創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   おいしい記念日   なつみかん

「ねぇ、入れたらすぐにかき回すんだよね?」
思わず母に尋ねる。卵焼きを作るなんてめったにないから、失敗したらいやだ。絶対成功させたい。
「やってみたらわかるって。」
母は半分笑いながら、半分あきれたように言う。母の言葉で、私は覚悟を決めた。
「ジュ—。ジュクジュクジュク・・・・・。」
卵が勢いよく音をたてる。私はその勢いに負けないように卵を菜ばしでかき回す。いよいよ緊張の卵焼き作りの始まり。今日は卵焼き記念日だ。
 卵焼きを作るのには、いろいろな過程があるが、私が一番難しいと思うのは、卵焼きを手前にひっくり返すことだ。卵焼きをひっくり返すときは、フライパンを動かし、菜ばしで手前にパタンとひっくり返す。母がやっているのを見ると、なんとも簡単そうだ。しかし、実際やってみると意外にひざを使い、疲れる。手の筋肉も緊張しっぱなしだ。ひっくり返すとき、形が変になってしまえば見た目が台無しだ。おっかなびっくりやっているので、無意識のうちにこしがひけている。他の人から見たら、
「何でそんなことで緊張すんの?」
というようなことなのだが、私にとってはとても大事なことなのだ。
 今回卵焼きを作ったのは、社会科見学のお弁当として持っていくためだった。こげなくて見た目ばっちり、最高のできばえだった。私は満足して社会科見学の日(というよりお弁当)が楽しみになった。社会科見学当日、お弁当を食べる前に、友達と
「今日のおかず何かなー?」
と話したので、私は少し得意げに、
「私は自分で卵焼きを作ったよ!」
と言った。友達のへぇーと言う感心の声を心地よく聞きながら、私は卵焼きを作るときの大変さを話した。
「あのさー、卵焼き、ひっくり返すのすっごい難しいん
 だよ。意外にひざも使うし・・・・・。」
(あれぇ?そういえば・・・・・。ああっ!)
そのとき、私は卵焼きの味付けをすっかり忘れていたことに気がついたのである。最高のできばえのはずが、それはただの見た目だけに過ぎなかったのである。出来立てほかほかの卵焼きを目の前ににやっと笑っていた自分が、恥ずかしくなった。味のない卵焼きを食べるときのあのむなしさ。今でも忘れない。
「お母さんもお弁当に入れてくねー。」
とこの無味の卵焼きをお弁当に入れていった母も、今頃同じような気持ちなのかなと少し情けなくなった。
 卵焼きを作ったのはこれが初めてではない。小さい頃から結構たくさん作ってきた。失敗した卵焼きは数え切れない。焼き加減がわからなくて焦がしてしまったり、ひっくり返すときに変な形になってしまったり・・・。そんな見た目の失敗はたくさんしてきたが、味付けを忘れたのは初めてだった。見た目がうまく作れるようになってきたので、少し調子に乗ったのかもしれない。やっぱり花より団子。見た目より大事な味を大事にしないなんて・・・・。少し反省した。
 初めての味なし卵焼き。成功と失敗が混ざったこの日は、私にとって貴重な「記念日」だ。
 

   講評   arare


 小学校では、何事にも全力投球だったのではないですか。
 中学生になるのが楽しみですね。

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