「ゴミ」を出発点にして「選択(せんたく)」という大きなテーマへ広げた視点が、とても独創的です。

<<え2018/499jみ>>

【総評】
 この作文のよさは、「思考の深さ」と「主題の独自性」にあります。身近な「ゴミ」という具体から出発し、それを人間の「選択(せんたく)」という抽象(ちゅうしょう)的なテーマへと結びつけている点が非常に印象的です。さらに、方法を二つに分けて論じたうえで、反対意見にも触れ(ふれ)ながらニーチェの言葉を用いて主題を深めており、論理の展開に一貫(いっかん)性があります。自分の体験や社会の事例を組み合わせながら、最終的に「選択(せんたく)の価値」という生き方のテーマにまで高めている、完成度の高い意見文です。

【段落ごとの講評】
第1段落:ゴミという具体的な事象から「選択(せんたく)」という主題を導き出しており、発想の独自性が光ります。比喩(ひゆ)(ふるい)を用いて考えを説明している点も分かりやすく、読み手を引き込む(ひきこむ)導入になっています。主題提示も明確で、とても優れています。

第2段落:第一の方法として「過去の産物を減らす」という視点が示されており、考えに広がりがあります。自分の体験(紙の管理)と社会の変化(デジタル化)を結びつけて説明しているため、具体性と説得力のある段落になっています。

第3段落:第二の方法として「知識や経験」を挙げ、キャッシュレス決済の例を用いて論じている点が的確です。選択肢(せんたくし)と知識の関係を論理的に説明できており、現代社会とのつながりも感じられます。抽象(ちゅうしょう)と具体のバランスがよい段落です。

第4段落:反対意見に触れ(ふれ)たうえで、ニーチェの言葉を引用しながら主題を深めている点が非常に優れています。さらに、ゴミへの感情と結びつけて再び主題に戻る(もどる)構成が巧み(たくみ)で、全体を力強くまとめています。生き方の主題として一般(いっぱん)化できている、完成度の高い結びです。

【考えを深めるための質問】
 「選択(せんたく)を増やすこと」と「迷わず決断すること」は、ときに両立が難しいこともありますが、その二つをうまくバランスさせるためには、どのような考え方が大切だと思いますか?

字数/基準字数:1403字/600字
思考点:95点
知識点:72点
表現点:78点
経験点:79点
総合点:82点
均衡(きんこう)点:1点

 


■思考語彙 27種 31個 (種類率87%) 95点
 確か, 第,、いわゆる,、すなわち,。しかし,あるから,あると,いるかも,ことによって,しみじみ思う,すぎると,すると,せるため,たつと,だから,だろう,つけるから,ないから,ないため,なければ,の場合,は例えば,ふるいによって,ゴミにとって,増えるから,渡そう,言えば,

■知識語彙 50種 83個 (種類率60%) 72点
不安,中学校,企業,会社,低下,使用,価値,判断,割合,取引,同情,哀憐,回数,大雑把,学校,実現,小学校,従来,必要,意見,推測,方向,方法,最低限,枢要,機器,決済,状況,現金,理由,産物,登場,知識,管理,組織,経験,結果,自体,自分,苦手,複合,近年,運命,運営,過去,過程,選択,選択肢,重要,電子,

■表現語彙 110種 186個 (種類率59%) 78点
 確か,いくつ,お知らせ,こと,これ,ころ,ざら,せるため,そのもの,それ,それら,たち,たま,どこ,ないため,ぬいぐるみ,の場合,ほう,もと,もの,よう,キャッシュ,グループ,ゴミ,ステレオ,タイプ,タブレット,テスト,デバイス,トップ,パフォーマンス,ファイル,プリント,ペンション,ランドセル,レス,一,一つ,不安,中学校,二,人,企業,会社,低下,使用,価値,僕,判断,割合,取引,同情,哀憐,回数,大雑把,学校,実現,家,小学校,年,従来,必要,情,意見,払い,推測,数,方向,方法,時,最低限,朝,枢要,機器,決済,物,状況,現金,理由,産物,登場,的,皆,知識,等,管理,粒,紙,組織,経験,結果,考え方,自ら,自体,自分,苦しみ,苦手,複合,親,近年,迷い,通り,運命,運営,過去,過程,選択,選択肢,重要,電子,

■経験語彙 40種 51個 (種類率78%) 79点
あげる,しまう,しみじみ思う,しれる,すぎる,せる,たつ,つける,できる,なくす,なくなる,まとめる,もらう,られる,れる,下せる,与える,似る,作る,働く,入る,取り入れる,向ける,基づく,増える,増やす,届く,払う,持てる,減らす,減る,渡す,生じる,繰り返す,通す,進む,過ぎ去る,選ぶ,選べる,開ける,

■総合点 82点

■均衡点 1点
 

運命への憐憫
   中3 あおらえ(aorae)  2026年4月1日

  ゴミ置き場にあるゴミ。ごみ焼却場にあるゴミ。それらのゴミは、全てあまたの選択のすえにそこに行きついている。そこに行きつくには、例えばある人が物を欲しいと思って買うなり造るなりの選択をし、さらに捨てるという選択を経なければならない。つまり、この時代においてそこら中にあるゴミはすべて人の選択の結果といえる。僕は選択を増やせる人になりたい。ごみを増やしたいわけではなく、選択を増やすことによってよりよい判断に行きつけるからだ。それは例えばふるいによって粒を小さく、細かくしていく過程に似ているかもしれない。ふるいを沢山通すことによって粒は段々と小さくなっていくように。このような、選択を増やすことを実現させるためには、いくつかの方法がある。

 第一の方法としては、過ぎ去ったもの、すなわち過去の産物を減らしていき新しいものを取り入れるということがあげられる。大雑把に言えば、いわゆるステレオタイプな考え方などのものをゴミにするということだ。僕は紙を管理するのがとてつもなく苦手だ。小学校のころはよく朝もらったプリントを親に渡そうとランドセルを開けてみたらなくなっていた、というようなこともざらにあった。家においてある紙もそうで、テストをまとめていたファイルがどこかに行ってしまったこともあった。しかし、数年たつとタブレットなどの電子機器が学校に登場し、特に中学校に入ってからはお知らせなどほとんどが自分のデバイスに届くようになった。なくすということもなくなり、デバイスになってよかったとしみじみ思った。

 第二の方法としては知識や経験を増やしていくことだ。選択をするには当然選択肢が必要で、その選択肢は知識や経験から作られることが多い。また、それらがあったほうが選択をできる回数そのものが増えるからだ。近年キャッシュレス決済が増えてきている。従来通りの現金取引が減ってきているが、キャッシュレス決済をするにはそのアプリについて最低限の、ある程度の知識が必要になる。また、キャッシュレス決済を使用するとそれを運営している会社にある程度の割合を払わなければならないため、ペンションなどで現金払いという選択をしたほうが良い時もあり、これは経験に基づくものだ。このように、選択肢を増やす、より良い選択をする等の場合に知識や経験が必要だから、それを増やすことが重要である。

 確かに、選択をあまりに増やしすぎると迷いが生じてしっかりとした自分の意見を持てなくなる時がある。特に企業のような組織において、どんなに小さなグループでもそのトップに迷いがあるとそのもとで働く人たちは皆不安な状況となりグループ自体のパフォーマンスも低下する。しかしながら、選択を繰り返すことによってよりよい判断が下せ、結果良い方向へ進むことができる。フリードリヒ・ニーチェが「自分で選んだ苦しみは、運命の苦しみよりも価値がある。」といったように、選択を繰り返すことが枢要だ。たまに、ゴミ、特にぬいぐるみに哀憐の情を向けることがある。その複合的な理由の一つとして、そのゴミにとってゴミとなるということは運命であるからで、自らの選択の結果でないからだろうと推測できる。ゴミが自分で選べるなら、運命の苦しみよりも選択の苦しみを選ぶだろう。同情はひとえに選択の結果でなく、運命として与えられた物であるからだ。