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　　　あだ名はよい　　　コッペパン

　僕はこの春、小学校を卒業し、同時に、Ｋ先生も他の学校へ転勤した。Ｋ先生は、僕が小学校へ入学する前からこの学校にいて、僕が一年生から六年生になるまですべて僕と同じ学年の担任をしていた。五年生の時、一度Ｋ先生は僕のクラスの担任をしていた。しかし、Ｋ先生と呼んだことは、一度もない。僕だけでなく、みんな普段は「かーばっち」と呼んでいる。僕はあだ名はよいと思う。その理由は二つある。
　第一に、あだ名で呼ぶと親しみがわくことがある。「かーばっち」の授業は面白く、楽しく勉強ができるし、先生のことを「かーばっち」と呼んでいるとなんだか親しみがわく。先生のことをあだ名で呼ぶことはそう多くないと思う。なんか友達を呼んでいる見たい所がすごく親しみがわく。
　第二の理由は、あだ名を使わずに呼ぶと、かえってわかりにくいことがあるからである。僕の通っていた小学校には、「Ｓ〇〇」と「Ｓ〇〇」がいた。一文字違うがまったく同じ音である。それだけではない。さらに、この二人は同じマンションに住んでいた。ある日僕の友達が「〇〇」に向かって、
「おーい四階」
と言っていた。
なぜ四階と呼んでいたかと聞いてみたら、「Ｓ〇〇」が四階に住んでいて、Ｓ〇〇は六階に住んでいるから、〇〇は四階って呼ばれているよ。と言っていた。
　確かに、人を傷付けるようなあだ名もある。相手の気分を悪くするようなあだ名はするべきではない。漫画の「ドラえもん」に登場する「ジャイ子」は「ジャイアン」の妹だ。インターネットでこんな記事がのっていた。「ジャイ子」はあくまであだ名であり、本名は別にあるけれども、それは「不明」、というのが定説になっている。「もし、名前を決めて、今それが、幼稚園、小学校に行っている女の子の誰かと同じ名前の子がいたらきっといじめられるだろう。ジャイ子とお前、同じ名前だなあ、といじめられるのは、可哀そうだから、やめましょう」って言っていた。<引用ここまで>
藤子不二雄さん（作者）は、心ない友達に、「ジャイ子」とあだ名をつけられて傷付く女の子を心配して言ったんだろう。確かにあだなによって人を傷付けるような場合はよくない。しかし、あだ名をうまく使えば人間関係の潤滑油になると僕は思う。一人の敵も作らない者は、一人の友も持たないという名言がある。あだ名のような使い方によっては人を傷つける可能性のある者をうまく使うことによって、僕達はより深い友達関係を作れるのではないか。あだ名のない世界なんて、あじけなくてイヤぁだな。<ユーモア>

　　　講評　　　nikoro

　中学生として書いた第一弾の作文、上々です！
　新項目すべて完璧です。「体験談」と絡めた「複数の理由」がすっきりとして説得力があります。いつもながら話題が豊富ですね(^^)。「かーばっち」のように気軽にあだ名で呼べる先生は、本当の意味で生徒に尊敬されているのでしょう。「四階」くんの話も、「事実は小説よりも奇なり」の身近な例で、面白かったです。
　「ジャイ子」というあだ名について、確かに人によっては嫌がるかもしれませんね。作者が本名をつけなかった細やかさに言及した「反対意見への理解」がとてもいいです。再度、主題に戻って「あだ名をうまく使えば人間関係の潤滑油になる」としたのが、よい構成です。実際、先生の同級生の「ジャイ子」というあだ名の女の子が、それを逆手にとって仲良くしていたことを思い出しました。
　人を故意に傷つけてはいけませんが、あまり気にしていると表面的な人間関係しか作れませんね。締めが、とてもコッペパン君らしくて、ますますのってます(^^)。