昔話がもつ力

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 この文章では、「お話」とは声によって語られ、聞き手とともに楽しむ文学であり、何かを教えるための説明的な話や個人的な体験談は、文学的価値をもつ場合を除いて含まれないとする。そして、ここで扱うお話とは、人の心を楽しませ、人間への理解を深めさせる文学的価値をもつ作品であり、その楽しさには内容だけでなく表現の美しさも含まれるという。そうした作品としては昔話や子ども向けの創作があるが、とくに昔話はもともと語り継がれてきたもので、テーマが普遍的で表現も簡潔なため、現代の子どもにもよく合うとされる。また昔話には文学の原型ともいえる力があり、子どものころに触れることは文学を味わう力を育てるうえで重要であり、語り手にとっても物語や語ることの意味を理解するためになると筆者は述べている。

 この文章を読んで僕が一番印象に残ったのは、昔話には文学のもとの形ともいえる大きな力がかくされているという部分である。僕はこれまで昔話を、子ども向けの単純でわかりやすい話だと思っていた。しかし筆者は、昔話は昔から多くの人々の間で語り継がれ、人間についての理解を深めたり、心を楽しませたりする文学的な価値をもっていると述べている。確かに昔話は短く、登場人物や出来事も単純なことが多いが、その中には人間の生き方や価値観がわかりやすく表現されている。善いことをすれば報われ、悪いことをすれば罰を受けるというような道徳的な考え方や、人と協力することの大切さなど、人生において大切な考え方が自然な形で物語の中に込められている。そう考えると、昔話はただの子どものための話ではなく、長い時間をかけて人々の知恵や経験が積み重なってできた、とても奥の深い文化なのだと感じた。

 例えば僕は小さいとき、「桃太郎」や「浦島太郎」などの昔話を家族に読んでもらったことがある。話を聞く時間はとても楽しく、次にどんな出来事が起こるのかを想像しながら聞いていた記憶がある。子どものころは物語の面白さだけを感じていたが、今思い返すとそこにはさまざまな教訓が含まれていたように思う。「桃太郎」では、鬼に困らされている人々を助けるために立ち上がり、犬や猿、きじと協力して鬼を退治する姿が描かれている。そこには勇気をもつことや仲間と力を合わせることの大切さが表されていると感じる。また「浦島太郎」では、竜宮城という夢のような世界が描かれているが、最後には玉手箱を開けてしまうことで取り返しのつかない結果になってしまう。この話には約束を守ることの大切さや、人間の好奇心の危うさなどが含まれているのではないかと思う。子どもはこうした話を聞くことで、道徳を難しい言葉で説明されなくても、物語を通して自然と学んでいくのではないだろうか。さらに昔話は、聞く人の想像力を広げる力ももっていると思う。登場人物の姿や風景を頭の中で思い描きながら聞くことで、想像する力が育っていくのだと感じた。

 人間にとって昔話とは、単なる昔の物語ではなく、心の中に残り続ける大切な文化の一つなのだ。小さいときに何気なく聞いた物語が、その後の考え方や感じ方に影響を与えることも多い。「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、幼いころに触れたものは長く人の心に残る。確かに昔話は、古くから伝わってきただけの単純な物語に見えるかもしれない。しかしその中には、人間の生き方や価値観についての大切な意味が込められている。昔話は人間の心を育てる大切な役割をもっているのだ。また昔話は、時代や場所が変わっても多くの人に受け入れられてきたという点でも価値がある。これからも昔話のような物語を大切にし、その意味について考えながら、人間の生き方や価値観について学んでいきたい。