創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   反省と対策   ハーマイオニー

 毎年8月になると、太平洋戦争の犠牲者に捧げる慰霊祭が行われる。広島、長崎、靖国の光景がメディアに取り上げられるのを目にする。そのたびに政治家や官僚の挨拶があり、「……みなさまの尊い犠牲のうえに今の平和があることを決して忘れず……」という言い回しがよく聞かれる。犠牲がなければ今の平和がなかったというのだろうか。誰でも同胞の死を無駄だとは思いたくない。しかし、無駄と認めないのは、自分たちの愚かさを糊塗しているのにほかならない。覚悟の犠牲ではなく無念の死であったという前提から考えないかぎり、また同じことが繰り返されることにはなるまいか。
 確かに、戦争の悲惨さを後世に語り継ぎ、反省することは大切だ。慰霊祭など、パフォーマンスに過ぎないと考えることもできるが、平和を求める象徴的な意味もあろう。過去の過ちを後悔し、二度と繰り返さないと誓う心情に嘘はないであろうし、死者に対する哀悼の意も人間としてきわめて自然なものだ。加えて、政治家や官僚の表層的な言葉は別としても、実際の被爆者が体験を語る言葉には胸を打たれるものがある。可能であるなら永久に語り続けてほしいと感じるのは、恐らく私だけではないはずだ。また、それを伝え続けていくことは後に残る人間の役目であると、強く思う。
 私自身も個人的に後悔や反省をすることはもちろんある。今年度開始直後の4月、友人のクラスで放課後、携帯電話でメールをしているところを先生に見つかり、没収されてしまったことがある。私の学校では携帯電話を所持することは許可されているが、学校で使用することは禁止されている。だがそのときはつい油断してしまった。(笑)学校から自宅に連絡が行き、その日は土曜日だったので、翌週月曜日まで返却してもらえず、非常に不便な思いをするし母には叱られるしで、散々だった。もう二度と見つかるようなミスは犯すまいと決意した。
 そうなのだ。「反省」するだけでは不十分である理由の一つは、その反省のポイントが、しばしば、このように「もっと上手くやればよかった。」というところに向かいがちだからということだ。戦争の場合においても「勝つ戦争」「良き戦争」をすればよかったという「反省」になっていないだろうか。その証拠に戦勝国は「戦争をしてしまった反省」などしない。「あれは必要な戦争であった」、「我々は正義を守った」と言うのである。
 それゆえ、どうしたら戦争にならないかを歴史的検証のもとに論理的に考え、その対策を立てることがより重要だと言えるのではないか。昔話の『さるかに合戦』においても、猿の口先三寸に騙され母を失った蟹の兄弟が、協力者を得てそれぞれの特技を生かし、綿密な計画を立てたうえで猿に勝利することが出来た。これが、毎年蟹が母の死を悼んで冥福を祈り、臼も蜂も参列して追悼しましたとさ、では話にならない。具体的に行動を起こし、団結して立ち向かったからこそ、猿を戒めることができ、問題の解決に繋がったのである。(但し、これは平和的解決とは言い難いかもしれないが。苦笑)
 確かに、過去の戦争を反省することは大切である。また、それ以上に戦争を回避するための努力をすることは大事だと言える。しかし、戦争とは過去の過ちであるだけでなく、未来の脅威でもある。今私たちに最も重要なことは、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ」という名言があるように、平和を求める強い気持ちを持ち続けることである。その精神が、相手を憎む心や征服したいという欲望に勝ることが、戦争を無くし、平和を実現するための条件となることであろう。単なる慰霊ではなく、この強い気持ちに裏付けられた現実的な行動とは何かということを考え、実行に移さなければならないときが来ているのではないか。

   講評   nara

 12月の森リン大賞も受賞! おめでとう。今月の清書もハイレベルをキープしているね。最初の作文が大筋で活かされているものの、細かいところに修正を加え、その分完成度が高くなっているよ。さっと読むと気付かないくらいの推敲だけれども、確実に奏功している。そして、初の900字暗唱成功。素晴らしい。この勢いでどっさりの課題と漢検も突破かな(笑)。

★以前に話した『ゴールデンスランバー』が映画化され劇場公開が始まったので、観にいこうか検討中。伊坂作品は伏線の張り方がうまいので、映像よりも原作の方が楽しめそうだけれど、映画も評判いいみたいだしなぁ。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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