◎書き出しの工夫:「おいしくなさそうな香り(かおり)……」
 おばあちゃんの家で食べたくずもちから『草のよう』なにおいがした。「おいしくないに違い(ちがい)ない」と決めつけながらも食べてみると、とても美味しくて感動したんですね。
<<え8003み>>たとえ:反対に期待を下回ったのは、高級チョコレート。四つか五つは『まるで点にも上るよう』な気持ちになったけれど、ブレッドオレンジ味だけは『ちょと甘く(あまく)しようとしたけれど、すぐその甘い(あまい)部分がとれちゃう薬みたい』だった。しかしその意見は、「高級」「お金がかかる」の期待に支配(しはい)されていたのだと気がつきました。
<<え8002み>>前の話聞いた話:お母さんは「黒毛和牛」や「無農薬の野菜」と聞くと美味しく感じてしまうとのこと。「先入観が働いている」状態(じょうたい)
<<え8004み>>わかったこと:『食べる前の情報(じょうほう)によってバイアスが働くため、同じものを食べても味の感じ方は異なる(ことなる)と分かった』。
<<え8003み>>ことわざの引用<<え8001み>>書き出しの結び:「色眼鏡(いろめがね)で見る」というけれど、『(わたし)はきれいな色眼鏡(いろめがね)をかけて食べることを楽しみたい』。わくわくしますね。

       <<え2018/159pみ>>


わかばさんの作文は、とてもよく考えられていて、食べ物の味が感情(かんじょう)や先入観によって変わることに気づいた点が素晴らしい(すばらしい)です。
具体的な体験として、祖母(そぼ)の家でのくず餅(くずもち)の話や、家族で食べた高級チョコレートの話が入っていて、文章に深みと説得力が出ています。
前の話や聞いた話がよく書けていて、読み手にわかりやすく伝わりました。
また、「まるで天に上るような気持ちになった」「薬みたいな味がする」などのたとえがうまく使われていて、味の違い(ちがい)をイメージしやすくしています。
ことわざの「色眼鏡(いろめがね)」も上手に使われていて、最後に自分の考えをまとめるのに役立っています。
「わかった」という言葉を使って、味の感じ方が変わることに気づいたことがよく書けています。
文章の流れも自然で、読みやすくまとまっています。
これからも自分の経験(けいけん)や周りの人の話を交えながら、考えを深めていってください。

項目(こうもく)評価(ひょうか)
具体的な体験の記述(きじゅつ):とてもよくできている
たとえの使用:うまく使えている
前の話や聞いた話:よく書けている
ことわざの使用:よく書けている
わかったことの記述(きじゅつ):よく書けている
書き出しの結び:よく書けている

内容(ないよう)◎ 構成(こうせい)◎ 題材◎ 表現(ひょうげん)◎ 主題◎ 表記◎

字数/基準(きじゅん)字数:1368字/800字
思考点:69点
知識(ちしき)点:61点
表現(ひょうげん)点:63点
経験(けいけん)点:74点
総合(そうごう)点:72点
均衡(きんこう)点:5点

 


■思考語彙 17種 21個 (種類率81%) 69点
、きっと,。しかし,。だから,。考える,あると,しまうらしい,しよう,たから,だろう,と思う,みると,乗ると,働くため,思い返すと,情報によって,比べれば,聞くと,

■知識語彙 34種 47個 (種類率72%) 61点
不人気,不評,今回,先入観,十分,反動,反対,和牛,変換,大切,家族,左右,後味,情報,意味,意見,感動,感情,支配,料理,普通,期待,状態,現象,経験,絶対,自身,色眼鏡,辛口,農薬,部分,野菜,高級,黒毛,

■表現語彙 77種 135個 (種類率57%) 63点
お金,がら,きれい,くず餅,こと,ことわざ,さ,そう,それ,それぞれ,たち,とき,どれ,みたい,もの,よう,チョコ,チョコレート,バイアス,パターン,一つ,不人気,不評,事,五つ,今,今回,倍,働くため,先入観,前,十分,反動,反対,味,和牛,四つ,変換,大切,天,家族,左右,後味,情報,意味,意見,感じ,感動,感情,支配,料理,方,普通,期待,母,気持ち,父,状態,現象,私,経験,絶対,自身,舌,色眼鏡,薬,辛口,農薬,違い,部分,野菜,限り,頭,顔,食べ物,高級,黒毛,

■経験語彙 37種 54個 (種類率69%) 74点
。考える,かかる,かける,くれる,しかめる,しまう,すぎる,ちゃう,つかう,てる,とれる,と思う,もらう,られる,れる,上る,下回る,乗る,働く,分かる,尋ねる,応える,思い出す,思い返す,感じる,持つ,教える,楽しむ,比べる,決まる,決めつける,溶ける,異なる,聞く,買う,起きる,食べる,

■総合点 72点

■均衡点 5点
 

食べるときにも先入観?
   小5 わかば(akahime)  2025年12月1日

 「おいしくなさそうな香り……」

私の家族はおいしいものに目がない。他の家族がキャンプ・家庭菜園等に夢中になるのと同じようにおいしいものに夢中になっている。そんな美味しいものを探すために父と母は「〇〇牛」等の情報に敏感になっている。私はそういうものに注目しないし、賞味期限等も確認しないから、まだおいしいものを見つける能力を手に入れていない。だから着々とゆっくり学んでいきたい。私の中ではおいしいものを見つける能力、というのに、五感は入っていない。しかし、今私はその能力の定義に五感を入れるべきなのか迷っている。匂いだとか、色だとかが変わると味が変わるのか知らないからだ。

 私は祖母の家にくず餅を食べに行ったことがある。そのとき、なぜかくず餅から草のような変なにおいが出てきた。おいしくないに違いない、と決めつけながらも恐る恐る食べてみるととても美味しくて感動した。私は、今回の期待していなかったものがおいしく感じる、くず餅のようなパターンとは反対の、期待を下回ったパターンも経験したことがある。それは、父が私と母、そして父自身に買った高級チョコレートだ。私と母はそれぞれ四つか五つのチョコレートをそれぞれもらい、大切に食べた。どれも舌に乗るとすぐに溶けていき、まるで天に上るような気持ちになった。しかし、一つのブレッドオレンジ味のチョコレートだけ、家族に不評だった。そのチョコレートは後味が苦くて、『ちょっと甘くしようとしたけど、すぐその甘い部分がとれちゃう薬』みたいだった。母は

「薬みたいな味がする」

と顔をしかめた。それを聞いた私が、そのチョコレートを食べ、

「高級なのにこの味だとね。」

といった。今思い返すと意見が辛口すぎたとは感じる。しかし、そのときは本当にそう感じたのだ。考えてみると、きっと私たちは『高級』『お金がかかる』という情報を持っていて期待もしていた。しかし、その分期待に応えられなかったチョコにがっくり来てしまったのだろう。普通のチョコレートと比べればそれも十分おいしかったのだ。それなのにこんなにも不人気だったのはやはり、私たちの頭がお金がかかる、とか高級とかいう事で支配されていたからに違いない。くず餅についても、美味しくなさそう、と期待していなかった反動で、『おいしい』が倍になって『とってもおいしい』に変換したのだ。このことから、私は料理や食べ物の味は感情でも左右されるのではないかと思った。

 母に、私のような経験はないかと尋ねてみると、黒毛和牛や、無農薬の野菜などと聞くと、実際少し美味しいくらいでもとっても美味しく感じてしまうらしい。母はその状態のことを『先入観が働いている』というのだと教えてくれた。それを聞いて、私もその現象が起きてしまうことを思い出した。そのような情報があると『絶対美味しいに決まってる!』と決めつけてしまう。だからおいしくないことがない限り、普通の味でも感動するのだ。

 食べる前の情報によってバイアスが働くため、同じものを食べても味の感じ方は異なると分かった。色眼鏡で見る、ということわざがある。このことわざは悪い意味でつかわれることがあるが、私はきれいな色眼鏡をかけて食べることを楽しみたい。