心はぽかぽか、冬の朝
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年月日
心はぽかぽか、冬の朝
はるまき
「おぉ、さむ⋯⋯」
階段をトントンと降りる最中にも、一生懸命手をこすり、できるだけ首をパジャマの中に入れ込んでいるが、まだまだ寒い。窓には、カラッとした青空と山が、平気そうにうつっていた。私は、冬休みの朝は、大阪の祖父母の家で迎える。私はマンションで暮らしているけど、ここは一軒家なので、空気が冷たい。
「おはよう、今日は寒いねぇ。」
七時四十分ぐらいにリビングへ向かうと、家族は、眠くはないけど寒そうに着替えている。
私は、リビングのドアを開けたらすぐに、ストーブに直行する。ストーブの近くに手を当てると、熱気に寒さがヒューッと吸い込まれていくのが気持ち良い。パジャマに手を入れると、その中だけは、こたつのように暖かかった。窓から、花や木、鳥など、庭の自然も見えるので、ここは私のお気に入りの場所だ。
「あぁ、あったかい⋯⋯」
寒そうな細い声で、ストーブに手を伸ばしたのは、お母さん。そう、ストーブの愛用者は、私だけではない。私がストーブの真ん前を陣取ると、お母さんも押してきて、ストーブの取り合いが始まる。
「ひとり占めしないでよ、私も寒いんだから。」
「最初にいたのは私だし、許可もなしで入ってこないで。」
私は、お母さんに対してずいぶん強く当たっているが、このストーブ天国は、他の人には譲れないのだ。まぁ、いつも結局、二人で着替えることになるのだが、ストーブの前で二人で着替えると、何だか心までぽかぽかしてくる。
お父さんは、中学生の時、卓球部に入っていたが、冬の朝練のようなものがありそうだ。聞いてみるとお父さんは、
「毎日、中学校の裏山で走らされて。軍手をした手は凍りそうに冷たくて、本当に辛かったなぁ。」
と眉をひそめていた。私が通っている小学校でも、冬にマラソン月間がある。走るのが得意な人以外は、ほとんどが嫌がっている月間だ。寒い校庭で無理やり走らされ、終わった時には、いつも鼻が真っ赤になってしまう。先生は、寒い校庭で走ることで、冬でも体を鍛えられるのだと言っていたが、マラソン月間の前の憂鬱な気持ちはどうしても消えない。でも、終わった時には、手は冷たいけど、心は温かくなっているのが不思議である。
冬の朝はとっても寒くて、辛いという人もたくさんいる。私も、冷え性なので手足が冷たく、結構辛い。だけどいつも、家や心は、ある意味温かくなっているんだぁと心の中で思った。私がリビングのドアを開けると、家族とストーブの熱気が、温かく出迎えてくれた。