言葉の力

   中2 あうほか(auhoka)  2025年12月1日

  私たちは、手を上げようと思えば手が上げられる。手を上げるためには、たくさんの筋肉の複雑な収縮が必要だが、私たちはそれを何も知らない。なのに、なぜ手を上げられるのだろうか。要は、手を上げようという目標に向かって脳がひとりでに働くのだ。意志さえ強ければなんでもできるというわけではなく、経験と言葉が結びついていないといけない。また失敗するかもしれないと思うと、以前に失敗したときの脳のはたらきが進行して失敗してしまう。この現象は、言葉を持っている人間の特徴ともいえる。

 確かに、言葉が人にプラスの影響を与える面はある。誰だって、褒めてもらったら嬉しいだろう。誉めてもらうことはモチベーションUPにもつながるし、逆に褒められるために頑張ることもある。誰しも、大小に関わらず認めて欲しい、褒めて欲しいという承認欲求を持っているものだ。それに、プラシーボ効果、というものもある。実際には患者の病気に効果のない偽薬でも患者が薬が本当に効くと思ったら、実際に症状が改善されるという効果だ。プラスな言葉で人を信じ込ませれば、実際に体にもその影響が出るのだ。また、逆にマイナスな言葉がプラスな影響を生む場合もある。子供のころ、もし何か悪いことをしてしまっても、マイナスな言葉をかけられないと悪いことをしたと自覚できなくなってしまう。ただどんなことも褒めるだけじゃなく、時には厳しい言葉をかけることも大切だ。

 しかし、言葉が人にマイナスの影響を与えてしまう場合もある。とある言語学者が、こんな実験をした。まず、22人の孤児を集め、2つのグループに分ける。そして片方のグループには肯定的な言葉をかけ、もう片方のグループにはちょっとでも言葉が詰まったりしたら、それを注意して吃音であることが原因と何度も言い聞かせたそうだ。その後、否定的な言葉をかけ続けられたグループの子供たちは、全く吃音でなかった子まで吃音になってしまった。しかも、その症状は一生治ることがなかったという。大分非人道的な実験だが、言葉は人の人生を変えてしまうほどの力を持っているのだ。しかし、こちらも逆に、プラスの言葉が悪い影響を与えてしまう場合もある。先ほどの逆で、もし悪いことをしたのにプラスの言葉をかけてしまっては、それは相手のためにはならない。

 このように、言葉は人にいい影響も悪い影響も与える。しかし、一番大切なのは、「家とは、外から見るためのものではなく、中に住むためのものである」という名言がある通り、自分の言った言葉が相手にどんな影響を及ぼすか考え、相手のことを想った言葉を使うことなのだ。