空白を埋めるか、休息を作り出すか
高1 蜩(aeriya)
2026年5月3日
ともかく現在、「何もしないでいる」状態を、「何もしない」ことで維持することは難しいのである。ぼんやりしているとこれまでの仕事の続き、これからの仕事の予定などが襲来し、「あれをこうして、これをああして」と、たちまちいたたまれなくなってしまう。「何もしないでいる」ためには、「そうでないこと」を真剣にやることによって、それらを締め出してしまわなければいけないのである。私たちは意識した時間の中で休息を見出すべきである。
そのための第一の方法として、何か時間を忘れて没頭できるような趣味を持つことだ。私は一つの趣味として絵を描いている。寝る前や休み時間などはもっぱら何かしらの紙に落書きをして過ごす事が多い。授業中の課題を片付けた後の暇な時間や少し睡魔に襲われた時などにもよく描いている。主に描いているものはアニメや漫画のキャラクターはもちろんのこと自分で考えたキャラや動物のスケッチなどで他にも描きたいものはたくさんある。私はまだあまり絵が上手い方ではないため、お手本と自分の絵の違いなどをよく観察して修正していく過程がなかなか楽しい。そのため、なんでも観察したり、妄想をする癖ができたようで、授業中に人やものを凝視して、手元に鉛筆と紙があれば何か描いているようになってしまった。そのせいか時々時間を忘れて描き続けてしまい、とんでもない時間になっていたこともある。(これが稀に授業中に起きているということは内緒だ。)このようなこともあるが、絵を描いているときはとても充実していて、何より楽しい。しかし、家で絵のネタを探すためにスマホを探すと時々後悔する。ネットを触ると、調べたものの関連記事が出てきてそれに夢中になってしまうのだ。現代の日本では、ほとんどの人が何か少しでも暇な時間があれば、スマートフォンを触り、インターネットやsnsを見ている。私が通学で使っている電車の中でも七割近くはスマホ、またはそれに近い電子機器を触っている。スマホは大多数の人々が持っており、いつでも起動できる便利な「暇つぶし」である。これらにも、時間を忘れさせてしまう力があるが、それは「次はどうするべきか」と自分で考え続けて生まれるものではなく、ただ流れに身を任せた結果勝手に時間が過ぎるに過ぎない。確かに時間を潰すだけならスマホに頼るのが一番良いのかもしれない。しかし、流れに身を任せるよりも主体的に行動する方がよっぽど充実しているのではないか。
第二の方法としては、期限厳守だけを評価するような社会を変えていくことだ。どんな課題や提出物にも「期限」というものは大抵存在する。それは、「いつまで経っても何も進まない」という事態を防ぐ手段である。しかし、この「期限」により「流れる時間」というものが作られる原因の一つであると私は考える。期限を設けるということは決まった時間の中で物事を進めるということだ。これの量が少なければまだよいが、現代社会はそう甘くはない。大抵、一日刻みで何かしらの期限がある。そうなると休みというものは自然と消滅する。まとまった休みが取れないということは、休息の場として、空白の時間を選ぶようになる。すると、スマホを触る時間も多くなるのだ。前述の電車でスマホを触る人が大多数であったことも、電車の中の隙間時間という空白を埋めようとしているということなのかもしれない。人というものは大抵、休息がなければ思考力が落ちるものだ。思考力が落ちれば作業効率が落ちて期限も守れなくなる。私も中学時代に似たような体験をした。定期テストというものは二週間前から最終日までほとんど休息というものは存在しない。私の場合三時間に一度、五分ほど音楽を聴くということをしていた。そしてテストが終わりやっとのこと休めるかと思うと、次は提出期限厳守のテストの振り返りが山ほど出されるのである。そして次はそれらの〆切に追われ、結局休むことなく、文を書き続ける。何もしていない時も「まだ提出物がある」と思うと気が休まらず、うまく休憩できなかった。最終的には自分で文章を考える事が出来なくなり、母に手伝ってもらいながら、夜中まで作業していたこともしばしばあった。このように「期限厳守」というものが多すぎると最終的にはとてつもない危機に立たされるか破滅するかの二択である。これらを回避するべく、期限厳守だけを評価するような社会を変えていくべきだと考える。
確かに期限を設けて「流れる時間」を作ることで時間の秩序というものを守っているのかもしれない。それらを守るために空白の時間やそれを埋めるものは必要と言える。それにより、人に疲れと言う名のガスが溜まってしまう。スマホを代表とした「空白を埋める暇つぶし」は多少のガス抜き効果があるかもしれないが、それにも限度がある。それが破裂すれば、割れた風船が元通りにならないのと同様にどうしようもない状況に陥ってしまう。そのような状態にならないためには休息による「積み上げる時間」と言うものが必要なのだ。休息とは、自分のガスを抜くためだけの穴ではなく、自らの人間性を育んだり、思考力や体力を元に戻すためのチャージポイントのようなものなのだ。よって私たちは意識した時間の中で休息を見出すべきであると考える。