自分自身の失敗や弱さを正直に書きながら、そこから社会全体の問題へ視点を広げていたところが、とても印象的でした。特に、「時間は破るためにあるのではなく、守るためにあるのだ」というまとめには、強い意志が感じられました。

<<え2007/310み>>

【総評】
この作文の最も優れている点は、「時間」という抽象(ちゅうしょう)的なテーマを、自分自身の 実感と社会全体の構造の両方から考察していることです。学校生活で感じる時間感覚のゆるみや、自分の「ギリギリを狙う(ねらう)(くせ)」といった具体的な体験を書いているため、文章に現実感があります。また、それを単なる個人の反省で終わらせず、「社会を成り立たせる基準としての時間」という視点へ発展させているところに、高校二年生らしい思考の深まりが感じられました。さらに、「日本の時間とボルネオの時間とは違う(ちがう)」という課題文の内容を踏まえ(ふまえ)ながら、「絶対的な時間」と「社会的な時間」の両方を考えようとしている点にも、哲学(てつがく)的な広がりが見られます。ユーモアを交えた自己分析(ぶんせき)も自然で、読み手を引き込む(ひきこむ)力のある作文でした。

【段落ごとの講評】
第1段落:課題文の内容を踏まえ(ふまえ)ながら、「時間は一つではない」という考えを丁寧(ていねい)に整理できています。特に、「日本の時間とボルネオの時間とは違う(ちがう)」という部分から、人によって時間感覚が異なることへつなげている点がよいです。単なる要約ではなく、後の自分の問題意識につながる導入になっていました。

第2段落:学校生活という身近な実例を通して、「時間にルーズになる空気」の原因を具体的に描い(えがい)ているため、非常に説得力があります。「今日は早いなと感じる」という表現には、少し皮肉を込め(こめ)たユーモアもあり、文章に生きた実感が出ていました。また、「チャイムが本来の用をなさなくなる」という指摘(してき)には、環境(かんきょう)が人の意識を変えていく(こわ)さがよく表れています。

第3段落:この段落では、自分自身の行動を率直に見つめながら、「見積もりの(あま)さ」という問題を深く掘り下げ(ほりさげ)ています。「五分前行動を心がけてやっと時間丁度に着いている」という一文には、自虐(じぎゃく)的なユーモアがあり、読み手の共感を呼びます。また、「連絡(れんらく)をすれば何とかなる」という現代的な感覚まで分析(ぶんせき)しているため、単なる個人の失敗談ではなく、社会全体の問題意識へ広がっていました。

第4段落:最後の段落では、「自由」と「社会性」という二つの価値を対立させずにまとめている点が見事です。「社会を回していくには統一された基準が必要」という考え方によって、時間の重要性を論理的に説明できています。また、「時間は破るためにあるのではなく、守るためにあるのだ」という一文は、自作名言のような力強さがあり、作文全体の主題を印象深く締めくくっ(しめくくっ)ていました。

【考えを深めるための質問】
 もし「時間を守ること」が社会の秩序(ちつじょ)を支えているのだとしたら、反対に、あえて時間に縛ら(しばら)れないことで生まれる豊かさには、どのようなものがあると思いますか。

字数/基準字数:1243字/600字
思考点:79点
知識点:85点
表現点:85点
経験点:74点
総合点:86点
均衡(きんこう)点:5点

 


■思考語彙 21種 23個 (種類率91%) 79点
 確か, 第,。しかし,。例えば,してやれば,そしてもちろん,だと,と思う,ないから,ないと,ないので,なので,の場合,変わらざる,学生にとって,守るため,拘らざる,狙うと,甘いから,破るため,関わらざる,

■知識語彙 68種 110個 (種類率62%) 85点
一念,丁度,不都合,人生,人間,今日,余裕,価値,先生,克服,具体,協力,原因,古代,問題,基準,場所,多様,多種,大体,大切,存在,学校,学生,少数,展開,座標,必要,悪癖,意識,所要,提出,日常,日本,時点,時間,普遍,有様,期限,本来,比重,深層,現代,現実,生活,発起,社会,空気,結果,統一,絶対,自分,船山,船頭,苦手,英語,茶飯事,行動,課題,調子,逆算,連絡,連鎖,遅刻,重要,長短,関係,集合,

■表現語彙 126種 213個 (種類率59%) 85点
 確か,あなた,こと,ことわざ,せい,そう,そこ,それ,それら,たち,ところ,の場合,まま,よう,わけ,ギリギリ,チャイム,ボルネオ,ルーズ,一,一つ,一念,丁度,上,不都合,二,五,人,人々,人生,人間,今日,何,余裕,価値,先,先生,克服,具体,内,分,前,協力,原因,古代,問題,基準,場所,塾,多く,多様,多種,大体,大切,存在,学校,学生,守るため,少数,展開,差,座標,弱,彼ら,待ち合わせ,後ろ,必要,悪癖,意識,我々,所要,提出,方,日常,日本,時,時点,時間,普遍,有様,期限,本来,机,枠組み,比重,気,水,派,深層,現代,現実,生活,用,癖,発起,的,破るため,社会,私,空気,結果,統一,絶対,習い事,自分,船山,船頭,苦手,英語,茶飯事,行動,見積もり,視,課題,調子,逆算,通り,連絡,連鎖,遅れ,遅刻,重要,長短,関係,集合,静か,

■経験語彙 37種 60個 (種類率62%) 74点
してやる,しまう,たたえる,つく,できる,ともす,と思う,ながれる,なす,れる,出せる,向く,噛み合う,回す,回る,変わる,守る,延ばす,心がける,感じる,拘る,持つ,放り込む,構う,泡立つ,狙う,登る,着く,破る,縛る,薄れる,起こる,進む,遅れる,違う,関わる,鳴る,

■総合点 86点

■均衡点 5点
 

時間
   高2 あうては(auteha)  2026年5月2日

 流れない時、時間を超えた時、そういうときは確かにあった。山川の流れにも表層のみずは白く泡立ってながれていても、深層の水は静かにたたえている。そういうことがある。時間も同じことである。時は、あるいは時間は我々の人生がその上に展開する座標ではない。日本の時間とボルネオの時間とは違うし、現代の時間と古代の時間とは違う。私の時とあなたの時とは違う。時間は決して一つになってはいない。

 第一の原因は学校で時間があまり守られていないからだ。多少遅れても構わないという空気があり時間が絶対的な存在だという意識が薄れてしまっている。例えば英語の先生はいつもチャイムから五分弱遅れてくるせいで、たまに二分遅れで来る時など、今日は早いなと感じる。変わらず遅刻しているにも拘らずだ。ほとんどの先生が長短の差はあれど大体その調子なので、連鎖的に私たちもチャイムが鳴った時点で自分の机にいる人は少数派になっている。そして次第にチャイムが本来の用をなさなくなり、時間を意識しない癖がついてしまって、結果的に時間にルーズになっていく。私たち学生にとって学校生活とそこでの人間関係の比重はとても大きく、学校でそのような有様だともはや如何ともし難い。

 第二の原因は所要時間の見積もりが甘いからだ。つい問題を先延ばしにしてしまい、ギリギリを狙った結果遅れることが日常茶飯事だ。習い事でも待ち合わせでも時間を後ろから逆算して余裕を持って行動しないと大体は遅れることとなる。私は課題の提出は期限内に出せることがほとんどなのだが、時間内に行動するということは結構苦手としている。具体的には、塾に時間通りについたり、待ち合わせ場所に時間を守って集合したりすることである。どうしてもギリギリを狙う癖がついていて、それにも関わらず、ギリギリを狙うとほとんどの場合遅刻する。そして、遅れそうになったところで連絡をちょっとしてやれば何も不都合なことは起こらないので、自分の悪癖をなかなか克服できないのもなかなかタチが悪い。ちなみにたまに一念発起し、五分前行動を心がけてやっと時間丁度に着いている。

 確かに時間に縛られないことも大切だ。私たちは本来気の向くままに行動する方が向いているのではないかと思う。しかし現実問題、社会という枠組みがあり、なかなかそのようには回らない。社会という枠組みに多種多様な人々が放り込まれているわけだが、彼らが互いに噛み合って社会を回していくには統一された基準が当然必要であり、それが時間であるというわけだ。船頭多くして船山に登るということわざがあるように、多くの人々が協力して行動するには普遍的、絶対的価値基準が必要となる。そしてもちろんそれらはただ存在するだけでは用をなさない。私たちがきっちりと守っていくことが重要となる。時間は破るためにあるのではなく、守るためにあるのだ。破るのを当然とするのではなく、いかにして時間通りに進んでいくことができるかを重要視していきたいと思う。