自分の考えを深く掘り下げ(ほりさげ)て、堂々と書いている姿勢がとても立派です。読む人に力を与える(あたえる)作文でした。

<<え2019/203jみ>>

【総評】
 「国際化」という大きなテーマから出発し、「自分を基準に生きること」の大切さを丁寧(ていねい)に論じた意見文です。身近な体験と歴史的な実例(ガリレオの話)をうまく対比させており、説得力があります。構成も四段落で整っており、中三の意見文の指導項目(こうもく)をしっかり押さえ(おさえ)た良質な文章でした。

【段落ごとの講評】
第1段落:「国際化」という抽象(ちゅうしょう)的な言葉に疑問を持ち、自分の考えにつなげる導入が秀逸(しゅういつ)です。「私は他の人を基準にするのではなく、自分自身を基準とするような生き方をしたい。」という主題が明確に示されており、読者の関心を引きつけます。

第2段落:日常の身近な体験(テストの点数や(じゅく)でのエピソード)を具体的に描き(えがき)、自分の感情や行動がリアルに伝わります。ユーモア表現(表を破いて捨てる行動)も含ま(ふくま)れ、読み手に印象を残します。「昔の自分と比較(ひかく)する」という考え方がよく整理されており、意見の根拠(こんきょ)として十分です。

第3段落:伝記実例としてガリレオを取り上げ、歴史的背景と自分の思考をつなげた展開が見事です。「もし私が(かれ)だったら~」という想像も入っており、文章に深みがあります。ガリレオの信念と自分自身の心の弱さを対比させることで、読者に「自分ならどうか?」と問いかける力を持っています。

第4段落:反対意見への理解(比較(ひかく)することも大切)を示した上で、「百人中九十九人が賛成していても反対を貫く(つらぬく)」自分の意思を強く打ち出しています。冒頭(ぼうとう)の問題提起と対応した結びになっており、作文全体が一本の筋でつながっていて完成度が高いです。

【特に優れていた点】
・四段落構成に沿って論理的に展開できている
・身近な実体験と歴史的な伝記を効果的に組み合わせている
・ユーモアを交えた表現や想像を取り入れ、読者を引き込む(ひきこむ)工夫ができている
・反対意見にも触れ(ふれ)たうえで、自分の主張を強く打ち出している

【考えを深めるための質問】
 あなたが「自分を基準に生きる」ことを選んだとき、どんな困難があると思いますか?それをどう乗り越え(のりこえ)たいですか?

△第一の方法として……→第一の方法は……ことだ。

字数/基準字数:1312字/1000字
思考点:95点
知識点:85点
表現点:83点
経験点:76点
総合点:87点
均衡(きんこう)点:3点

 


■思考語彙 27種 36個 (種類率75%) 95点
 確か, 第,。きっと,。しかし,。たとえば,。なぜ,。もちろん,。確か,が考える,しまうから,すれば,たから,だろう,て考える,できるから,と思う,と考える,と言える,なかろう,なければ,なので,のため,べき,れざる,を第,事実こそ,信じるべき,

■知識語彙 69種 120個 (種類率58%) 85点
一番,不安,事実,他人,位置,優秀,先月,判断,勉強,勿体,反対,反省,周囲,地動説,基準,大切,天動説,姿勢,学校,学者,安心,宗教,少数,常識,平均,当時,意思,意見,成功,成績,成長,批判,授業,支持,方向,方法,最善,最近,望遠鏡,模索,正答,毎月,比較,点数,状況,理由,発展,発見,目標,相手,真理,科学,簡単,素直,結果,絶対,自信,自分,自身,裁判,観察,言葉,論理,貢献,賛成,返却,追究,達成,集中,

■表現語彙 121種 219個 (種類率55%) 83点
 確か,。確か,うち,こと,これ,さ,それ,とおり,どこ,のため,もの,よう,ガリ,テスト,リセット,レイ,レオ,一,一番,不安,中,九,事実,二,人,他,他人,位置,優秀,先月,判断,勉強,勿体,十,反対,反省,周り,周囲,地動説,基準,場,塾,多く,大切,天動説,姿勢,学校,学者,安心,宗教,家,少数,差,常識,平均,当時,彼,後,意思,意見,成功,成績,成長,手,批判,授業,支持,方向,方法,日,昔,時,最善,最近,望遠鏡,本,模索,正答,毎月,比較,気,派,点,点数,焦り,状況,率,理由,生き方,発展,発見,百,目,目標,相手,真理,私,科学,簡単,紙,素直,結果,絶対,考え,考え方,者,自信,自分,自身,表,裁判,観察,言葉,論理,貢献,賛成,返却,追究,達成,集中,非,

■経験語彙 38種 62個 (種類率61%) 76点
かける,が考える,しまう,すぎる,つながる,て考える,できる,と思う,と考える,と言える,やる,られる,れる,下がる,作る,信じる,学ぶ,帰る,当てはまる,従う,持つ,挙げる,捨てる,止まる,流す,焦る,生きる,知る,破く,確かめる,示す,褒める,認める,諦める,負ける,遠ざかる,配る,重ねる,

■総合点 87点

■均衡点 3点
 

自分自身
   中3 あおてね(aotene)  2025年12月2日

  「国際化」とは一体何だろうか。わけもわからずこの言葉を合言葉にように振り回して、日本を一定の方角へ闇雲に駆り立ててしまう前に、いま冷静に踏み止まって言葉の意味を問い直し、その用法を吟味し、他国との比較を試み、その上で進むべき方向を模索しても遅くはないのではなかろうか。私は他の人を基準にするのではなく、自分自身を基準とするような生き方をしたい。

 第一の方法として、他人のことは気にしすぎない。学校でテストが返却される時、相手の点数が気になってしまう。これは多くの人が当てはまるだろう。もちろん私もそうだ。相手の点数を見た時、自分より低かったら安心するが、自分よりも高かったら焦るのだ。確かに、平均点や周りの人の点数を見て自分の位置がどこにいるか知ることは大切だ。しかし、勉強において大きな焦りや不安を作ることはよくない。なぜならモチベーションが下がってしまい、自分の成長が止まってしまうからだ。私の塾では毎月成績優秀者の表が配られる。先月その表を見た時、自分との差が大きく、焦った。その結果、その日の授業の正答率がいつもより低くなっていた。私は「絶対あの表を見たからだな。」と思い、家に帰って表の紙を破いて捨てた。そうすることでまたリセットし、勉強に集中できるからだ。このことから、一番最善の方法は昔の自分と比較することだ。成長したら自分を褒め、下がってしまったなら反省をすれば良いのだ。勉強は他人のために勉強するのではなく自分のためにするものなので周りのことはあまり気にしなくて良いのだ。

 第二の理由として、自分自身を基準にする考え方の良さを学ぶ。たとえば、ガリレオ・ガリレイという人の生き方は、自分自身を基準にして考えることの大切さを示している。

当時は天動説が常識とされ、多くの学者もそれに従っていた。しかし、ガリレオは、望遠鏡による観察を重ねるうちに、自分の目で確かめた事実こそ信じるべきだと考え、地動説を支持した。しかし、周囲から批判され、宗教裁判にもかけられたが、それでも自分の観察と論理を基準に真理を追究した。その姿勢が、後の科学の発展に大きく貢献したのである。もし私が彼だったら、「地動説だ。」という考えを諦めると思う。きっと私は周囲の批判に負けて諦める。また、宗教裁判にかけられてしまったら素直に自分の非を認めるだろう。しかし、そう簡単に諦めてしまうことは勿体無いということを最近本を通して学んだ。このことから、他人の意見やその場の常識に流されず、自分の判断を大切にすることが、新しい発見や成長につながると言える。

 確かに、相手と比較することも大切だ。しかし、「自分が考えるとおりに生きなければならない。」という言葉があるように、周囲の人に流されにくい人になりたい。周囲に流されやすいと自分のやりたいこと、達成したい目標に遠ざかってしまう。成功する人ほど少数派意見の人が多い。自分が反対だと思っていたら百人中九十九人が賛成していた。そのような状況であっても、自信を持って反対に手が挙げられるように、これからも自分の意思を第一にしていきたい。