いろいろな角度から、好きになって
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年月日
「いたっ、なんでピタって止まれないのー。」
わたしがこの長文を読んで、一番驚き、うらやましいと思ったところは、ハエが自由にピタっと止まれて、すぐに飛び出せることです。
わたしが三年生の時、学校で、五十メートルタイムをはかるイベントがありました。そこで、わたしはひとつ試してみようと思い、走り抜けた後、ぴたっと止まるように挑戦をしてみました。
「よーしっ、がんばるぞぉ。」
結果は、わたしが一位となりました。走り抜けるとき、ぴたっと止まれるように、急ブレーキをかけましたが、まるで足がきつくしばられたように、摩擦熱のせいで、足に痛みが走りました。
「大丈夫、ちぴ。」
友だちが心配そうにこちらを見ています。痛みをこらえながら、変な笑顔になってしまいました。こんなにも難しいんだなあ、と諦めました。
「うん、大丈夫。だけど、めちゃくちゃ痛い」
友だちに一言そう告げると、足をさすりながら、どっかりと腰を下ろしました。ほかのひとの走りを、ぼんやりとながめながら、ハエはすごいよな、とかぶりを振りました。人間とは違うって、特別に見えるな、とも感心してしまいました。そのあと、友だちにそのことを話したら、
「大丈夫。人間だって、いいとこいっぱいあんじゃん。脳で考えられるんだからさっ。」
と自分の頭を指さして言いました。それを聞いて、わたしは、友だちは「いいとこ探し上手」だなと思いました。
本で、ハエについて調べてみました。あまり肯定的な情報はありませんでした。ハエは、病気をうつしたりする害虫だと偏見を持たれているようです。その一方、よい面も見つかりました。それは、重要な食物連鎖の関係です。血を吸い、病気をうつすカは、世界で最も恐ろしい生物だと思われています。実際にそうです。それを食べてくれているのが、クモです。そのクモのえさには、ハエも入っています。ハエ自体はよくないかもしれませんが、思わぬところで、その存在は役立っているのです。
前に、母からこんな言葉を聞きました。
「地球にいる生物にはね、それぞれ役割があるんだよ。だから、この世界には、意味のないものなんてないんだ」
その言葉を思い出した時、頭のパズルで、最後の一ピースががピタッとはまりました。ハエも、意味なくこの世界に存在しているわけではないんだ、とハッとしました。と同時に、ハエも、人間の「考えられる」ところをうらやましがっているのかな、と思いました。そして、前に父が言っていた
「人間って、自分の持っていない部分を欲しがるくせがあるよね」
という言葉も思い出しました。そうか、と頭にピーンときました。わたしが欲しがっていたのは、ハエの能力で、それが手に入ったら、またほかのものを欲しがるはずです。
わたしは、この長文を読み、そしていろいろな思い出を通して、世の中に存在する意味を知りました。そして、嫌なひと、生き物がいても、それはそのひとの一部しか見ていません。友だちのように、いい一面を探して、「いいとこ探し上手」になりたいです。なんだか、とても大きな発見をしたような気がしました。きっと、次ハエを見ても、よっぽどのことがないかぎり、ひどいことはせずに逃がしてやると思います。いろいろな角度から見ることで、きっと、それぞれにしかない、唯一無二の個性を見つけることができると、心で強く思いました。