創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
持ってきて良かった、青いジャンパー なぞのたびびと
ガサゴソ、ガサゴソ。
「じゃ、行ってきま〜す。」
“バターン”今日は成人の日。お父さんとハイキングに出かけようとすると、お母さんが、
「待って〜!忘れ物よ〜!雄介、外は寒いからこのジャン—パーを持って行きなさい。」
と、青色のジャンパーを無理矢理リュックにおしこみました。ぼくは、
「昨日は寒くなかったし、どうせ今日も寒くなんかないよ。」
と、ジャンパーをリュックから出そうとしました。ところがお母さんはこんなことでは負けません。
「昨日と今日とは違うの!」
と、強引にぼくの手をはらいのけ、リュックのチャックを閉めてしまいました。ヒエ〜、やっぱりお母さんにはかなわない〜!ぼくは仕方なくジャンパーを持って家を出ました。
電車でニ時間、山のふもとの駅につきました。しかし、まったく寒くないじゃありませんか。ほら、やっぱりジャンパーなんかいらないじゃないか、なんて考えながら歩いていたら、いつの間にか、ぼくたちはトンネルの中にいました。ところがトンネルに入ってから五分以上も歩いているのに出口が見えません。お父さんと話し合い、引き返すことに決めました。入口の掲示板を見ると、トンネルの全長約一・ニKmと書いてありました。ヒエ—。これまたおどろいた。ぼくたちの足で約十八分もかかるぞ!その上このトンネルは目的の山の下をくぐって帰りの駅まで続いているようです。
「これじゃ、ハイキングしないで帰っちゃうよ〜!」
このあたりには人がまったくいません。どうしよう、と思っていたら、ぐうぜん耳の遠そうな百才くらいのおばあさんが来ました。右手に杖、左手に綱を持っていました。綱の先には犬がつながっていました。
「あの〜、すいませんけど、○□城はどこですか?」
お父さんがおばあさんに聞くと、なぜか犬がさわぎだしました。お父さんめがけてとっしんしてきました。すると、おばあさんは綱をまるでむちのようにして、犬をパシンとたたきました。犬はとっしんするのを止めました。ところが、今度は二本の足で立ち、お父さんにかみつこうとしたんです。お父さんはササッとよけました。おばあさんは、よほど耳が遠いらしく、
「○□、な〜に?」
と、聞き返しました。
「○□城です。」
お父さんがボリュームをあげてはっきりと言ったけれど、最後まで「城」という言葉がお
ばあさんに伝わりませんでした。ただ、○□という地名だけは聞こえていたようで、
「○□だったら、この角を左に行ったところだけど。」
と、左を指しました。
「ありがとうございます。」
おばあさんに言われた通り行ってみると、登山口が見えて来ました。Zみたいにカクカクした山道を登って行きます。ちなみに分岐点がいっぱいあるのに、標示がほとんどありませんでした。
やがて山頂につきました。涼しい風がヒューヒューと吹きます。でも、やっぱり寒くありませんでした。ところが!お弁当を食べ、山道を下り、駅に行き、電車に乗って、次がのりかえ駅の『はいじま駅』という時に、お父さんが、
「はいじまの人達はね、何を行っても『はいっ』と素直に答えてくれるんだって。それが町のじまんらしいよ。」
という、ものすっごく寒いギャグを言ったのです。
「・・・・。」
(よかった、ジャンパーを持ってきて!)と思いました。ぼくの反応にお父さんは
「あれ?」
と笑いました。もしぼくがおやじギャグ学校という学校の試験官だったら、お父さんのギャグに
「”十点”、不合格です。」
と言いわたすと思いました。
講評 hira
何度読み返しても笑ってしまいます。なぞのたびびと名作品集にまた作品が加わりましたね。12月の作文大賞もおめでとう! 本当になぞのたびびと君の作品は、本にしてみたいくらいだなあ。
※清書に関して・・・書き直しも大事だと思います。客観的に点数を知る、作文大賞への参加という意味で、PC入力もしつつ、本人が書き直したものを私の方に送って下さい。次月、1週目の作品の返却の時に一緒にお返しします。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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