ことばの使い方と文化の違いについて、深い考察を自分の経験や引用を交えて書けていて、読んでいてとても引きこまれました。
<<え2016/153pみ>>
【総評】
言語文化における「否定」のあり方という難しいテーマに対して、英語と日本語の文化的背景をふまえながら、非常に論理的で説得力のある構成で意見が述べられています。体験談や昔話の引用、名言の活用も自然で、自分の意見を多面的に展開する文章構成力が高く評価できます。最終段落では、自分の考えをより大きな視点から一般化しており、内容の深まりと論理の完成度が非常に高い意見文です。
【段落ごとの講評】
第1段落(要約・状況説明):言語の特徴と文化の違いに注目した客観的な説明が的確で、読者の興味を引きます。英語と日本語の違いの分析が簡潔ながら深く、知的な書き出しです。
第2段落(意見①):校外学習での体験を具体的に描写することで、曖昧な返答の危険性が実感をもって伝わります。自らの過去の反省を交えている点も誠実で説得力があります。
第3段落(意見②):相手への配慮の必要性を御伽話の浦島太郎に重ねる発想がユニークで、文化的教養も感じられます。意見と反対意見のバランスが非常に良いです。
第4段落(総合化・主題):岡本太郎の名言を引用し、自分の主張を「明瞭な意見を持つことの大切さ」に結びつけてまとめており、文全体を高い抽象度で締めくくっています。表現力、論理性ともに秀逸です。
【特に優れていた点】
・言語と文化に関する高い視点からの考察ができている
・体験談、昔話、名言をバランスよく活用し、説得力を高めている
・意見文の構成(主張→理由→反論→総合化)が明確で論理的
・抽象と具体のバランスがよく、読み手に伝わりやすい文章になっている
【考えを深めるための質問】
自分の意見を明確に伝えるために、どのような言い方や工夫をこれから意識してみたいですか?
字数/基準字数:1273字/1000字
思考点:92点
知識点:82点
表現点:82点
経験点:82点
総合点:90点
均衡点:6点
■思考語彙 26種 31個 (種類率84%) 92点
しかし,。しかし,あるかも,あろう,いれば,ことによって,すれば,せざる,そのため,たので,だろう,と場合,と思う,なければ,にくいはず,のに対し,及ぶ可能,受け止めるべき,場合によって,変わるはず,態度によって,招く可能,歌えば,相手によって,笑おう,笑わまい,
■知識語彙 65種 113個 (種類率58%) 82点
不愉快,乙女,事実,他人,側面,判断,否定,困惑,大切,大変,太郎,学習,実施,宮城,尊重,少年,岡本,常態,形式,後日,御伽,必要,意味,意図,意見,態度,批判,担当,文章,方法,日本,日本語,明瞭,明確,時間,曖昧,校外,検討,浦島,漁師,理由,的確,目的,相手,示唆,立場,総合,肯定,自信,自分,英語,行動,表情,要項,記述,誤解,調子,質問,返事,部分,配慮,重要,鎌倉,限定,風景,
■表現語彙 120種 200個 (種類率60%) 82点
うち,おかげ,こと,そうこう,そこ,そのため,それ,たち,ため息,とき,ところ,と場合,にくいはず,ほう,ほか,もの,よう,ウミガメ,ページ,レポート,一つ,不愉快,乙女,事実,人,他人,体,側面,判断,別,及ぶ可能,否定,困惑,変わるはず,大切,大変,太郎,学習,実施,宮城,尊重,少年,岡本,常態,形式,後日,御伽,必要,思い,思いやり,性,意味,意図,意見,感じ,態度,批判,担当,招く可能,控えめ,敬,数,文章,方,方法,日本,日本語,明瞭,明確,時,時間,曖昧,校外,検討,歌,気,気持ち,浦島,漁師,班,理由,的,的確,目的,相手,示唆,私,立場,竜,答え,総合,締め切り,考え,考え方,肯定,自ら,自信,自分,英語,行動,表情,要項,記述,話,話し手,誤解,調子,質問,返事,逆,達,部分,配慮,重要,鎌倉,間,限定,陸,際,風景,
■経験語彙 42種 63個 (種類率67%) 82点
いじめる,おく,しまう,しれる,つながる,できる,とどまる,とる,と思う,もつ,もらう,られる,れる,上がる,伝える,伝わる,作る,傷つける,分かる,助ける,及ぶ,受け止める,合わせる,変わる,戻る,招く,持ち合わせる,持つ,書く,歌う,気遣う,済ませる,済む,生む,示す,笑う,聞く,落とす,表す,言い出せる,連れる,過ごす,
■総合点 90点
■均衡点 6点
返事の仕方
中2 あおらえ(aorae)
2025年12月2日
一般に欧米人は、否定する際に強い口調で答える。その一方で、日本人は、「いいえ」をやや控えめにいう習慣がある。肯定と違い、否定では、無意識に声を落としてしまう。日本語と英語とでの、否定の質問に対する答えが逆になるように、英語では事実をみて否定するのに対し、日本語では話し手の立場に合わせて返事をする。よって英語では、事実を事実として否定することが相手の尊重にもつながるが、日本語では考え方や感じ方の批判に及ぶ可能性がある。そのため、否定が限定されることを控えめな態度によって示唆している。調子や表情を総合的に判断することが大切だ。返事は、困惑を表すため息のようなものと受け止めるべきであるかもしれない。
質問されたときに、はっきりと肯定もしくは否定をし、自らの立場を明確にしておくことは重要だ。曖昧な態度をとることによって、相手の誤解を招く可能性もある。校外学習で鎌倉へ行った際に、私たちは班別行動をした。その班でレポートを作る必要があったのだが、そのレポートの数ページを私は担当した。そのときに、ほかの部分を担当している人に、文章は敬体で書くのか、と聞かれた。しかし、私も自信をもって返事をできなかったので、曖昧に返事をしておくことで済ませた。後日レポートの実施要項を見てみたところ、レポートは常態で、と書かれている。締め切りがまだであったので大変なことにならなかったが、ほかの人に聞いていればよかったと思っている。
しかし、時にはっきりとした否定は相手を傷つけることもある。相手に配慮して、思いやりの気持ちを持ち、暗に示すことも大切だ。そうすれば、相手も気遣っていると分かるだろう。日本には浦島太郎という御伽話がある。少年達にいじめられていたウミガメを助けた漁師の浦島太郎は竜宮城に連れて行ってもらう。そこであった乙女たちと共に過ごす間、陸に戻りたいと思いながら、なかなか気遣って言い出せなかった。そうこうしているうちに、長い時間を過ごしてしまうことになってしまったのだ。浦島太郎が陸へ上がった時には風景がだいぶ変わったとの記述があるが、なかなか戻りたいと言い出せなかったのも理由の一つであろう。しかし、それのおかげで乙女は不愉快な思いをせずに済んだ、という側面もある。
質問されたときに、はっきりと否定することが良い時もあるし、或いは相手に配慮して示唆するにとどまるだけのほうが良い時もある。それは、相手によっても変わるが、時と場合によっても変わるはずだ。しかし、「他人が笑おうが笑わまいが、自分の歌を歌えばいい」と岡本太郎は言った。相手の質問に対する返事の方法や形式を気にするよりも、自分の意図や考えをはっきりと持ち、的確に伝えられるようにすることが重要だ。そもそも、自分のはっきりとした意見という目的を持ち合わせてなければ、返事という方法をいくら検討したところで意味はそれほどないと思う。自分のはっきりとした、明瞭な意見を持つことで、相手にも多少は伝わるし、誤解も生みにくいはずである。