集めているものは消しゴム
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年月日
「やっとこれだけ集められた。」
そう思って箱のふたを開けるたび、わたしは少し誇らしい気持ちになる。箱の中には、色とりどりの小さな消しゴムがきれいに並んでいて、まるで自分だけの宝箱のようだ。見ているだけで楽しく、つい時間を忘れてしまうこともある。ときどき角度を変えて眺めると、同じ消しゴムでも少し違って見えるのがおもしろい。
わたしは小学校一年生くらいのころから、歯医者さんでもらえる取り外しができる消しゴムを集めている。歯医者さんは正直こわくて苦手だけれど、消しゴムがもらえると思うと、少しだけがんばる気持ちになれる。
消しゴムは一回の通院につき一個だけなので、簡単には増えない。それでも少しずつ通い続け、今では二十個から三十個ほど集まった。ここまでそろえるのは大変だったけれど、そのぶん一つ一つに思い出がある。消しゴムを見ると、そのときの気持ちや出来事までよみがえってくる。
ときどきその消しゴムを使って、おままごとやお店屋さんごっこをする。パンの形や動物の形の消しゴムを並べて、自分なりにお店を作る時間はとても楽しい。値段を考えたり、商品を入れ替えたりしていると、本当にお店を開いているような気持ちになる。「がんばって集めてよかった」と思える瞬間でもある。
中でも一番のお気に入りはユニコーンの消しゴムだ。少し取れやすいのが難点だけれど、薄い紫や青、黄色が混ざった色がとてもきれいで、見ているだけでうれしくなる。光の当たり方によって色の見え方が変わるところも特別で、ほかの消しゴムとは違う存在に感じている。わたしの箱の中でも、特に目立つ場所にそっと置いている。
新しい消しゴムを手に入れたときの気持ちは、とても特別だ。たった一個でも宝物のように感じられ、箱に加えるときには、また一つ世界が広がったような気がする。その瞬間があるから、歯医者さんに通うことも少し前向きになれるのだと思う。
母は昔、かわいいシールを集めていたそうだ。でも、もったいなくて使えないまま大人になってしまったと話してくれた。その話を聞いて、わたしは大事にするだけでなく、楽しむことも大切だと感じた。だからわたしは、ときどき消しゴムで遊びながら、大切にする気持ちと楽しむ気持ちの両方を持つようにしている。
また、ヨックモックの缶も集めていて、消しゴムを入れるのに使っている。きれいで丈夫なのでとても便利だし、ふたを開けるときのわくわくする気持ちも好きだ。中をのぞくたびに、自分だけの小さな世界が広がっているように感じる。
集めることは、ただ物を増やすだけでなく、思い出や気持ちを一緒に重ねていくことだと思う。これからもわたしは、蓼食う虫も好き好きと言うことわざもあるので「好き」を少しずつ集めながら、一つ一つを大切にしていきたい。