食でピーマンが出たら、半数が喜び、半数が項垂れる。わたしは項垂れる一人だ。ピーマンが好きな人に好きな理由を聞いてみた。すると、苦さが美味しいそうだ。わたしは絶対痩せ我慢しているだろうと思った。ピーマンが苦手な理由は、苦いからだ。せっかく美味しい料理がピーマンが入ってしまっただけで毒物のようだ。

 人の味覚について調べてみると、味蕾にある味細胞の口内側で化学物質を受容して、体内側で味覚神経に情報を伝達して脳が味を認識するそうだ。味蕾の数に違いがあることや、味細胞の性質が少し異なるので、人によって味覚が違うそうだ。だいたい人は5000個くらい味蕾があるそうだ。

 十人十色という言葉があるように、人の食べ物の好みは人それぞれだということがわかった。