授業の渚 wa-05-2


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wa5.2 一つの集団は(感)

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 ぼくは、バオ君。ワタスゲの5.2週の課題を説明するよ。
 第一段落は、状況実例と意見。意見は「べき」という形で書いていくよ。第二段落は、そのための方法1。第三段落は、方法2。最後の第四段落は、反対理解とまとめだよ。
 では、紙芝居を見てみよう。
(1)
 ある集団ができたばかりのときは、活気がある。みんなも新しい学校に入ったり、新しいクラスになったり、部活に新入生が来たりしたときは、活気があると感じるでしょう。いろいろなことが新鮮なので、毎日その集団に行くことが楽しみになる。ところが、この活気も長くは続かない。集団はやがてマンネリ化して、退廃ムードが漂ってくる。
 宗教団体ももちろん、そう。できたばかりのときは、明日にでも世界が変わるような気がするのだけど、やがて、世界はそんなに簡単には変わらないことがわかってくる。すると、人間は毎日の同じような作業の繰り返しに飽きてくる。
 その飽きた心を再び活性化させるのが、裏切り者の発明ということだね。裏切り者によって、尊い犠牲者が出る。そのことによって、その組織は、永遠の生命を得るようになる。これが今回の長文の話だ。
 身近なところでは、クラスの中でのいじめなどもそうだ。たぶん、会社などでもそう。悪口を言う対象があると、みんなそこで元気になる。
 しかし、そんなところで元気になっていいのか。裏切り者や犠牲者を必要としなくても日々元気でいられるような強い人間になっていくべきではないか、というのが意見になるかなあ。
(2)
 集団がだれてくる例は、何も小さい組織だけに限らない。国のような大きい組織でも、よく内部の引き締めのために、裏切り者を作ることがある。国の場合は、内部に作るだけでなく、外部に作ることが多いけどね。
 あそこの国のおかげで、自分たちはこんなひどい目にあっているんだ、と言うと、みんな、なぜか納得して元気になる。本当の問題は自分たちのところにあるのに、よその国に、又は自分たちの中にいる架空の裏切り者にすべての原因があるかのように考えてしまうんだね。
 君たちも、子供のころ、テレビゲームをやったことがあるでしょう。バオ君も、小学生のころ、ファイナルファンタジーなどの夢中になったなあ。あのゲームが面白いのは、やはり敵がいるからだよね。アンパンマンだって、バイキンマンがいなかったら、すごくつまらない漫画になっちゃうはず。だって、アンパンが平和そうに空を飛んでいるだけなんて、面白くも何ともないでしょう。
 となると、原因の第一は、集団が内部の引き締めのために裏切り者を発明する、ということになるかなあ。
(3)
 宗教や政治というのは、こういう錯覚に陥りやすい集団だとも言える。それぞれ、自分たちがいいことをしていると思っているから、こんなにいいことなのに、みんながすぐに賛成しないのは、どこかに裏切り者がいるからだ、という論理になる。そして、裏切り者探しをすることが、その集団の主要な仕事になったりする。地道にいいことを普及させるよりも、裏切り者を見つける方が簡単で面白そうだからだと思うけど。
 現代の社会でも、過去の歴史でも、このような例は事欠かない。
 さあ、こうなると、秘密警察の登場だ。007なんて格好よく思えるけど、ああいう仕事自体がなくなることが、将来の理想の社会の姿なんだよ。軍隊とか警察などは、なければないに越したことはないんだからね。
 さて、第二の原因は、建設的な対策や具体的な提案がないから、後ろ向きの方向に進むということかなあ。
 裏切りなんて暗いやり方ではなくて、表切りで明るくやってほしいよね。
(4)
 さて、裏切り者の発明によって、集団は永久運動ができるようになる。
 宗教によっては、迫害に遭うこと自体が、自分たちが正しいことの証明だなどというわけのわからないことを言うところもある。まあ、そういう不屈の気持ちは重要だけど、大事なことは、迫害に遭わないような方法もしっかり考えていくということだよね。
 そして、どうしても集団の維持のために、そういう裏切り者が必要になるぐらいだったら、もうそういう集団はさっさと解散することだね。
(5)
 さて、問題は社会的なところにあるけど、その背後には、やはり一人一人の人間の弱さがある。僕たちも、裏切り者を発明しなくても済むように、いつも強く大きい心で生きていこうね。
 バオー、バオー、パオー。