抽象的なテーマに挑戦し、哲学的な深みのある議論を展開できています。
<<え2010/14み>>
【総評】
一段落目で文化や交換価値、マス・メディアといった高度な概念を用いて現代社会の状況を要約し、二・三段落で「自分の価値観」と「時代の価値観」という二つの立場を実例とともに提示し、最終段落でそれらをより高い次元で総合化しています。単なる折衷ではなく、「固執せずに感覚的に考え行動すること」という新たな視点を提示しており、中学二年生の意見文として非常に完成度が高いです。引用も効果的で、文章全体に知的な統一感があります。
【段落ごとの講評】
第一段落:文化・交換価値・情報化社会などの概念を整理し、現代社会の特徴を的確に述べています。抽象度の高い内容を自分の言葉でまとめており、問題提起としての役割を十分に果たしています。
第二段落:アンデルセン童話『みにくいアヒルの子』を実例に挙げ、「他人の価値観に従う危険性」を分かりやすく説明しています。日本社会の集団傾向にも言及し、話題を広げている点も優れています。
第三段落:デジタル教育という現代的な具体例を挙げ、しかも自分の海外経験を交えて述べているため、説得力があります。抽象的な議論と身近な体験がうまく結びついています。
第四段落:アンドレ・ジッドの言葉を引用しながら、「どちらか一方ではなく、固執しない姿勢が大切」という総合化を行っています。対立を超えた新しい視点を提示できている点が特に素晴らしいです。
【特に優れていた点】
・抽象的な社会論を展開できている
・昔話と現代社会の実例の両方を使っている
・自分の海外経験を取り入れている
・対立する意見をより高い次元で総合化している
・名言を効果的に引用している
【考えを深めるための質問】
「ある特定の価値観に固執しない」とは、具体的にどのような行動や姿勢を指すと考えますか。あなた自身のこれからの生活に当てはめてみましょう。
字数/基準字数:1252字/1200字
思考点:87点
知識点:93点
表現点:88点
経験点:92点
総合点:97点
均衡点:7点
■思考語彙 24種 26個 (種類率92%) 87点
、しかし,、確か,。しかし,。だからこそ,。例えば,あろう,か一方,するかも,すれば,せざる,たので,と思う,なければ,に考える,れざる,を思う,価値こそ,出よう,力動によって,囚われざる,守ろう,時によって,死のう,満たそう,
■知識語彙 80種 130個 (種類率62%) 93点
一定,一目,不可能,交換,今日,他人,価値,便利,個人,偉業,傾向,公立,共有,力動,勇気,危険,原動力,固執,地位,変動,大切,学校,安全,実現,容易,導入,小学校,小説,広域,必要,情報,意見,感覚,指名,授業,支配,敏速,教育,整理,文化,日本,時代,時間割,本心,構造,権力,欲望,水面,活動,海外,浸透,満足,特定,発想,発言,白鳥,社会,童話,組織,統合,肝要,背徳,自体,自分,自然,自由,自身,著書,行動,補助,解放,解答,議論,越冬,近年,道徳,重要,重視,集団,高度,
■表現語彙 132種 226個 (種類率58%) 88点
、確か,いつか,こと,それ,それぞれ,とき,どちら,なか,ひな鳥,もの,よう,ら,わけ,アヒル,アンデルセン,コード,デジタル,マス,メディア,一定,一目,不可能,中,交換,人,今日,他人,例,価値,便利,個人,偉業,傾向,元,公立,共有,力動,勇気,化,危険,原動力,周り,問,固執,地位,変動,多く,大切,子,学校,安全,実現,家,容易,導入,小学校,小説,岸,年,広域,心,必要,性,悲しみ,情報,意見,感覚,持ち物,指名,授業,支配,敏速,教育,数,整理,文化,日本,時,時代,時間割,書,本心,構造,権力,欲,欲望,水面,波,活動,海,海外,浸透,満足,特定,町,発想,発言,白鳥,的,皆,社会,私,童話,組織,統合,群れ,者,肝要,背徳,自体,自分,自然,自由,自身,著書,行動,補助,観,解放,解答,話,議論,越冬,身,近年,道徳,重要,重視,限り,際,集団,高度,
■経験語彙 49種 66個 (種類率74%) 92点
いじめる,うる,おしよせる,おる,しまう,しれる,せる,つく,できる,と思う,に考える,もつ,られる,れる,わかる,を思う,乗る,休まる,伴う,住む,作り出す,使う,出る,分かる,合わせる,囚われる,変わる,守る,帰る,強める,従う,感じる,成し遂げる,拒む,挙げる,捨てる,映る,死ぬ,気づく,求める,流す,渡る,満たす,生きる,見失う,言いあう,語る,謳う,逃れる,
■総合点 97点
■均衡点 7点
価値観の固執
中2 あおらえ(aorae)
2026年2月2日
文化もパーソナリティも少しずつ変化し、ときには大きく急速に変化しうるものである。社会が組織化されるとともに、権力者の安全と満足を求める欲望が支配的なものとなった。しかし、今日、高度に統合的な組織性を強めた社会では、構造的力動によって作り出される交換価値こそが支配者の地位につく。情報化社会にあって、交換価値としての文化のコードを敏速かつ広域に浸透させるのを補助するのはマス・メディアである。欲望を満たそうとすることは活動する原動力となっているが、実現が難しい時、欲から解放された際の心の休まりを思う。このとき自然の中に逃れ身を守ろうとするかもしれないが、文化的なものを拒んでしまうことは不可能である。
自分自身のもつ価値観に従って生きることは大切である。他人や、他人の意見に流されず、自分の本心に従って生きられる。アンデルセン童話には、みにくいアヒルの子という童話がある。アヒルの群れで醜いといじめられたひな鳥が家を出て越冬する。苦しく、死のうと白鳥の元へ行くが、水面に映る自分が白鳥だと気づき、悲しみから解放されるという話だ。アヒルの価値観に従って醜いと思っていたが、実際には醜いわけではない。他人の価値観に従うのは危険を伴う。また、日本では個人よりも集団が重視される傾向にある。海外では皆がそれぞれの意見を言いあうが、日本では指名されない限り発言しない人が多いと感じる。しかし、それでは議論にならない。自分の価値観に従うことは大切だ。
しかしながら、その時代の価値観に合わせて行動することも重要である。例えば、近年デジタル教育を重視している、などと謳う学校も出てきている。私は海外に住んでいたのでいつからかは分からないが、2023年に帰ってきたときには既に一定数そのような学校があった。公立小学校にも導入されており、授業でも多く使われていたのだが、確かに便利である。例を挙げるとすれば、道徳の問で皆の解答を共有したことがあった。共有することで議論がより容易になり、意見の整理もしやすくなる。また、時間割や持ち物が共有されることで必要なものが一目でわかるようになった。デジタル化の波がおしよせてくるなか、その波に乗ることも大切である。
自分自身の価値観も、時代の価値観も、時によって変わりうる。その変動に合わせて行動することも大切ではあるが、しかし「岸を見失う勇気がなければ、決して海を渡ることはできない」と小説家のアンドレ・ジッドは著書「背徳者」で語った。自分の価値観も、時代の価値観も、見失うこと自体は容易であるが、なかなかそれをする勇気がない。どちらか一方に従うことが多い。日本においては時代の価値観であろうか。しかし、偉業を成し遂げた人の多くは、自分の、周りの価値観に囚われずに、自由な発想をもっている。だからこそ、ある特定の価値観に固執せずに感覚的に考え、行動することが肝要である。アンドレ・ジッドはこうも言った。「書を捨てよ、町へ出よう」