創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   皆で楽しむということ   かせり

 大相撲をはじめて見にいったとき、観客席が四六時中ざわざわしていて驚いた。それは演ずる者と見る者、つまり演じられている舞台とそれを鑑賞する観客とを空間的に分離する劇やコンサートになれてしまっているからだ。私も将来、演奏をしたり展示をしたり公園を作ったりするときに、常に観客の参加を考えていきたい。 
 そのためには、第一に、参加による混乱を恐れないことである。私達の学校では月に一度、全校集会があり、集会の最後に一学年がゲームをすることになっている。去年、私の学年の番が回って来たとき、「誰が本当でしょう?」というゲームを催すことになった。初めのグループの五人は、飴をなめながらインタビューをされる、という設定にした。しかし、このうち三人は本当は飴をなめていない。それが誰かを見破った人の学年にポイントが与えられる、というルールだ。また、次のグループは同じように五人の人が前に出て、そのうち二人だけがくすぐられ、後の三人はくすぐられた真似をする、という。そして最後、私がいたグループは五人のうち二人が足マッサージを受ける、ということだ。ホームルームで話し合っているとき、ここまでは順調にいった。しかし、答えを言う代表者を学年に一人だけにするか、それとも誰でも手を挙げられるか、という話になったとき少しもめた。クラスの半分は誰でも手を挙げられたら混乱するのではないかと心配する一方、もう半分は皆で楽しむためには後者のほうがいい、と言い張った。結局、皆で遊べるほうがいい、という意見でまとまり、後日行われたゲームは大好評で混乱もなく終わった。混乱を恐れなかったのがより良い結果を招いたのだ。 
 第二には、上に立つ人が何でも自分でなんでもやりすぎないことである。去年、高校全体でのキャンプの時、各学年が劇をするようにといわれた。皆でその劇について話し合っているとき、クラスのリーダー的存在の女の子、Aとクラスでもめてしまった。クラスの一人一人が意見を出し、面白い設定を提案する度にAは「それだと話が複雑になって意味がわからなくなる」というのだ。最後には皆で考えた劇を発表することになったが、そうと決まるまではAとクラスとの言い合いになってしまった。Aが早く劇のストーリーを決め練習したい気持ちも分かるが、もう少し皆の意見も取り入れ、皆で楽しむことを皆望んでいたと思う。 
 確かに、静かに聴取する演奏会のような場があってもよい。私も集中して音楽を聴いたり映画を見たい時に横の人が大声で話していたり、携帯をしていたりすると気分が良くない。しかし、これからは「家の批評ができるのは、建築家ではなくそこに住む人なのである」という名言のように観客参加を考えていく必要がある。観客と一緒に楽しめば、演ずる側ももっと楽しくなるのではないだろうか。

   講評   tama

 「観客参加型」は、主催者側と観客の一体感が得られるという点で非常に面白いものである反面、下手をすると混乱を招き、収拾がつかなくなることも予想されます。それでもあえて観客参加にこだわるためには、混乱を恐れない勇気と、指導者だけが中心人物となってしまわないような環境を整える必要があるということですね。
 全校集会では、実際に観客参加型のゲームを行った経験があるようですが、最終的には、どうすれば全員が楽しむことができるかというところにこだわったのが、よい結果につながったと言えそうですね。
 反対に、リーダーがすべてを取り仕切ろうとした場合、他のメンバーの意見が取り入れられず、不満を持つ人が増えてしまうことがあります。また、リーダーに頼ることで、主催者側としての自覚が薄れ、自分たちの手でやり遂げようとする気持ちが失われる恐れもありますね。
 常に自分が中心となり、積極的に関わっていこうという気持ちは、演劇や音楽鑑賞の場に限らず、政治や地方自治などにも生かされるべきでしょう。

※「皆」、「もめた」の表現を、あとひと工夫。


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