「豊かさ」について深く考えた様子が伝わってきました。体験を通して得た気づきがとても素晴らしいです。

<<え2016/329pみ>>

【総評】
 身近な経験から出発し、日本社会の「物」と「心」の豊かさを多面的にとらえた、バランスの取れた意見文でした。インフラや医療(いりょう)制度の整備といった現実的な豊かさだけでなく、昔話を通して心の在り方にも目を向け、「感謝の心こそが本当の豊かさである」と意見をまとめた構成が見事でした。文章も明快で読みやすく、読者の共感を呼ぶ内容になっています。

【段落ごとの講評】
第1段落:マレーシアでの体験を通して日本のインフラの優位性に気づいた点が具体的に書かれており、主張の背景に説得力があります。自分の住む地域の例を挙げて展開している点もよくできています。

第2段落:医療(いりょう)制度を例にとり、日本の「豊かさ」を裏付ける理由が丁寧(ていねい)に述べられています。健康保険制度や救急体制への理解が深く、事実を正しく把握(はあく)した上で意見を述べている点が評価できます。

第3段落:昔話「かさじぞう」を引用し、「心の豊かさ」に焦点(しょうてん)を当てた展開が印象的です。物質的な豊かさに偏り(かたより)がちな現代への問いかけがあり、読者に考えさせる力があります。

第4段落:「感謝の心」という第三の視点を取り入れて、物と心の豊かさを統合した主題に発展させているところが優れています。感謝の気持ちが人と社会をつなぐという結論は、深い考察の結果であり、文章全体に一貫(いっかん)性をもたらしています。

【特に優れていた点】
・海外での体験をもとに日本社会を客観的にとらえている
医療(いりょう)、インフラ、昔話など、多様な観点から意見を展開している
・「感謝の心」という主題の総合化ができている
・読み手に考えるきっかけを与える(あたえる)構成になっている

【考えを深めるための質問】
 日常の中で「当たり前」だと思っていることで、本当は(だれ)かの努力で成り立っていることには、どんなものがあるでしょうか?

字数/基準字数:1351字/1200字
思考点:82点
知識点:80点
表現点:80点
経験点:91点
総合点:88点
均衡(きんこう)点:5点

 


■思考語彙 22種 26個 (種類率85%) 82点
 しかし,。しかし,。だからこそ,。一方,あれば,いるから,いるため,かからざる,ことこそ,しまえば,せざる,そのため,だと,と思う,なければ,なると,を思う,を考える,取り除くため,支えによって,気づかざる,行いによって,

■知識語彙 61種 95個 (種類率64%) 80点
両方,予防,交通,休日,体制,体験,余裕,価値,便利,保険,健康,充分,制度,努力,医療,十分,問題,地蔵,基盤,外国,夜間,大切,安全,安心,定期,対応,必要,快適,感謝,手間,技術,接種,救急,整備,日本,昔話,本当,治療,無駄,現代,理由,環境,生活,病気,病院,相手,社会,秋田,移動,行動,診断,診療,負担,費用,通勤,通学,道路,重症,除雪,高額,高齢,

■表現語彙 114種 223個 (種類率51%) 80点
いるため,おじいさん,おばあさん,お金,がち,けが,こと,さ,さま,そのため,それ,それぞれ,ぞう,つながり,とき,よう,インフラ,バス,両方,予防,交通,人,人々,仕組み,休日,体制,体験,余裕,価値,便利,保険,健康,充分,冬,制度,努力,化,医療,十分,取り除くため,命,問題,国,地蔵,基盤,外国,夜間,大みそか,大切,子ども,安全,安心,定期,対応,市,幸せ,当たり前,後,心,必要,快適,思いやり,感謝,所,手間,技術,接種,支え,救急,整備,日本,昔話,朝,本当,気持ち,治療,点,無駄,物,現代,理由,環境,生活,病気,病院,的,目,相手,社会,私,秋田,移動,笠,者,行い,行動,診断,診療,話,誰,豊か,負担,費,費用,車,近く,通勤,通学,道路,重症,除雪,雪,高額,高齢,

■経験語彙 48種 66個 (種類率73%) 91点
あきらめる,あげる,かかる,かける,かす,かぶせる,くれる,させる,しまう,つくる,つながる,つなげる,できる,と思う,なれる,ふるえる,もらえる,られる,れる,を思う,を考える,住む,助ける,取り除く,受ける,向く,呼ぶ,増える,売れ残る,守る,思いやる,感じる,成り立つ,持つ,支える,教える,整う,暮らせる,止まる,気づく,行う,表れる,見える,見つける,違う,防ぐ,降る,限る,

■総合点 88点

■均衡点 5点
 

豊かな国
   中2 あえさみ(aesami)  2026年1月1日

   私は、日本はインフラがとても整っている国だと思う。そのことを強く感じたのは、マレーシアを訪れたときの体験である。現地ではタクシーに乗って移動していたが、道路はガタガタしており、走るたびに車体が大きく揺れた。信号や歩道が少ない場所もあり、移動するだけでも不安を感じることがあった。それに比べて、日本の道路はとても整備されている。私が住んでいる秋田市は冬になると雪が多く降るが、除雪車が朝早くから道路の雪を取り除くため、車やバスで安全に移動することができる。雪が降っても通学や通勤が止まらないのは、交通インフラがしっかりしているからである。一方で、日本のインフラはあまりに整っているため、そのありがたさが当たり前になり、支えている人の努力が見えにくくなっているという問題もある。外国での体験を通して、日本は道路や交通など生活の基盤に十分なお金と手間をかけている国であり、安心して暮らせる豊かな国だと改めて感じた。

 豊かであることは、人々が安心して生活できる社会をつくる点で良いことである。その豊かさが特によく表れているのが、医療が整っている社会である。日本では、病気やけがをしたとき、近くの病院や診療所で治療を受けることができる。救急車を呼んでも費用がかからず、夜間や休日でも対応してもらえる体制が整っている。また、日本には健康保険制度があり、治療費の負担が軽くなる仕組みがある。そのため、高額な医療費を理由に治療をあきらめる人が少なく、子どもから高齢者まで必要な医療を受けやすい。定期的な健康診断や予防接種が行われていることも、病気を早く見つけ、重症化を防ぐことにつながっている。このように、医療が整っている社会は人々の命と健康を守っている。誰もが安心して暮らせる環境があることは、豊かであることの大きな価値である。

 しかし、物が豊かであるだけでは充分ではない。物とは違う心の豊かさも必要である。現代の社会では、便利な物や新しい技術が増え、生活はとても快適になっている。しかし、それだけで人が幸せになれるとは限らない。そのことを考えさせられる昔話に「かさじぞう」がある。貧しいおじいさんは、大みそかに売れ残った笠を、寒さにふるえるお地蔵さまにかぶせてあげた。おじいさんには物の余裕はなかったが、相手を思いやる優しい心を持っていた。その行いによって、後におじいさんとおばあさんは助けられることになる。この話は、物の多さよりも、人を思う気持ちの大切さを教えてくれる。物が豊かな社会では、便利さに目が向きがちである。しかし、思いやりや感謝の気持ちがなければ、人と人とのつながりは弱くなってしまう。だからこそ、物の豊かさと同時に、心の豊かさを大切にすることが本当に必要なのだと思う。

 物の豊かさも心の豊かさも、それぞれ大切である。しかし、もっとも大切なのは感謝の心である。便利な物や整った環境は、誰かの努力や支えによって成り立っている。それに気づかず当たり前だと思ってしまえば、心は豊かにならない。感謝の心があれば、物の豊かさを無駄にせず、人を思いやる行動につなげることができる。物と心の両方に感謝する気持ちを持つことこそが、本当の豊かさにつながるのだと思う