対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   平和を未来へ伝える   ショウ

 慰霊祭のときに官僚が言う、犠牲がなければ今の平和がなかった、というのは間違いだと著者は考える。確かに、同胞たちの死を無駄とは思いたくない。意義のある崇高な死とみなしたい。しかし、数百万人の死という犠牲の上にしか二十世紀後半の平和が成立しないのだとしたら、そんな平和はいらない。死者たちの上に築かれた平和を楽しむ資格など誰にもない。覚悟ではなく無念の死であったと考えない限り、第二次世界大戦の悲劇はまた繰り返されるだろう。アメリカには、広島への原爆投下について、正当性を言い張る人々がいまだに多い。しかし、もし落とされなかったと仮定して、当時の日本には、どこまで指揮系統が混乱し、天皇はどこまで権力・指揮力があったのかをシミュレーションしたひとは誰もいない。高い位置にいたくせに責任をごまかす卑怯者ばかりが生き残ったとしたら、いくら慰霊祭を重ねても若い使者たちは浮かばれないだろう。
 戦争の悲惨さを後世に伝え、反省することは大切だ。僕は数ヶ月前まで、ポーランドに住んでいた。ポーランドは、第二次世界大戦勃発の地だ。今までに、ドイツやロシア、オーストリアに領土を分割され続け、世界地図から「ポーランド」の文字が消えてしまったことさえあった。そのポーランドには、ナチスドイツが作ったアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所や、ルブリン強制収容所など多くの遺産がある。ユダヤ人の虐殺が行われた場所だ。首都であるワルシャワも、他国の侵略を受けて多くの人が殺された。そのため、ドイツやロシアを憎んでいる人も少なくない。中には復讐してやる、と思っている人もいるかもしれない。しかし、そうでない人もたくさんいる。第二次世界大戦は、ポーランド北部のヴェステルプラッテという町から始まった。港に停泊していたドイツ戦艦が突然砲撃してきたのだ。そして、ここで何の準備もない状態で町を守るために、戦い、死んでいった兵士を追悼する慰霊碑がある。僕は修学旅行でこの地を訪れた。高さ二十五メートルにもなる大きい慰霊碑がある丘の上にたつと、周りには森が広がっていた。その森の間に、「NO MORE WAR」つまり、二度と戦争をするな、という意味の書かれた看板があった。戦いで亡くなった兵士たちが本当に望んでいることは、復讐ではなく、自分たちと同じ目に遭う人が二度といないことなのだな、と思った。
 しかし、どうしたら戦争にならないかを考え、対策をたてることも大切だ。昔話にさるかに合戦がある。さるに、おにぎりを柿の種と交換させられたかには、たくさん実をならせようと大事に育てる。ちょうど熟したころ、さるに、柿を取ってくれるように頼むが、自分は熟した甘い柿を食べるくせに、かにには、青い実しかくれない。その一つがかににあたり、死んでしまった。中から出てきた子供は、復讐しようと、蜂、栗、牛糞を集めて対策を話し合う。結果的に栗、蜂に怪我を負わされたあと、玄関にあった牛糞にすべって転んで、臼に潰されて死んでしまう、という話である。かにの子供たちは、綿密な計画を立てたからこそさるを倒すことができたのだと思う。
 確かに過去の戦争を構成に伝え、反省することも、回避の対策を立てることもどちらも大切だ。しかし、もっとも大切なことは、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ」という名言があるように、平和を求める気持ちを常に持ち、それを五世代も十世代も先まで伝えていくことだと思う。

   講評   kei

今月もよく頑張りましたね。
きちんと長文を読む力も、しっかり文章を書く力も着実につけています。自信をもって学習を続けてください。
 一つの物事をいろいろな視点から見たり、同じ事象を表現する場合に肯定的な言葉を使ったりということについても、日ごろから意識してみてください。
 来週も、素晴らしい作品を楽しみにしています。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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