二十年前、私は京都で

    ()  年月日

 「刺身や納豆の味は日本人にしかわからないだろう」。このように、日本人の多くは、日本文化は外国人には伝わらないという迷信を持っている。しかし、アメリカ人の中には、「ハンバーガーとコーラの味は世界中の人がわかるだろう」と考え、アメリカ文化はすべての国の人に通じるはずだという迷信を持っている者もいる。それぞれの立場に悪意はないが、相互理解の妨げになる考え方なのだ。

 多様な価値観を理解しようとする広い視野を持つことは大切だ。私は、このことを授業のグループワークで深く実感した。最初は自分の考えが一番良いと思っていたが、みんなの意見を聞くうちに、「こういう考え方もあるんだ」と気づく場面が何度もあった。自分では思いつかなかった視点や発想を知り、物事の見方は一つではないのだと感じた。その結果、みんなの意見を取り入れることで、最初に自分が考えていたものよりも内容の深い発表を作ることができた。この経験は、美術館で絵を見たときのことにも似ていると思う。同じ作品を見ていても、「この色が印象的だ」と感じる人もいれば、「人物の表情が心に残る」と話す人もいる。このように、人によって感じ方や捉え方はさまざまである。だからこそ、自分の考えだけにとらわれず、他の人の意見に耳を傾けることが大切なのだと学んだ。そうすることで、物事をさまざまな角度から考えることができ、人生がより豊かになるのだ。

 しかし、他人に振り回されず、自分の世界をじっくり追求していくことも大切だ。「たのきゅう」という愉快な昔話がある。「たのきゅう」は、芝居好きの百姓・久兵衛(たのきゅう)が、大蛇(うわばみ)に飲み込まれそうになりながらも、得意の化けの芸で切り抜ける非常にユーモラスな話である。この話から、たのきゅうは周りに流されるのではなく、自分が好きで磨いてきた芸を信じて行動したことが分かる。もし彼が自分の得意なことを持っていなかったら、その危機を乗り越えることはできなかったかもしれない。つまり、自分の好きなことや得意なことを大切にし、それを深く追求していくことが、自分の力になるのだと感じた。これは俳優の世界にも通じるものがある。俳優は自分の演技力を高めるために日々努力し、与えられた役の人物になりきるために、その人物の性格や気持ちを深く考えるという。そうした積み重ねがあるからこそ、舞台や映画で人の心を動かす演技ができるのだろう。私たちも他人に振り回されるだけでなく、自分の世界を大切にしながら努力していくことが大切なのだ。

 広い視野を持つことも、自分の世界をじっくり追求していくこともどちらも大切だ。しかし、最も大切なことは、「己を尊ぶが如く、人を尊べ」という名言があるように、相手を尊重できる人になるために、自分自身を高めていくことなのである。自分の考えを押し通すだけでも、反対に周囲に流されるだけでも、本当の意味で人と分かり合うことはできない。まず自分自身が成長し、人の意見を受け止める心の余裕を持つことが必要なのだと思う。そうして初めて、互いの違いを認め合いながら関係を築くことができるのではないだろうか。だからこそ私は、これからも自分を磨き続け、人を尊重できる人間になれるよう努力していきたい。