私たちは、「手を上げよう」と(感)

   中2 なかそう(nakasou)  2025年12月1日

  私たちは「手を上げよう」と思うだけで手を上げられるが、これは複雑な筋肉の動きを意識しているのではなく、過去の経験と「手を上げる」という言葉が結びつき、脳が無意識に働くためである。このような随意運動は、泳ぎのように経験がなければ言葉だけで実行できない。反対に、「失敗するかもしれない」と思うと本当に失敗することがあり、これは過去の失敗経験が言葉によって呼び起こされる自己暗示である。成功についても同様で、成功経験がなければ「成功」という言葉で脳は働かないが、成功を重ねた人はその経験によって自然に成功を導く脳の働きが進行する。こうしたように、言葉と経験の結びつきが、私たちの行動に大きく影響している。

 確かに、言葉が行動にプラスの影響を与える面はある。たとえば私は、以前テスト前に緊張して頭が真っ白になりかけたことがあった。しかし、そのとき「前に解けた問題なら今回も解けるはずだ」と自分に言い聞かせると、過去に同じような問題を解いた経験がよみがえり、落ち着いて取り組むことができた。結果として、最初の不安が嘘のように集中でき、普段通りの力を発揮することができた。このように、前向きな言葉は不安を和らげ行動を助けるが、その背景には必ず過去の成功体験があり、言葉はその経験を呼び起こす“きっかけ”として働いているのだと実感した。

 しかし、言葉が行動のブレーキになることもある。たとえば昔話の「わらべ長者」では、最初のわらを手にした青年は、もし「こんなものでは何もできない」と思い込んでいたら、その後の行動はすべて止まってしまっただろう。実際、私たちも「どうせ無理だ」「失敗するに決まっている」といった言葉を心の中でつぶやくと、それが脳の働きを妨げ、行動する前に諦めてしまうことがある。もし青年が自分の手にあるわらを「役に立たないもの」と決めつけていたら、人に渡してミカンを得ることも、その後さまざまな物と交換していくこともなかったはずだ。つまり、否定的な言葉は経験を生み出す機会を奪い、成長の道を閉ざしてしまう。昔話であっても、言葉が人の行動を進めたり止めたりする力を持つことをよく示しているのである。

 確かに言葉には大きな力がある。しかし、大事なことは、『短所をなくすいちばんよい方法は、今ある長所を伸ばすことである』という名言もあるように言葉の長所をうまく使っていくことだ。