前進あるのみ!

   小5 あけおお(akeoo)  2026年9月1日

 「うわー!とんぼがいっぱい!」

2歳の妹が、両手を開いて大きな声で言った。

ぼくは今年の8月、父と妹二人で、長野県の高山村にある、山田牧場へ出掛けた。「牧場」だから、本当は牛が見られると思ったが、牧場にいたのはヤギだけだった。しかも、2頭だけしかおらず、ぼくたちは少し残念な気持ちになった。だけど、ぼくたちがヤギに草をあげ、ふと顔を上げると、上空には100匹以上の赤とんぼが飛んでいることに気が付いた。そして、ぼくたちは、一気に楽しい気持ちになった。そして、100匹以上ものトンボがいることに、とても驚いた。なぜならば、ぼくたちは今まで、こんなにたくさんのトンボが飛んでいるところを見たことがなかったからだ。

 

 ぼくが3年生のとき、遠足で登った山にもトンボがたくさんいた。山田牧場ほどではないが、数十匹はいて、それはまるで小さな飛行機が飛び交っているようだった。ぼくもぼくの友達も、一生懸命、捕まえようとしたけれど、すばしっこいトンボはなかなか捕まえられなかった。

 母にトンボのことを聞いてみた。トンボは「勝ち虫」とも呼ばれていて、縁起がよい虫だそうだ。なぜならば、トンボは後退することがなく、前にのみ進む昆虫だからだそうだ。戦国時代には、前田利家が兜や刀のツバにトンボのモチーフを取り入れてそうだ。ぼくは、この話を聞いて、戦国時代から、トンボは人間にとって身近な昆虫だったんだなと思った。そして、前田利家はとても強い武将なのに、トンボのように小さな昆虫をモチーフにするなんて、意外だと思った。だけど、いつ敵に攻められるかわからない、争いが日常茶飯事の戦国時代を生き抜くためには、「勝ち虫」と呼ばれるトンボを心のよりどころにすることで、心を奮い立たせて、戦に臨んだのではないかと考えた。

 今、ぼくの学校にもトンボが飛んでいる。「勝ち虫」の話を聞いてから、ぼくはトンボが好きになった。そして、たしかにトンボは前にしか進まない。今までは、後ろにも下がるものとばかり思っていたので、本当に前にしか進まないことに驚いた。学校の休み時間、トンボを見ながら、

「よし、ぼくも前進あるのみ!」と、3時間目のテストに向けて、心のなかで兜の緒をしめた。