後悔のない人生

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 これ以上大事なものはないと信じて大切にしていたものでさえ、一瞬にして離れ去り、二度と戻ってくることがない。人生では、そういうことが起こる。そういう一瞬があるのである。それは、あたかも、私たちの油断の時を狙いすませていたかのように突然やってくる。ついさっきまで、人生は私たちに、あんなに快く、優しい眼差しをおくっていたのに、一瞬にして、全く別の相貌が現われる。人生は、いつどんな時に何が起きるかわからないため、困難にあったときでも楽しく生きられるようにしたい。

 そのための方法としては第一に、今を精いっぱい生きることだ。どんな困難があっても、これまでの楽しかった思い出や経験が、きっと私を支えてくれるはずだ。日々の学校生活や友人との交流も、今は当たり前のように感じているが、卒業すればそれぞれの道に進み、今のような時間を過ごすことはできなくなる。後悔しないためにも、一緒に過ごせる今を大切にし、楽しいときは思い切り楽しむことを心がけている。また、日々の小さな出来事や友人との何気ない会話も、後になって振り返ると大切な思い出になっていることに気づく。だからこそ、目の前の人や時間を大事にし、感謝の気持ちを忘れずに過ごしたいと思う。例えば、学校での行事や、友人と過ごす昼休みなど、何気ない日常が、後にかけがえのない宝物になるのだろう。これから先、どんな別れや変化があったとしても、今の経験がきっと自分の力になってくれるはずだ。未来を不安に思うよりも、今できることに全力を尽くして、毎日を後悔のないように過ごしていきたい。大切なものが突然失われることがあったとしても、今ここにある幸せや喜びをしっかりと受け止めて生きていくことで、困難なときにも前向きに歩んでいけると信じている。私はこれからも、今という瞬間を大切にし、周りの人や出来事に感謝しながら、日々成長していきたい。どんな小さなことでも、感動や喜びを見つける心を持ち、今を生きることの素晴らしさを忘れずにいたい。

 第二の方法としては、どんな状況になったとしても、決してめげないことだ。例えば、偉大な作曲家ベートーベンは、その生涯の中で聴力を失うという大きな困難に直面した。音楽家にとって聴力の低下は致命的ともいえる障害だが、彼はその運命に屈することなく、むしろそれを乗り越えて多くの名曲を生み出した。ウィーンで活躍し始めたベートーベンは、徐々に聴力が低下し、会話すら困難になるほどの難聴となった。絶望することもあったが、創作への情熱は失われなかった。彼は自分の内に響く音楽を信じ、楽譜に情熱を注ぎ続けた。その苦しみや葛藤を作品に込め、交響曲第九番など後期の作品には人間の苦悩や希望が力強く表現されている。ベートーベンの生き方は、困難が訪れても諦めず、自分の信じる道を貫くことの大切さを教えてくれる。私たちは困難に直面すると弱気になりがちだが、ベートーベンのように、重大な障害があっても乗り越えようとする強い意志があれば、必ず新しい道が開ける。彼の人生は「めげない」ことの力強さを示している。私自身も、これからの人生で予期せぬ困難に出会うことがあるかもしれない。そのとき、ベートーベンの姿を思い出し、どんな状況でもめげずに前を向いて歩みたい。困難を乗り越えた先には、今まで知らなかった世界の新しい一面が見えてくるだろう。だからこそ、どんな状況でもめげない心を持ち続けることで、人生をより豊かに生きることができる。

 確かに、世の中には避けられない不幸な運命が存在する。しかし、その不幸さえも自分の力に変えることが大切だと思う。「明日何が起こるかわからない。起こってしまったことも修正はできない」という名言があるように、今この瞬間を大切に生きることが重要だ。どんな困難があっても、前向きに受け止め、自分の原動力としていくことが、人生をより良くする秘訣だと考える。