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　　　私が市場へゆく道は　　　きれあ

道が一番道らしいのは、人が踏みしめてできた、自然の道である。舗装された道も大事だし、新しい高速道路のようなものであれば立派な舗装があってこそである。しかし、ほとんど車も通らない昔ながらの通り道のようなものまで舗装する必要はないように思える。無味乾燥で車が通る目的しかないアスファルト道とは違って、人が踏みしめてできた土の道には子供心をくすぐるたくさんのものがあったのだ。それを舗装によって失ってしまうのはなんとももったいないことではないだろうか。
人間が作ったものは所詮自然にはかなわないのだと思う。例えば植物で考えてみると、やはり自然の生花には、どんなに綺麗で精巧に作られた造花でも適わないと言えるだろう。造花は人の手で作られたにせものだが、どんなに時間がたっても枯れることはないし、水をあげたりその花のために温度や環境を考えなければならないということもない。そして人の手で作り上げたものなので、全ての花の大きさ、形、色などが人の理想通りで、すばらしいもののように思える。だが、どんなに美しい造花でも生きている花には勝てないのだ。生きている花は水をあげなければすぐに枯れてしまうし、そこが暑すぎたり寒すぎたりして、環境が合わなければ花を咲かせてくれなかったりする。小さすぎたり、傷ついた花も中にはあるだろう。そして、どんなに綺麗で完璧な花だったとしても、いつかは枯れてしまうものだ。しかしだからこそ美しいのではないだろうか。いつか枯れてしまうとしても、それまでの間一生懸命に咲き続ける生花。どこか欠点があったとしても凛としていて美しい。花びらを触れば、造花とは違うみずみずしい手触りで生きていることを感じさせてくれる。そんな自然の花に、人が作った造花が勝てるわけがない。人間がどんなに技術を駆使しても、自然には適わないのだ。
同じように、自然林と植樹林でも違うと思う。大昔からの自然だけで出来上がった森と、人が植樹してできた森は、やはり自然の森の方が美しいのではないかと思う。植樹林は全て人が関わっていて、木の種類が同じだったり、綺麗に間伐がされていたり、等間隔に木が植えられていたりするだろう。だが自然林はそんなことはありえず、雑多な植物たちが寄り集まってできている。あまり綺麗とは言いがたいかもしれない。だが自然林には大昔からの生態系があって、たくさんの動植物が共存している素晴らしい世界ではないだろうか。逆に植樹林は人の手が加えられていて整然としているだけのように思える。雑多な動植物はおらず、昔からの生態系もない、寂しい森になってしまいそうだ。そう考えても人の手が加わっていない自然の方が良いものなのではないだろうか。
こう考えると、自然というのはとても大切な存在だと分かる。全て人間の手によって作られたものや、整備しつくされたものだったら私たちは息苦しくなってしまう。もちろん人の手が加わったものも大切だ。しかしそればかりではいけない。適材適所という言葉があるように、人の手をくわえなければならないところは加え、自然のまま美しさを残した方が良いところは残さなければならないのだ。この地球から美しい自然をなくしてはいけないと思う。そしてそれだけではなく、人はその自然を美しいと思い、それを大切にできる心をなくしてはいけないのではないだろうか。

　　　講評　　　kira

　きれあさん、こんにちは。（ペンネームを考えるといいね。ネット上だから）うまく要約しましたね。人間の技術は自然を超えるものではありません。

　まず、身近な花を考えました。都会には花屋さんが多いと思います。自然を求める気持ちが強いからだと思いますが、花屋の花や造花は理想の美であって、自然の美ではないのですね。自然の美とは、さとこさんが言うように「いつか枯れてしまうとしても、それまでの間一生懸命に咲き続ける」姿、命の美しさですね。
　次には森を考えました。ここもいい例をあげて論じています。自然林と植樹林は、生きものが集まる森と寂しい森という違いがあるのですね。
　まとめの流れもすばらしい。できればここにキーワードを入れたいね。つまり、さとこさんが二・三段落で気付いた「命」ということです。
　最後は「なくしてはいけないのではないだろうか。」と控え目にしないで「なくしてはならない。」と言い切ってみよう。

★段落の始めに「スペース」を入れましょうね。