創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   よ・り・み・ち   リラックマ

「さようなら。」
みんなで元気良く帰りのあいさつをすると、Aちゃんと私は学校を飛び出しました。おたがいの家が近い私たちは、いつもは一緒にお話をしながらも早歩きで帰ります。でも、今日はちがいました。私たちの家まで五〜十メートルぐらいの所にあるBさんのお宅で、遊んでしまったのです。そのうちの庭には、犬のベッキーがいます。ふだんは、一年三百六十五日ねているような犬ですが、今日はめずらしいことに、起きていました。Aちゃんが、
「あ、ベッキー、起きてる!リラックマ、今日、何か習い事、ある?ちょっといい?」
と目をかがやかせながら、たずねてきました。
「別に何にもないよ。」
と私は、家で私の帰りを待つお母さんのことを考えずに、とっさに答えました。
 Bさんの庭のフェンスにびったりはりついて、ずっと二人で、
「ベッキー、ベッキー、ベッキー、ベッキー。」
と、まるでこわれたCDのようによび続けました。すると、ベッキーはのっそりとふりかえって私たちの顔をしばらくながめました。しかし、近よってくる気配もなく、さらに十回ぐらいよび続けたところで、とうとう後ろを向いてしまいました。それでもさらに何度も名前をよび続けましたが、ベッキーは犬小屋の前にすわりこんでピクリとも動かなくなってしまいました。しばらくして、Aちゃんが、
「お母さん、心配するかもしれないから、もう帰る?」
と家に帰りたそうにしていたので、私は、
「そうだね。」
と返事をしてAちゃんと歩き出しました。そして、数十歩歩いてAちゃんの家の前で手をふり、家へ帰りました。
 家に着くと、いつもの帰宅時間より三十分おそかったようで、お母さんが青い顔をしてげんかんに立っていました。
「さっき、外で女の子の泣き声が聞こえたし、何かあったんじゃないかと思って、むかえに行くところだった。何もなくて良かった。」
と、私をだきしめてくれました。私は、何も考えずに自分の遊びたい気持ちをゆうせんさせたことでお母さんをこんなに心配させてしまい、もうしわけない気持ちでいっぱいになりました。もうこれからは、より道をしないでまっすぐ帰ってこようと、心の中で強く思いました。
 お母さんにも、にた話があるそうです。お母さんが中学生のころ、学校帰りに私と同じように十メートルぐらいしかはなれていない友だちの家で遊んでしまったそうです。家に帰ると、お母さんから、
「もう、ごはん作って待っていたのに。」とおこられたということです。でも、そう言いながらも、だきしめてもらったそうです。その時、やはりお母さんも、もうより道はしないようにしようと思ったそうです。
 私は、お母さんというものは、子どものことをとても大切に考えていると思います。なぜなら、おこりながらも、私のお母さんも、お母さんのお母さんも、どちらもだきしめてくれていたからです。これから私は、お母さんを心配させないようにしようと思いました。
 「さようなら。」
今日は、白い息をはずませて、Aちゃんと走って家に帰ります。

   講評   kou

 今回の清書を読んで、前回書いた作文の細かいところまでよく見直しをしていることがわかり感心しました。特に、おそくなったリラックマちゃんを心配するお母さんのようすやそのときのリラックマちゃんの気持ちがさらによく伝わるように書き加えられているところがさすがです。二人がお互いを思う気持ちがよく表れた、すてきな作品です。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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