創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   辞書の使い手   きへあ


 日本人が淡白であるかわりに持続力に欠けていると言われるのは、生活感覚に左右されているからではないか。このような傾向が言語に影響されて、こまかいものは省略するというようなことになるのだ。それがわからないと野暮だと相手にしない。だから、お互いに以心伝心の術に長ずるようになるのだ。そういう淡白な人間が考えたから、和歌や俳句の形式は、日本人の感性、言語、思考を決定するほどの力を持ってきたように思われる。これらは、言葉の論理に背を向け、感覚的に全体を直感で把握するものだ。完結した表現、整いすぎた言葉は詩にならないのである。
要するに私は、議論や理屈で説明するのではなく、直感で訴えるような日本のコミュニケーションの取り方は良いものだと思う。
 理由を二つ挙げてみる。
一つは「話の受け手が、積極的に話し手の意図を読み取ろうとするから。」だ。こんな体験はないだろうか。自分がへこんでいる時、親しい友人が、
「何でへこんでるの?」
とか、
「何があったの?ねえ、ねえ。」
なんてしつこく問い詰めてこないで、ただただ静かにそばにいてくれる。
私達日本人のコミュニケーションの取り方の一つに「以心伝心」というものがある。言葉で言いたいことを伝えなくても、相手がそれを感じ取るといったようなことだろう。これは、人と親しく付き合うにつれてどんどん大事になっていくものだ。日本人は親しい人にいちいち物事を長々と説明することを億劫だと思う。このようなことによって生まれるのが「思いやり」である。相手が今何を思っているのか、考えているのか、その場の空気を察して気を使うのである。したがって、この日本的なコミュニケーション法によって、思いやりをもった日本人が出来上がるのである。
 もう一つの理由に「日本的コミュニケーションをとっていると、言葉が短くても、その言葉から想像を広げることで、感受性が豊かになるから。」だ。例えば、「各企業が商品の宣伝にかける宣伝費」というデータを見てみよう。一位はトヨタ自動車で、約八百億円となっている。テレビで放送されているコマーシャルというのは一つ十五秒、長くても三十秒と、とても短い。その短い時間で企業は視聴者にその商品について伝えなければならない。ではなぜ企業は宣伝費に莫大な金を費やすのか。「日本人は、たとえ短い言葉であっても、自分達の伝えたいことをきちんと受け取ってくれるだろう。」と信じているからだと私は思う。だから起業はこんなにも金をかけられるのだ。また、そのような企業の意図を想像を膨らませて受け取ることで、私達はもっともっと豊かな感受性を得ることが出来るのだ。
 確かに、物事を論理的に説明する能力も欠いてはならない大切なものだと思う。しかし、「辞書のような人間になることではなく、辞書をうまく使える人間になることが勉強の目的である」という名言があるように、短い言葉を効果的に使うような日本古来のコミュニケーションの取り方を大切にすることも、とても大事なことだと私は思う。

   講評   kira

 たけるさん、こんにちは。様々なことで西洋化、近代化がもてはやされますが、日本的なコミュニケーションのとり方はやさしいですね。しかも感受性の鍛錬にもなるようです。

 受け手が積極的に相手の意図を読み取ろうとすると、想像力が豊かになります。説明能力が前提となる関係より、理解する気持ちが優先される関係の方が、より親しく安心でしょう。ちょっと前に流行ったKYであることが、日本では嫌われる所以ですね。

 また、企業の広告宣伝にかける情熱(金額)でわかるように、私たちは短い言葉から詩的な刺激を受けて、多くのイメージを受け取ることに秀でています。(俳句などと共通する感受性ですね)

 確かに、学問や会議といった誤解やすれ違いの許されない場面では、論理性や理屈が大切です。しかし、人が感情豊かに生きていく場においては、日本らしい相手に委ねる語り方が生きてきます。心豊かの原点ですね。


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