創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   冷静な感情を狂わす熱情   きとみ

「少しでも正気の期間が続きますと、なんとなく倦怠感を覚え、狂気への郷愁にかられる。」狂気という言葉は漢字にしてみると、とても怖い印象を受ける。気持ちが狂う、と書くからだ。しかし、この言葉は決して感情が乱れ狂うという意味ではない。「冷静な感情を狂わせる熱情」という意味があると私は思う。人間、ときにはがむしゃらに夢や目標に向かうことも大切だ。だから私は、狂気とは人間に必要なものだと思う。
 そう思う第1の理由は、狂気と呼ばれるほどの行動力や集中力がこの時代を創り、発展させてきたからだ。今の世の中は、電化製品がとてつもなく発達し、スイッチひとつでなんでもこなすことができる便利な世の中だ。しかし、この便利な道具はひとりでに生まれてきたものではない。ほんのすこし頭の良い学者が狂気とも呼べる集中力を発揮し、そこから生まれた発想でできあがったものなのだ。つまり、はじめから天才と呼べるほどの人間は居ないわけではないがとても少ない。しかし、少し頭が良いだけの普通の人間でも狂ったような集中力を発揮することで天才のような発想をし、やがて天才と呼ばれるようになるのだ。つまり、この狂気と呼ばれる集中力から生まれる様々な発想や行動がこの時代の進化を進めてきた。私も最近狂気と言うべき驚異的な集中力が発揮できたときがあった。それは学年末テスト前の3日間だった。冬期はウィンタースポーツをする私にとってはパラダイスのような時期なのだが、毎夜のナイター練習などで勉強ができないことが悩みだった。それでも小学生のころはテストなどなく思い切りスキーができたのだが、中学校はそうはさせてくれなかった。テスト勉強期間で部活が中止になり、充分な勉強時間をとって成績を伸ばしていくまわりのみんなを見ているうちに自分も頑張らなくてはと何度も思った。しかし生徒会活動でただでさえ下校が遅いのに加え、ナイター練習にいくと帰宅するのはもう夜遅くになってしまい、いつも「明日明日」とテスト勉強を先延ばしにしていた。しかしテスト3日前になってからようやく危機感が芽生えた。このままでは点数が落ち、順位が落ち、みんなに取り残されてしまう、と。わたしはその日から練習を休み、朝から晩まで勉強をした。もう3日しかないんだから、と覚悟を決めて苦手な教科もドリルと激しく睨み合いながら頑張った。人間の集中力は一般的に長く持っても30分と言われている。しかし私は一心不乱に取り組んでいたため12時間や13時間も集中力を持続させることができた。さらに集中してとりくめば、理解しながら問題を解くのは案外楽しいことなんだということに気がついた。これは今思えばかなりの「狂気」だったのではないかと思う。このように狂気と呼ばれる集中力があればなんでもやり遂げられるし、いつもとは違うものも見えてくるはずだ。
 第2の理由は、「狂気」といういつもとは異なる感情がないと毎日同じような平凡な日々しか過ごせないからだ。刺激のない人生ほど飽き飽きするものはない。毎日同じ感情をもち、同じ事をしていたのでは何も楽しいことは生まれない。しかし普段の生活に狂気という熱情を織り込むことでいつもとは違う世界が見えてくるのだ。すなわちこれが「刺激」というものなのだろう。一つ例をあげてみるとする。40代男性のストレス解消法は1位がお酒2位がパチンコ3位が競馬だ。このなかの、パチンコと競馬は特に感情的になり熱の入るものだ。悔しさ、嬉しさという熱情はやはり狂気と呼ばれるものなのだろう。さらに、40代女性のストレス解消法を見てみると、こちらは1位買い物2位友達との会話3位長電話だ。買い物は物欲を満たしたいという感情のほうが大きいかもしれないが、友達との会話や長電話は感情が入り、話がふくらんでいくものだ。このとおり人はいつもと違う熱情的な感情が入ることでストレス解消にもなり、また刺激的な日々をおくることだできるのだ。
 たしかにやるべき事を冷静に判断したり、落ち着いて行動するというのもとても大切なことだ。しかし「行動するためには多くのことに無知でなければならない」という名言もあるように、初めから知識を引っ張り出していろいろと考え、その元で慎重に行動するのではなく、「狂気」と言えるほどに集中し無我夢中で走ることが、人生を楽しくさせ、その道を切り開いてくれることだと思う。私もこれからの人生を、慎重にだけでなくどんどん挑戦して刺激を受けながら過ごしていきたいと思う。

   講評   inoko




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