言葉の力について、あなた自身の体験や物語を交えて深く考えられていて、とても読みごたえのある意見文でした。進級試験合格です。
<<え2005/54み>>
【総評】
「言葉が行動に与える影響」というテーマをもとに、自分の経験と昔話の実例を交えながら、説得力のある意見を展開しています。中でも、スキーのエピソードや「三年寝太郎」の分析が効果的で、読者に具体的なイメージを与える力があります。最後の段落では意見を総合的にまとめ、名言を引用して主張を力強く締めくくっており、中学二年生の指導項目である「総合化」や「名言の引用」がしっかりできています。
【段落ごとの講評】
第1段落:抽象的なテーマですが、読み手に主題がしっかり伝わっています。冒頭の「経験と言葉が結びついて行動が起こる」という導入は印象的で、読み手の関心をひきつけました。
第2段落:スキーの体験を通して、言葉の持つ「前向きな力」を説得力ある形で表現しています。「お前ならできるよ」という具体的な言葉と、それに対する自分の心の動きがていねいに描かれており、読者が共感しやすくなっています。自分自身にかける言葉の例も加え、広がりのある展開になっています。
第3段落:昔話「三年寝太郎」を取り上げたことで、テーマに奥行きが出ました。否定的な言葉が人に与える影響と、それを乗り越えた寝太郎の姿がしっかり対比されており、読み手に考えさせる内容となっています。「もしその言葉がもう少し温かいものであれば」という考察も、自分の意見を深めていて良いですね。
第4段落:最終段落では、肯定的・否定的な言葉の両面をふまえて、「言葉に振り回されず、自分の信念を持って行動すること」の大切さを示しています。名言の引用とそれに続く自分の意見も自然に結びついており、主題の総合化ができています。
【特に優れていた点】
・主題に対して自分の意見を明確に述べている
・体験談と昔話の実例を使って説得力を高めている
・反対意見に触れたうえで意見を総合的にまとめている
・名言を引用し、考えに深みを与えている
【考えを深めるための質問】
もしあなたが誰かに言葉をかける立場になったとき、その人がどんな気持ちでいるかを考えたうえで、どんな言葉を選びたいですか?
字数/基準字数:1452字/1000字
思考点:77点
知識点:78点
表現点:78点
経験点:97点
総合点:84点
均衡点:2点
■思考語彙 20種 27個 (種類率74%) 77点
しかし, 確か,。しかし,。だからこそ,。もちろん,あれば,たかも,たから,たため,できるはず,と思う,のため,は確か,人に対して,信じざる,働かざる,止めよう,言葉によって,貸さざる,進むため,
■知識語彙 58種 101個 (種類率57%) 78点
一変,一番,一言,不安,人間,仕事,以上,以前,作業,信念,典型,判断,勇気,否定,周囲,嘲笑,場面,大丈夫,大切,太郎,失敗,姿勢,存在,希望,年間,影響,必要,態度,成功,成果,成長,挑戦,挫折,昔話,最初,期待,本人,村人,根拠,楽観,無駄,物語,発揮,直感,積極,経験,結果,練習,背中,自分,自身,行動,言葉,計画,試験,陰口,集中,青年,
■表現語彙 110種 187個 (種類率59%) 78点
確か,お前,かぎり,きっかけ,くせ,ここ,こと,せい,たため,たち,だめ,できるはず,とき,ところ,のため,は確か,もの,やる気,よう,わけ,アドバイス,ケラー,ブレーキ,ヘレン,一変,一番,一言,三,不安,中,人,人間,仕事,以上,以前,何,何もかも,作業,信念,典型,判断,前,前向き,力,勇気,否定,周囲,嘲笑,堰,場面,声,大丈夫,大切,太郎,失敗,姿勢,存在,希望,年,年間,影響,彼,心,必要,怠け者,態度,成功,成果,成長,挑戦,挫折,方,日,日々,昔話,最初,期待,本人,机,村,村人,根拠,楽観,気,気持ち,水,無駄,物語,発揮,的,目,直感,私,積極,経験,結果,練習,耳,背中,自分,自身,行動,言葉,計画,試験,誰,進むため,陰口,集中,青年,
■経験語彙 52種 91個 (種類率57%) 97点
かける,くれる,しまう,しれる,つながる,できる,と思う,やめる,やり遂げる,られる,れる,与える,作る,信じる,偏る,傷つく,働く,勇気づける,動く,取り戻す,受け取る,向かう,和らげる,変わる,失う,奪う,寄せる,寝る,引く,感じる,成し遂げる,押しつぶす,押す,振り回す,描く,放つ,教える,止める,消える,灯す,立てる,続ける,言い聞かせる,負ける,貸す,起き上がる,起こる,進む,進める,選ぶ,間違う,頑張る,
■総合点 84点
■均衡点 2点
前向きな言葉の価値
中2 あえさみ(aesami)
2025年12月1日
経験と言葉が結びついて行動が起こる。スポーツで「腰を入れる」などという言葉は、その経験がないと実行できない。逆に「失敗すると大変だ」という言葉を考えると、それが過去の失敗の経験と結びついて実現してしまうことがある。私たちはたえず自己暗示によって行動している。
確かに、言葉が行動にプラスの影響を与える面はある。人は、誰かにかけられた言葉をきっかけに、自分では気づかなかった力を発揮したり、一歩踏み出したりすることがある。前に、スキーで思うように滑れず、思うように結果が出ず、落ち込んでいたとき、コーチから「お前ならできるよ」と声をかけられた経験がある。その一言は根拠のあるアドバイスではなかったかもしれないが、私の中の消えかけていたやる気をもう一度灯してくれた。結果として練習に向かう姿勢が積極的になり、以前より成長を感じられるようになった。また、人に対してだけでなく、自分自身にかける言葉も行動に影響を与える。試験前に「もうだめだ」と思うのか、「ここまで頑張ったから大丈夫」と言い聞かせるのかで、机に向かう気持ちは大きく変わる。前向きな言葉を選ぶことで、不安を少し和らげ、集中力を取り戻すことができる。もちろん、言葉だけで何もかもが変わるわけではない。しかし、行動の背中をそっと押してくれる力は確かに存在する。人は言葉で傷つくこともあるが、同じように言葉によって勇気づけられ、良い行動へと向かうこともできるのだ。だからこそ、私は日々の中でできるだけ温かく前向きな言葉を選びたい。
しかし、言葉が行動のブレーキになることもある。昔話の「三年寝太郎」には、その典型的な場面が描かれている。寝太郎は三年間も働かず寝てばかりいる青年だったため、村人たちは「怠け者だ」「何を言っても無駄だ」と陰口を言い続けた。その言葉のせいで、寝太郎はますます行動する気を失い、村人たちも彼に期待を寄せることをやめてしまった。周囲の否定的な言葉が、本人にも周囲にもブレーキをかけていたのである。ところがある日、寝太郎は突然起き上がり、村のために大きな堰を作る計画を立てる。しかし最初は誰も信じず、「寝てばかりのくせに」「できるはずがない」と嘲笑した。こうした言葉は寝太郎の行動を止めようとする強い力になったが、彼はあえて耳を貸さずに作業を進め、ついに村に水を引くという大仕事をやり遂げた。すると村人たちの態度は一変し、寝太郎を見る目も変わった。この物語は、言葉が人の行動にどれほど影響を与えるかを教えてくれる。何気なく放たれた否定的な言葉は、意外と人間の勇気を奪い、挑戦する気持ちさえ押しつぶしてしまう。しかし、もしその言葉がもう少し温かいものであれば、寝太郎はもっと早く力を発揮できたかもしれない。だからこそ私は、誰かの行動を必要以上に止めてしまう言葉ではなく、前に進むための言葉を選びたいと思う。
確かに言葉には大きな力がある。しかし、一番大切なことは、言葉に振り回されないことだ。言葉は時に、偏っていたり、間違っていたりする。何が正しいのかを自分で判断しなくてはならない。言葉はきっかけにはなるが、成功も失敗も、自分が動かないかぎり起こらない。良い言葉でも受け取り方で変わる。自分を信じることが挫折に負けない心につながると思う。「楽観は成果につながる信念である。希望なしでは何も成し遂げられない。」とヘレンケラーはいった。前向きに自分の言葉や直感を信じて行動していきたい。