一人の経験がみんなへ

   小5 あやか(ayanaka)  2026年4月1日

 「何回かやっっていればできるようになりますよ。」

 と佐藤邦昭先生はいつもやさしく言っていた。

 これは、コロナのえいきょうで外出が思うようにできなかった二〇二一年から二〇二二年のことだ。佐藤先生との出会いはコロナがあってこそだ。わたしはお絵かきの先生を通じて佐藤先生に出会った。お絵かきの先生の仕事が、コロナのえいきょうでへってしまった。今後の勉強にしようと思って、先生が草玩具の本を出していくつか作っていたそうだ。ふと、本のそでを見たら、先生の住所がかいてあり、すぐ近くであることが分かった。その場で手紙をかいて、先生のお家のポストに入れたそうだ。その後電話があり、先生もコロナで仕事がへってしまって時間があるので、一度教えにいきましょうといってくれたそうだ。わたしはそのご縁で一緒に教えてもらうことができた。

 シュロの葉は、南の島にあるヤシの木の仲間で、大きなうちわのような形をしている。葉をひらくと、細長く、リボンのようにかんたんにさくことができる葉だ。これを細くさいたニ本をつかって馬やバッタ、トンボを編んであそぶことができる。しかし、一見かんたんそうに見えるが実はこれがとてもむずかしい。失敗してしまうと、バッタの体の頭と足がねじれてしまったり、シュロの葉がたりなくなってしまったり、体に穴があいてしまったりする。でも、それを見せると先生は、何もなかったかのように静かに、あっという間に直してしまったので、まるで先生の手からハンドパワーがでているみたいだと思った。そして、いつも、

 「何回もつくっていればできるようになりますよ。」

とやさしく言ってくれるのだ。

 先生とはその後、草玩具だけでなく近所の公園に生えている木々や草花のことをたくさん教えてもらった。たとえば、オオムラサキの葉で笛を作ったり、ヤマブキの茎で鉄ぽうを作ったり、チドメグサをうでにはりつけて遊んだり、公園の中は遊び道具がいっぱいだった。今でも母と公園を歩いている時、佐藤先生に教わった植物たちがたくさん生えていることに気がついたり、学校で友だちにやり方を教えてあげたりした。先生は身近な植物でもいろいろな遊びができるということを教えてくれたのだと思う。

 先日、母からそんな佐藤先生がお亡くなりになったと聞かされた。たまに、近所のアイス屋さんでも会ったことがあるので、信じられない気持ちだった。佐藤先生が教えてくれたことは今もわすれない。コロナだったからこそ出会えたすてきな思い出だ。

 母にも、思い出の先生についてきいてみた。母は小学一年生の時の阿部先生が印象にのこっているそうだ。阿部先生は、外国でくらしたけいけんをお持ちの方だったそうだ。特に母は学校でハロウィンパーティーをやったことを今でも覚えているそうだ。四〇年前はハロウィンが有名ではなかった。しかし、阿部先生は、トリックオアトリートを教えてくれたり、みんなでヒメリンゴを食べたり、ゲームをして楽しんだそうだ。その話を聞いて、阿部先生は、みんなが知らない外国の文化を若い世代に伝えるためにハロウィンパーティーを開いたのではないかと思った。佐藤先生と阿部先生はみんなが知らないことを知っているので、それをみんなに教えてあげたかったんだとわたしは考えた。

 一人の先生から伝えられたことがらは、たくさんの人々に伝えられ、もしその先生がいなくなってもなお伝え続けられることはすごいことだと思った。佐藤先生がよく通っていたアイスクリーム屋さんには、今も先生の草玩具の作品がかざられている。