意見を尊重することの大切さ
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欧米人は「いいえ」や「はい」をはっきり言うが、日本人は「いいえ」と言うのをためらう。この違いは、否定している対象の違いにもとづく。日本語の否定は「質問」の文型あるいは質問者の意向に向けられているが、英語の否定は質問を受ける側の、現実の行為の有無に向けられている。日本人の控え目な表現は、日本人には通じるが、外国人にとっては解しがたいことが少なくない。
日本人が「いいえ」をはっきり言わないのは相手に対する思いやりの気持ちが働くからだと考えた。私の名前は珍しいので、よく間違えられる。「ほのみ」と言う名前は少ないので、「ほのか」や「ほなみ」とよく間違えられるのだ。初めて会った人には名前をなかなか聞き取ってもらえない。初対面の人なら間違えられても『「ほのみ」です。』と言い直すことができる。しかし、名前を知っているはずの人が、私のことを間違った名前で自信満々に呼んでくることがある。このような場合、なかなか名前が違うと言うことができない。自分が誰かの名前を間違えた時、とても申し訳なく思ったことがある。この経験から、私はあまり気にしていないのに、相手にそのように思って欲しくないと思う。これは、相手への思いやりの気持ちを持っているからこその行動なのではないだろうか。私は最近通い始めた英会話の教室で、名前を「ほなみ」と間違えられている。先生が一度気がついて直してくれたが、一緒に習っている生徒の人は、すぐにまた戻ってしまった。自分からは言いにくいので「名前はほのみです。」とは未だ言えていない。このように、必ずしも「いいえ」と言えないことが悪いことではないと考えた。
しかし、欧米人のように「いいえ」をはっきり言うことも大切だ。アメリカで「いいえ」とはっきり言うことができる人と、言えない人に分け、一年間どのくらいのミスが起きたかを調べた研究が行われた。アメリカのIT、医療、教育、製造、事務などの業界の企業、二十社以上で働く600人以上の社会人を対象に研究が行われた。まず、アンケートで「頼まれたら断れるか」など20問以上で「いいえ」と言えるかをスコア化した。 スコアの低い人は「NOが言えない人」、 スコアの高い人は「NOを言える人」とした。次に、対象者すべての人のミスの件数や期限遅れ、作業のやり直し、報告漏れ、クレーム数など企業から提供されたリアルな業務データを使用し、実際の仕事のデータを一年間収集した。その後、アンケート結果と仕事のデータを統計的に比較し、「NOを言える力」と「ミスの数」の関連を分析した。その結果、 NOと言える人はミスが少なく、自分の作業に集中でき、上司評価も高い傾向似合った。しかし、断れない人はミスがその1.34倍 、遅れは1.29倍 、仕事の質は下がりやすく、上司評価もやや低かった。この結果となった原因は、仕事が増えすぎたことによって、注意が散り、効率が下がったことや、仕事が終わらず、夜遅くまで作業し、ミスが増えたことだ。研究者のコメントでは『断れないことは「優しさ」ではなく、パフォーマンスを下げる要因』とはっきり書かれていた。このように、「いいえ」とはっきり言うことは大切だと考えた。
確かに、自分の意思をはっきり伝えることも、相手を思いやることもどちらも大切だ。しかし、一番大切なことは、「まず理解に努め、次に理解されるように努める」と言う名言があるように、時と場合に応じてはっきり言うべきときとそうでない時を見分け、相手の考えも自分の考えも尊重できるようにすることだと考えた。そして、自分が仕事を抱え込みすぎないようにしっかりと断ることも大切だ。また、時には思いやりの気持ちも大切にしたい。