考えの深さと言葉の選び方にとても感心しました。書きながら世界のこと、自分のことをしっかり見つめている姿勢が伝わってきました。

<<え2016/128pみ>>

【総評】
 「個人の利益」と「全体の利益」のバランスについて、宇宙飛行士の体験から始まり、学校行事や昔話、そしてガンディーの名言へとつながる、非常にスケールの大きな構成になっています。導入のシュワイカートの描写(びょうしゃ)は印象的で、読者を一気に引き込む(ひきこむ)力がありました。また、体育大会でのエピソードや「かさじぞう」の話も、自分の主張を支える例としてうまく生かされています。結論部では、単にバランスの大切さを述べるだけでなく、「行動することの重要性」へと展開し、視野をさらに広げている点がとても素晴らしいです。

【段落ごとの講評】
第1段落(主題・導入):
 宇宙飛行士の体験を取り上げ、「個の意識から地球意識へ」という哲学(てつがく)的なテーマで文章を始めた点が高く評価できます。読者に深く考えさせる力のある導入です。

第2段落(意見A:自分の利益):
 体育大会という具体的で身近な経験を通して、自分の利益がパフォーマンス向上につながることを説得力をもって説明しています。努力の過程も丁寧(ていねい)描写(びょうしゃ)されており、共感を呼びます。

第3段落(意見B:他人・全体の利益):
 「かさじぞう」の昔話を取り上げることで、利他の精神がもたらす良い結果を印象的に伝えています。スポーツマンシップとの結びつけも自然で、文脈の展開がスムーズです。

第4段落(まとめ):
 個と全体の利益のバランスから、「考えるだけでなく行動することの重要性」へと発展させた結論は、非常に成熟した視点です。ガンディーの名言の引用も効果的で、メッセージ性の強い締めくくり(しめくくり)になっています。

【特に優れていた点】
・導入から結論まで一貫(いっかん)したテーマのもとに論理的に構成されている
抽象(ちゅうしょう)的な主張を具体的な実例でしっかり支えている
・引用(昔話・名言)を自然に組み込み(くみこみ)、深みのある主張を展開している
・「考え」から「行動」へと結論を高めている点に独自性と成熟を感じる

【考えを深めるための質問】
 あなたは「行動することが大切」と考えていますが、まず自分自身が日常でできる小さな一歩にはどんなことがあると思いますか?
思考点:100点
知識点:97点
表現点:104点
経験点:97点
総合点:106点
均衡(きんこう)点:7点

 


■思考語彙 29種 34個 (種類率85%) 100点
。しかし,。場合,うから,ことこそ,ことによって,このため,しよう,すぎると,そのため,たため,ただ考える,だろう,つけるため,と思う,と考える,ないと,ながら考える,ならざる,によってこそ,に思う,に考える,のため,は可能,を考える,場合によって,常に考える,社会にとって,行動によって,買おう,

■知識語彙 85種 124個 (種類率69%) 97点
不利益,世界,中心,人間,今年,他人,以内,体育,体験,個体,全体,全員,利益,去年,同然,向上,周囲,地球,地蔵,変化,変革,大事,大会,大切,大晦日,大粒,天秤,奮闘,存在,学年,宇宙,宇宙船,小判,当日,思考,惨敗,意志,意識,成長,手拭,技術,担当,指導,撮影,政治,故障,料理,日本,昔話,昨年,正月,準備,熟考,物事,現在,生命,番目,発展,発達,目標,相手,眼下,瞬間,社会,空間,組織,結束,結果,練習,肝要,能力,脱皮,自分,自己,自身,行動,覚悟,途中,連帯,進展,運動会,道中,重要,静寂,飛行,

■表現語彙 169種 241個 (種類率70%) 104点
。場合,あなた,いずれ,いま,うち,か月,こちら,こと,このため,さん,すべて,そう,そのため,そのもの,それら,ぞう,たため,つけるため,つまり,どちら,のため,は可能,もの,よう,わけ,インド,カメラ,ガラス,クラス,スポーツ,スポーツマンシップ,チーム,デビット,トラブル,バランス,パフォーマンス,ヘルメット,マック,一,三,下,不利益,世の中,世界,中,中心,二,二つ,二の舞,五,人,人々,人間,今,今年,他人,以内,位,体育,体験,俵,個体,側,先,全体,全員,六,分け,利益,前,去年,同然,向上,周囲,地球,地蔵,士,変化,変革,夏,夜,大事,大会,大切,大晦日,大粒,天秤,奮闘,存在,学年,宇宙,宇宙船,家,尊,小判,当日,影,彼,心,思いのほか,思考,惨敗,意志,意識,感,成長,手拭,技術,担当,指導,撮影,政治,故障,料理,日本,昔話,昨年,正月,気の毒,涙,準備,熟考,物事,現在,球,生命,用,番目,発展,発達,的,目標,相手,眼下,瞬間,社会,空間,笠,米,組織,結束,結果,練習,者,肝要,能力,脱皮,自ら,自分,自己,自身,蓋,行動,街,視,覚悟,話,誰,途中,連帯,進展,運動会,道中,重要,限り,雪,静寂,飛行,鯛,

■経験語彙 52種 62個 (種類率84%) 97点
あう,うる,かす,かねる,かぶせる,かぶる,すぎる,せる,ただ考える,つける,できる,とる,とれる,と思う,と考える,ながら考える,なさる,に思う,に考える,めぐらす,られる,れる,を考える,下がる,住む,入る,励む,取る,喫す,売る,変える,帰る,常に考える,引っ括める,拡がる,持つ,歩く,求める,流す,消える,生まれる,移す,立ち直る,競う,置く,訪れる,買う,起こる,迎える,運ぶ,重ねる,離れる,

■総合点 106点

■均衡点 7点
 

行動のための考え
   中2 あおらえ(aorae)  2025年12月3日

  宇宙飛行士は宇宙で個体意識が一気に取り払われるような体験をしている。彼らの話に耳を傾け、表面的な違いにとらわれず、奥に秘めたものを注意深く探ってみると、そこに共通体験が見えてくる。シュワイカートが宇宙遊泳中に、仕事ぶりを撮影するカメラが故障したため撮影担当のマックデビット飛行士は宇宙船の中に消えた。シュワイカートには静寂が訪れた。そして彼はヘルメットのガラス球の中で、わけもなく大粒の涙を流した。この瞬間、彼の心に、眼下に拡がる地球すべての生命、地球そのものに対する連帯感が生まれた。シュワイカートが宇宙空間で体験したこの個体意識から地球意識への脱皮は、今、この地球に住むすべての人々に求められている。

自らの、もしくは自分側の組織の利益を考えることは大切だ。今年の夏、2か月ほど前に体育大会があった。去年の体育大会では一学年六クラスで競ったうちの五位、つまり下から二番目という惨敗を喫したために今年は奮闘するという意志が全員にあった。そのため、チーム分けなども、相手はAチームを強くすだろうから、こちらはBチームを強くしようなどと熟考を重ねた。このように、昨年の二の舞はしない、三位以内に入るという強い、覚悟ともとれるような結束のもと練習に励んだ。その結果、体育大会を迎えた当日は思いのほかうまくことが運び、途中トラブルがあっても立ち直り、二位を取ることができた。現在は一位を取るという目標もあるそうだ。自分の利益を考えることによって、自分のパフォーマンスを向上させることができる。

 但し全体の利益を考えることも重要だ。場合によっては他人の利益、ととることもできる。自分の利益を考えすぎると自己中心的と思われ、人が離れていきかねない。そうすると結果的に自分の能力が下がったも同然となる。日本の昔話に「かさじぞう」がある。正月の料理用に街に笠を売りに行くのだが、大晦日の準備に忙しく誰も買おうとしない。家に帰る道中、六尊のお地蔵さんが雪をかぶっていた。気の毒に思い、持ちあわせの五蓋の笠と自分の手拭をかぶせた。その夜、お地蔵さんが歩いてきて正月の鯛や米俵、小判などを家の前に置いて行ったという話だ。先ほどのスポーツおよび運動会においても、スポーツマンシップというものが重要視されるのは、このためだと考える。

 自分、そして他人の利益のどちらも天秤のようにバランスを見ながら考えていかないと自分、そして社会にとって不利益なことが起こりうる。よって、それら二つのバランスを常に考えていることが大事だ。しかし、「あなたが世界に見たい変化に、あなた自身がなりなさい。」とインドの政治指導者・ガンディーは言った。いまの社会の成長、世界の発展、技術の発達のために考えるのみならず行動することが最も大切だと思う。ただ考える、思考をめぐらすだけで物事に進展はない。自分の世界、周囲の世界、人間の世界のいずれであっても行動をしない限り変えることはできない。行動によってこそ、変革は可能なのだ。自分、他人を引っ括めて世の中という存在に、良くも悪くも変化をつけるために、行動に移すことこそが肝要だ。