未来の自分のために試行錯誤すると良い

    ()  年月日

 「よっしゃー初打点だ」

 全く新しい素晴らしいものを生み出す「創造」の秘密はどこにあるのでしょう。それまであったものをいろいろ組み合わせて、その中から美しいもの・心に訴えるもの・正しく自然を説明できるものを選び出すことが「創造」という。肝心なのは、それまで他の人がやらなかった組み合わせを試みるのか試みないのかである。このような脳の働きを活用し、創造のために「試み」を積み重ねないのは、まったく人間らしくないことだ。

 春は、少年野球チームにとってこれからどんなチームになるのかが決まる時期である。新チームでの二試合目は、初の公式戦で初の公式グラウンドでの試合だった。野球も「創造」と同じで試行錯誤をするものであり、一試合が長いが一秒一秒に考えるものがある。ぼくが打席に立ったのは、初回と四回、五回だった。初回は監督に

「練習通りでかっ飛ばしてこい」

と言われたが、空振り三振で終わってしまった。ここでは、頭の中を空っぽにして「無心」で打席に立ったので試行錯誤の試の字もなかった。四回では、スリーボールノーストライクとなったので、練習したことがない「バスター」を試みた。そうするとピッチャーからボール球を稼ぐことが出来たので、主審の口から

「ボールフォワ」

と言ってもらえた。五回がぼくの「試行錯誤」について話すクライマックスだ、タイムリーツーベースを打つことができた。ここからが本番、サインは「グリーンライト」で、バッターは、長打もありうる場面で、ぼくは三塁に「ディレートスチール」を決めた。これは、ぼくの試行錯誤の結果なのだ。野球は、スポーツの中で考える時間が最も長いと言われているからこそ、試行錯誤ができるわけであって、ベース上で「試行錯誤」をしないともったいない。

 母の職業は、建築士である。みんなに考えてほしい。あなたは今、新築戸建て住宅をつくるのを前提に建築士と話し合っています。プランには、あなたのニーズが詰まっているが、一つしか案がありません。どう思うでしょう?ぼくだったら、「これしか案がないのか~」といって、その建設会社はあきらめてしまいます。母は、「岸建築」をあきらめないでほしい気持ちから、可能なパターンを出し尽くして、お客さんにプレゼンテーションするときは一つだと決まらないので二つ以上を見せて決めてもらうようにしているそうです。

ぼくなら、パターンを母以上に出せると思うけれど、お客さんのニーズに合わせて考えることはできないと考えた。

 塵が積もれば山となるという言葉があるように、試行錯誤は人にとっては一つにちりにすぎないかもしれないが、この一つの塵が増えていくことによって莫大な徳があらわれると考えたので試行錯誤を一つの塵とみるのではなく、未来の自分のために試行錯誤すると良いということが分かった。

「公式戦初勝利」