創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ダイヤに勝る土   カエル

ピラミッドや古墳に代表される世界のお墓には、必ず金や銀の装飾品が死体と共に入れられている。古墳やピラミッドのような古代の墓は、当時その人物がどれだけの力を持っていたかによって大きさが異なり、一緒に埋められている装飾品からもそれをうかがい知ることができる。装飾品は古代から現代にかけて力の象徴として重宝されてきた。それが王と奴隷が「持つもの」「持たざるもの」と表現される一因だろう。古代の人々は、物を持つということに価値を見出していたのである。それなのに現代では、「物に執着するなんて、はしたない」と軽蔑の眼差しを向けられることがある。しかし本当に不幸なのは、物を大切に想うことが出来ないことである。(社会問題の主題)
現代は「物」が飽和状態にあるため一つ一つのものに対して感謝の気持ちがわかないのである。(複数の原因1)いまや生活の一部としてコンビニエンスストアは欠かせないものとなり、24時間空いていることで急な問題が起こってもある程度対応できるという安心感がある。しかし、ひとたび海外に行ってみると、いたるところにコンビニエンスストアがある日本なんかとは違い24時間空いている店はそうそう無い。その時、私達は物のありがたみを思い知るのである。そう、日本という国は言わば国全体がコンビニエンスストアのようなものなのである(たとえ)。手を伸ばせば、少し歩けば食べ物にありつけるという事に持つ安心感よりも、何か起こったときに私はどうなってしまうのだろうという危機感ばかりが募るのである。
最近は聞かなくなってきたが、環境対策で3Rという言葉がある。reduce・reuse・resycleの頭文字のRをとって3Rである。訳すと、(ゴミの)減少、再利用、再生利用となる。この3Rは、あまり知られていないが優先順に並べられていて、ゴミを減らすこと、その次にもう一度使う、最後に再生利用をする、という順番になっているのだ。私達が環境のためにしていると思っているリサイクルは、優先順位でいうと最下位でリサイクルをするよりも大切なことがあると知らないのである。ゴミをただ分けたからといって環境問題に貢献した気になってしまうのは本当は危険なのだ、まずしなければならないのは減らすということなのだから。そう、私達はリサイクルという言葉に甘え捨てることに何の抵抗もなくなってしまっているのである。(複数の原因2)
たしかに、物をずっと大切にし続けることによって新しいものが買えなかったり過去に縛られることもあるだろう。(反対意見への理解)しかし、「思い出はお金では買えない」のように、目に見えなくても価値を持つものはあるのだ。それは、ペンダントであったり、手紙であったりと、「物」にはよく思い出が残るものなのだ。私は、野球をやったことはないが毎年夏になると甲子園をよく見る。どこを応援してるからとかではなく、優勝に向かってチームが一つになる瞬間を見るのが楽しみなのである。そして、甲子園といえば「土」である。負けてしまったチームが涙を流しながら甲子園の土を袋に入れる瞬間は、なぜか目頭が熱くなるものだ。確かに土自体には何の価値もないかもしれない、しかしその土をかき集める選手達にとっては値段なんかをつけられない人生の思い出となるのである。ダイヤモンドより土を想える人達は幸せに違いない。

   講評   mae

 秀逸だったのは、「3R」の話。実は先生も、優先順位があるとは知りませんでした。リサイクルばかりに気をとられている我々ですが、実は「減少→再利用→再生利用」という優先順位。確かに、「リサイクル」という言葉に甘え、ものを粗末にしているという面を、ズバリと指摘できました。
 それゆえ、もったいなかったのは三段落の書き出し。二段落の流れで、いきなり「3R」の話が出てくるのは少々唐突。読み進めて初めて「あ、これは複数の原因2だったのだな」と気付くようになるので、ここは冒頭にやはり原因(背景)を書いておくべきでしょうね。
「また、リサイクルという言葉に我々が甘え過ぎているというのも背景の一つだ」
と最初に言い切ってから、「3R」を論じた方が効果的。
 最終段落では甲子園児が土を持ち帰る姿に着目し、うまくまとめました。
☆ただし、ダイヤモンドもモノ、土もモノ。ダイヤモンドの金銭的価値だけを考える人もいれば、そのダイヤモンドが持つ歴史(背景)に思いをはせることのできる人もいるでしょう。うまくまとまってはいるのですが、気になるのはそこ。そうすると、最後のまとめの一文そして題名が変わってくるよね……。細かい話ですが、少々ひっかかります。先生なら、

「たかが土、されど土。甲子園の土の価値をわかる心の豊かさが現代人には必要だ」

というような感じで終わるかなあ……。考えてみてね。


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