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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   理屈と直感   たけたけ

日本人は淡白である代わりに持続力に欠けていると言われている。こういう傾向は言語にも影響している。細かいところを省略したり道筋を飛ばし、結論は相手の想像に委ねて、さりげない話でお茶をにごす。そういう淡白好みの通人たちが考えだした詩型が和歌であり俳句である。大昔から確立している和歌の形式は、日本人の感性、言語、思考を決定するほどの力を持っていたように思われる。俳句で表現しようとしているものを理屈で説明しようとすればおそらく何十枚もの文章を必要とする。それでも決して言い表せぬものを、この中に凝縮させている。論理を超える論理がそこにはあるからだ。完結した表現、整いすぎた言葉は詩にはならないのだ。僕は理屈ではなく、気持ちに訴えようとするコミュニケーションの取り方は良いと思う。
 その理由として第一に、相手の気持ちを読み取ろうとして思いやりが育つからだ。この前バンクーバーオリンピックが開かれたが、その中でフリープログラムを終えたばかりの浅田真央選手のインタビューを見た。しかし、演技が終わった直後という事もあって悔しさや嬉しさの感情が混ざってインタビューにとても応えられるような状態ではなかった。その中で彼女は「トリプルアクセルを飛べたことは嬉しいけど悔しかったです。」という事を言っていた。ここで、インタビューをしている人は、根掘り葉掘り聞こうとはしないで、「また次に向けて頑張ってください。」という事を言っていた。これも、その言葉で選手の気持ちを理解した上の思いやりなのだと思う。全てを説明してしまうのではなく、少し相手の考えに任せるように話すと、その相手が話し手の本心を読み取ろうとしたり、場にあった接し方をしようとする。つまり「一を聞いて十を知る」というコミュニケーションの仕方が生まれるのだ。それが十を話すと、全て話し手が話すことだけを聞きとって、それに対して何の疑問も持たないような会話になってしまう。言ってみれば日本のコミュニケーションの仕方は「気持ち」のやり取りで、欧米のコミュニケーションの仕方は「情報」のやり取りともいえるであろう。
 また第二の理由としては、短い言葉から想像を広げることによって感受性が豊かになるからだ。例えば、松尾芭蕉の有名な俳句に、「古池や 蛙飛こむ 水の音」というものがある。普通にそのまま解釈をすれば、古い池に蛙が飛び込んだ水の音がした。というだけのことになる。しかし、このたった十七文字だけでそこで作者が感じたことや情景を思い浮かべることによってこの俳句の本当の意味を持つと思う。だから、欧米人等は言語を情報として取り込むため、蛙が古い池に飛び込んだという情報だけでは何を訴えているのか分からないのだ。日本人は独自の文化を作ることによって感受性の高さを獲得した。企業の宣伝費というデータに 一位トヨタ自動車70.918百万円 二位花王49.237百万円 三位日産自動車46.703百万円(日経広告研究所 1995年)というものがある。広告と言えば新聞の中にあるチラシやポスター、それに何と言っても最も身近な広告と言えばCM(コマーシャル)であろう。一つのCMには何とたった十五秒間しか時間がないという。これだけの時間のために企業がここまで力を入れる目的とは一体何であろう。それは、日本人のこの感受性の強さに着目したからであろう。この頃はとてもインパクトのあるCMが増えてきたと思うが、たった十五秒間で商品や企業の良いところを説明することは難しい。それで、短い言葉で視聴者に想像をさせるようなセリフが多いのだ。車のCMだったら例えばコンパクトサイズなのをアピールしたいときは「フィットするって気持ち良い」等と言ってそこからその車の良いところを想像させるようにしているのであろう。
 確かに、物事を理屈的に考えることも大切だ。しかし、「辞書のような人間になることではなく辞書を上手く使えるような人間になることが勉強の目的である。」という名言があるように、短い言葉を効果的に使う事が大切なのだ。

   講評   kira

 たけたけくん、こんにちは。日本人は論理的でない、曖昧であるといった意見を以前にあつかったかと思います。言葉を並べ立てるのではなく、短く伝えて共通の感受性で理解しあえるのが日本人の特徴です。プラスにとらえてみたいね。

 思いやりの発揮については、多くを語らない日本人の美学をオリンピックで感じとりました。それも若い選手というところに驚きますよね。多くの日本人が、彼女の心のうちを手にとるように知ったのです。

 その共通の感受性は古くからえんえんと受け継がれています。古池やの例もいいですね。情報ではない境地を受け取るのです。

 理屈で伝えることは練習すればできそうです。それよりも思いやりのコミュニケーションができることをもっと誇りたいですね。


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