国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

昨日753 今日838 合計6730
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   私の財産   きへあ

   
 社会は個人から成り立つものとされている。したがってそれぞれの個人は、社会の構造、運営、将来について責任を持って行動していることになっている。しかし日本人の多くは、社会を形成する個人としてよりも、世間の中にいる一人の人間として行動している部分の方が多い。日本人の多くは世間の中で暮らしている。個人の性格にもよるが、世間の中で暮らす方が社会の中で暮らすよりも、暮らしやすく楽なのだ。しかし世間は、排他性やや差別的閉鎖性をもっている。電車の割り込み等がそれだ。そのような仲間意識が、是認されているために、私達日本人には、自分達が排他的な世間を作っているのだ、という認識がほとんどないのである。
私も「世間」の中で生きているのだろうか。そう考えた時、たしかに私にも「仲間意識」というものがあることに気付いた。例えば学校のクラス。私は、「三年七組のたけるさん」である。「三年七組」という一つの世間の中の一人である。また、部活。「演劇部三年のたけるさん」だ。この場合は、「演劇部」という世間に属している。このようにとても小さく、沢山の種類の世間の中で、私達は生きているのである。しかしこのような「世間」というものにとらわれすぎることは、果たして良いことなのであろうか。私はそうは思わない。
 良くないと思う一つ目の理由。それは、世間を意識しすぎると、個人の意見を出せないから、である。学校のクラスで、「グループ」という世間の中で生活していて、よく自分の意見を言えない時はないだろうか。グループで遊びに行く時。待ち合わせ場所が自分の住んでいる場所から遠い所に決まりそう。しかし皆それでいいと納得している。今更、自分一人の為だけにまた初めから場所を決め直してもらうわけにもいかない。そう思って、自分もいいよと頷く。皆がアイスクリームを食べようと店に入る時。自分はアイスクリームが嫌いだが、今ここでやめようとは言えない。皆食べるのならばがんばって自分も食べよう……。後者は私一人に限った例かもしれないが、「仲間意識」を持って生活していると、前に述べたような体験をすることが、しばしばあるのではないだろうか。昔から「長いものには巻かれろ」と言われてきたが、私は必ずしも長いものに巻かれて生きる人生が良いものだとは思わない。一つ一つのものやことに、自分の意見を持つことこそが、その人が生きる意味になるからだ。
 もう一つの理由は、「世間」にとらわれると、皆同じような意見しか持たなくなるから、である。例として、「行きたい海外旅行先」というデータを見てみよう。一位はオーストラリアで、五七・二%と、半分以上の日本人がオーストラリアと答えたというわけだ。ここにも、「世間」による仲間意識が関係しているのではあにだろうか。ご近所同士の話合いで、
「どこどこさん家がオーストラリアに旅行に行かれたんですって!」
「まあ! いいわねー。」
「どこそこのホテルがとても親切だったそうでね……。」
などという会話があったとしたら、それを聞いた近所の人達は口をそろえて「オーストラリアに行きたいわね」と言うだろう。このように「世間」によって、皆が同じ意見や価値観を持つようになってしまう可能性があるのである。
 私達にとって、「世間」というものが完全に不必要であるわけではない。仲間意識を持って、仲間内で助け合うことも必要だろう。しかし「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない」という名言があるように、「世間」という小さく狭い世界にとらわれて、自分の意見を出さないのは正しいことではないのだ。自分の意見や価値観を持って初めて、それが本当の「財産」になるのである。

   講評   kira

 きへあさん、こんにちは。西洋では、社会は自立した個人との契約によって成り立つと考えられています。民主主義の基本ですね。ところが日本は、社会のまえに「世間」というものがあり、そのなかで持ちつ持たれつの助け合いの関係をもつと言われます。その「世間」に排他性がみられる以上、とらわれすぎるのはよくないという意見でしたね。

 「世間」などと無関係のようにみえる学生も、学校などの様々のグループの内側では、みんなに意見を合わせて個人を押えるという体験を持っています。お付き合いで食べるアイスクリームはより冷たく舌をしびれさせそう。長いものには巻かれろ人生は、遠慮したいですね。
 同じ集団で似たような価値観になるのは、歩調が合って好ましいようにも見えますが、個性がないのは成長もないように思えます。近所の奥様達の会話、じょうずに演出されていますね。体験者みたい。(笑)演劇のセンスが生きているのでしょう。
 協調性をもちつつも、自分らしい考え方を主張できる人になりたいですね。ましてや「世間に顔向けができない」とがんじがらめになるのは問題ですね。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)