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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   擬似自然から自然へ   闇の女帝

 私たちは都会に息詰まると無性に自然へ行きたくなる。高層ビルが立ち並び、人々がぞろぞろ群れを成して歩く。こういう光景に飽きて、大自然で羽を伸ばしたくなるのだ。高層ビルと人。草と空。どちらに開放感があるかといったら、もちろん後者である。しかし、自然で羽を伸ばすのにも条件もある。それは、晴れていることである。皆の理想は、青空の元、原っぱに寝ころびたいのであって、曇り空や雨の日は例外なのである。これを考えるたびにいつもなぜ、曇り空や雨の日は例外なのだろうと思っている。だから、一回曇りの日に、自然で寝ころんでみたくなって、家近郊で自然を探した。しかし、ないのである。自然がない。私たちの周りにあるのは誰かが手入れをしている疑似自然であって、草が伸びたい放題になっている、本物の自然はなかったのである。私たちは、家々がきっちり並んでいるように、草も同じようにきちんと同じ高さで伸びるように強制しているのである。
 私の家の近くにある公園は、噴水の周りに原っぱが広がっている。冬の間は、草は刈り取られているが、夏は青々と生い茂っている。私は夏の公園が好きだ。草が自分の思い通りに生えていて、少々小さいが本物の自然が楽しめる。それにたくさんの虫が集まってくる。しかし、最近の夏の公園は、どうもおかしい。草が同じ高さできちんと整列しているのである。というのは、「草ぼうぼうだと、蚊が発生する」とその公園の管理団体に苦情が来たのである。それで急遽、草を刈り取って駆除剤を撒くことになったそうなのだ。私は、これに物申したい。「草ぼうぼうだと・・・」というのは、私たちを主として物事が進んでいるのである。しかし、本当は自然を主として物事が進んでいなければいけない。最近、力をつけてきた人間は、自然征服をも視野に入れたらしい。自然征服などという昔では考えられない考え方を平気でしている私たち、自分自身が私は怖い。
 私の祖母の家は、京都の田舎に構えている。祖母はいつも、畑から野菜を収穫しておいしい料理をふるまってくれる。道路以外、全部草で、そこだけ時間がゆっくり流れているような感じがする。前に行ったとき、縁側にこしかけて自然をながめていたら心がとても穏やかになった。そして、横浜に帰ってきたときはあまりの騒々しさに、同じ日本かと思ってしまった。
全国のあちこちで都市化が進み、自然に囲まれた暮らしをしているのは、田舎のほうだけになってしまった。だから、アスファルトに咲く花などは、注目される。いつだったか、ど根性大根というのがニュースになった。たかが大根が出てきただけで、こんなに騒がれるのは、その分だけ都市化が進んでいるということなのである。今鳩山総理が掲げている、「コンクリートから人へ」の政治は、政治だけにとどまらず、どこにでも通用すると思う。人間にとって自然とは、心が安らぐ場所だ。「コンクリートから人」ならぬ「疑似自然から本物の自然」な国になったらもっと住みやすいと思う。

   講評   inoko

 闇の女帝さん、こんにちは。
狭い日本では、都市化の波がどこまでも及んでいる。自然をもとめて地方へと出掛けても、駅前には都会と変わらぬ光景が広がっている。草が伸びたい放題の空き地が、かつての東京にはそこここにあったものだ。快適な生活を求めて、道路が舗装され、空き地にはマンションが建ち、風景はすっかり様変わりしてしまった。緑の必要性から公園が設けられたとしても、それは作られた人工の自然である。自然は地球にとって人間にとって欠くべからざるものなのに、女帝さんが書いているように人間は自然制服に精を出してきた。自然を破壊するには、おそらくそれほど時間はかからなかっただろう。しかし、元に戻そうとするには、おそらくその何倍もの時間がかかるはずだ。だが、時間がかかったとしても、自然を軽視してきた私たちにはそれをする責任があるはずだ。完全に元に戻すことは叶わないとしても、自然に敬意を払いながら、地球の覇者としてではなく地球に住む生き物の一種として謙虚な姿勢で、自然を守る活動をしなければならないだろう。




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