創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   がんばれ!と言われても   くくれ

 8月某日、午後。「行くよ!」そして叔父の車に乗り込む。「忘れ物はない?」「じゃあいくよ。」始まってしまったか。そして高速に乗ってから2時間。高速を降りると、そこは静岡だった。そのあとは山道が続いて、そろそろ人間の方もガソリンを補給したいところ。あと10分居酒屋(なんとこの居酒屋、都合のいいことに定食も扱っていた)に着くのが遅ければ非常食(柿ピー)を山に入る前に食い尽くすところだった。駐車場に着いた。そこで車内泊。
 翌日午前7時。起きて、登山口に向かうバスに乗る。なぜか持たされた保冷バッグ。果たして中身は何かな?ザック(リュックサック)の重み(約20キロ)に耐えながら歩き続ける。天気良好。しかし、木しか見えないので苦しいだけ。小屋でゆっくりする姿を思い浮かべながら歩く。午後2時。全員しゃべる余裕も無くなったところでこの日の目的地に到着。しかし、山小屋は無く、粗末なプレハブが有るのみだった。どうやら火事で焼けたらしい。仕方が無いので、そこでテントを張って寝る。
 次の日、起きると雨が降っていた。後ろから見ると、(ザックの一番上が僕の頭より高いので)「ザックのオバケ」状態で歩く。弱音吐いたらそのまま動けなくなると自分に言い聞かせながら歩く。しかも南アルプスは山が大きい。山頂から600メートル以上も下り、また上り返す。命からがらこの日の目的地に一番近い山頂へ。そこからたった50メートルくらいのはずなのだが、見えない。霧で10メートルも見えない。その後すぐ、目的地到着。1時間経ったら急に晴れた。は?と思いながらもう一度登頂。果たして、僕はなぜこんな所に来たのだろう。
 また次の日は雨こそ降っていなかったが風が強い。何回か吹き飛ばされそうになりながら、寒さで歯を食いしばりながら、ひたすら歩く。12時頃に、昼飯代わりにビスケットを食べる。すると、前にいたグループが
休んでいた。いいなー。ここで泊まるのかー。と思って歩き出す。と、一瞬霧が晴れた。前には急な登り。嫌な物を見たと思いながら歩く。気がついたら、そこはさっきあれほど高い位置にあった山頂だった。狐につままれた気分で下る。「頑張れ」と父。うるさいよ、と思っていたら着いた。すぐには何も考えられずにただ放心状態の僕。すると、父が何か僕のザックから取り出した。あ、例の保冷バッグだ。中身はすべて酒だった。疲れていたのと、飲めもしない酒を持たされていたことに怒りながら祝杯をあげる。僕は何を飲んだか?自販機で買った「南アルプスの天然水」だった。嫌味を感じながらおかわり。「南アルプスの天然水」はここからすぐのところに湧き出ている。布団に入ると疲れからあっという間に寝付いていた。
 ついに来た最終日。しかしただ下るだけ。3時間かけてついに登山口に戻ってきた。色々思い出しながら本当に「我慢」という言葉が似合う山旅だと思った。冷静さを取り戻したところで父に嫌味をぶつける。
 僕は「頑張る」と「耐える」は同じだと思う。頑張れば少しは耐える力も身につくはずである。ぼくも、この山旅のあと、少しのことでは驚かなくなった。気づかない間に「頑張り方」が分かっていた。初めは気負わないで、頑張るのは苦しくなってから。でも、初めに気負わないのは難しい。頭では分かっていても力を出し過ぎてしまう。それに、僕は頑張っている時に「頑張れ」と言われると腹が立つ。それは人事だよ、と。だから頑張っている人には素直にほめるべきである。

   講評   kira

 くくれくん、こんにちは。頑張ることは自分の内なることであって、対話もない自分だけの言葉なのだなと教えられました。
 ふと、ある話を思い出しました。障害を持つ人による講演会で聞いた話です。その人は「私にとっていちばんいやなことは『がんばって下さい』と声をかけられることだ。」と言いました。頑張れる場所を見つけようともがいているところに、頑張れと他人事のようにいわれるのが辛いのだそうです。では、どう声をかけたらいいいのだろうと私は悩んだのですが、くくれくんの作品を読んでわかった気がしました。

 お父さんと挑戦した登山の記録は、まるで今歩いているかのような生き生きとした描写で、心がつたわってきました。頑張り方がわかった今、毅然として目標にむかえますね。

★書き出しの結びが明確になって、前の話聞いた話が入れば完璧でした。


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