私にとっての別れと出会い
小5 なな(akasona)
2026年4月1日
「じゃね、バイバイ。」
私は学校の帰り際にいつものように友達に手を振った。四年生のときのこの何気ない別れが少しだけ特別な意味を持つことになった。その数日前にその友達本人から
「転校することになったよ。」
と聞かされたのだった。突然のことだったので最初はうそだと思い
「本当なの?」
と何度も何度も聞き返してしまった。その友達は普段明るくて、まるでなぞなぞみたいに不思議な子だった。でも、そのときはいつもより少し静かな顔でうなずいていて、冗談ではないことが伝わってきた。その様子を見てだんだん本当なんだと分かってきた。最初は転校と聞いてもすぐには実感がわかなかった。遠くへ行ってしまうわけではなく、会おうと思えば会える距離だと分かっていたからだ。とても悲しいというよりも、あっそうなんだ、という少し落ち着いた気持ちの方が大きかった。頭では理解しているのに、心がついていかないような感じだった。
それでも、学校で毎日顔を合わせて当たり前のように一緒に話したり笑ったりしていた友達とこれからは簡単には会えなくなる。そう考えると、私はやっぱり少しさみしかった。休み時間に何を話そうか考えたり帰り道でくだらないことで笑ったりする時間は、もう同じようには戻ってこないのだと思うと、胸の奥が少しだけきゅっとした。その後、友達は本当に転校していった。教室の中でその子の席を見ると、そこだけぽっかりと空いているような気がした。やっぱり少しだけさみしい気持ちになった。でも、もう二度と会えないわけではないと思うと涙が出るほどの悲しさにはならなかった。そして、新しいクラスメートがやって来た。最初はどう話しかければいいのか分からず少し緊張した。でも勇気を出して話してみると、とても優しくてだんだん一緒にいる時間が楽しくなっていった。知らない人だったはずなのに少しずつクラスにとけこんでいく様子を見て、なんだか不思議な気持ちになった。
お母さんに小学生のころ転校した友達はいなかったか聞いてみた。するとお母さんは
「とても仲の良い友達がいたけど遠くへ引っ越してしまって、その後はもう会えなくなってしまったよ。あのときは本当にさみしかった。」
とうつむいた。その言い方から、本当に大切な友達だったことが伝わってきた。でもお母さんは少し笑って
「でもね、その後新しい友達にも出会えたし、その子との思い出も今でも大事にしているよ。」
と続けた。その話を聞いて、それは自分の状況とは少し違うのだと気づいた。私の場合は、会おうと思えばまた会える距離にいる。それだけでも恵まれていることなのかもしれない。そう考えると、少しだけ気持ちが軽くなった。
前の友達との思い出は、今でも大切に心の中に残っている。一緒に笑ったことや、何気ない会話も、今思い返すとどれも大事な時間だったと実感する。そして、新しい友達との時間もまた同じように大切にしていきたいと思うようになった。「会うは別れの始め」というように、仲がよくてもいつか別れはやって来て、さみしくなる。でも、必ずしも悲しいことばかりではないのだと思う。新しい出会いもあるし、会おうと思えばまた会えることもある。だから私はあの日の「バイバイ」は終わりではなく、新しい始まりだったのだと分かった。