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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   矛盾   コッペパン

 私の家は自動車がやっと通れるぐらいの路地に面している。都内にはめずらしく舗装されていず、道ばたには草が生えていた。女の子や小さな男の子が草の葉を引っぱっているのを私はよく見かけてる。大きな道にでる人々も回道をして、この道を楽しんでいる。
 ある秋、黄褐色に熟したエノコロ草をながめていると、となりの家のおばあちゃんが近づいてきた。「ちょっとネコジャラシをいただきますよ。お花の材料に。それにしてもこんな所に生えてくるなんてねぇ」となりのおばあちゃんは感心している。翌春私の家の前にスミレがさいた。ある日外出から帰ってくるとスミレがない。そう言えば出がけにおばあちゃんがほうきとちりとりを持っていた。おばあちゃんはそれを雑草と言うあつかいをした。
 数年たって道路は姿を消してしまった。町中の雑草に対する人間の態度は時と場所によってさまざまである。ハイキングに行けば「自然はいい」と言う人も自分の家に生えてきた草は血眼にひまぬいてしまう。
 僕の祖母祖父は家の近くの畑で野菜を作っている。畑と言っても農家ではない。ちょっと大きな家庭菜園だ。同じ横浜市なのでよく行く。小さい頃から草取り、収穫、耕したり肥料をまいたり。農薬も蒔いた。祖父の畑では芋、人参、西瓜、大根、胡瓜、トマト、苗などを作っている。僕は祖母の作った芋羊羹が大好きだ。芋羊羹はプリンのように柔らかく、カステラのように甘かった。ほかにも祖母は人参でケーキを作ってくれたり、トマトでトマトジュースなどを作ってくれた。
 祖父はまじめに草むしりをしているので畑はとってもキレイだ。同じ植物でも祖父は自分で種から作っている物しか大切にあつかわない。
 一方、父も祖父から畑の一角を借りている。しかし父は祖父とは違う野菜の作り方をしている。自然農だ。自然農とは、耕さないし草も取らない虫を敵としない農業だ。全てを自然に任せている。唯一、種を蒔くだけだ。その土地に合った種だけが生成して、土地に合わないものは育たない。でもいまだに収穫0。自然農の畑を見た祖父は「草取りしてあげようか」とか「耕してあげようか」などと聞いてくる。父は雑草という草はないと言っていた。祖父の知り合いも自然農をやっていた。しかし、その自然農は父のやり方とは少し違う。祖父の知り合いは毎朝虫を取ったり、雑草を抜いたりしている。僕の父とは違う自然農。この自然農は確かに農薬などは使わないが父はそれを自然農ではないといっている。しかし、祖父の知り合いは、それを自然農だと言っている。人それぞれ自分がそうだと思ったら自分の中ではそれが本当の答えなのだ。
 つまり人によって考え方が違うのだ。心の底から思っていることはやっかいで難しい。自分は親切にしたつもりでも相手にとっては迷惑かもしれない。情けは人のためならずと言うが、常識も人によって違うということを理解していないと逆にうらまれる。国によっても地方によっても常識や考え方は違う。宗教が違えば常識も違う。特に異文化を持った人に対しては、自分の常識をふりまわさないことが大切だ。

   講評   nikoro

 ひさしぶりの感想文ですが、様々な意味での成長の著しさに感心しました。考察の純粋さは以前にもまして深まっていて、また文章もとても洗練されてきました。
 要約部分はかなり的確にまとまっています。重要な部分を理解していますね。欲を言えば、「人間とは矛盾した生き物である」という部分が入っていると、今回テーマにした「矛盾」に、読者にもわかりやすくつなげることができると思います。
 「自然農」に対する理解のしかたの違いについてのエピソードが効果的でした。さらに、母方のお祖父さんとお父さん間の相違であることが、いっそう興味深いですね。そして、「人それぞれ自分がそうだと思ったら自分の中ではそれが本当の答えなのだ。」という一文が、大樹君らしくてすばらしいです。
 各項目、感想文としての構成、それぞれたいへんよい出来です。ちなみに、「情けは人のためならず」は本来、「人に情けをかけることは、自分にもかえってくる、つまり最終的には自分のためになること」という意味です。ただ、今回使われているような意味も、現代人が誤解して使ううちになんとなく通用し始めているようですね(^^)。言葉は生きている、つくづくそう思います。



 
 

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