国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   隠れる心理とサングラス   いさせ

『何度かサングラスをかけて街を歩いてみたことがある。もちろん最初のうちは、自分で自分のサングラス姿が気に入って落ち着かないのだが、すれ違う日知日とが誰も気にしていないのを知るにつれ、しだいに或るひそかなある心地よさを味わえるようになるのである。言うまでもなく、単なる自己満足にはすぎないものの、何となく世間から一歩退いて、それらの害及んでこない安全地帯を、ひっそりと歩み去ることができるような気がする。』
 最近自分が知った物に、「マジックミラー」という物がある。よく警察署などにある、表からみるとただの鏡だが、裏から見ると表の人が見える、というあれのことだ。この話はこれに似ている。ただし、表の人が見ることのできるのは、自分自身ではなく、サングラスをかけた他人ではあるが。そうだとしても、視線という人間の多くを語る器官を隠すという行為は、たとえそれそが自己満足であったとしても、かけた人にある種の匿名性を生む。
 では、そもそも匿名性という物は何なのだろうか。辞書から引くと、
 ≪匿名≫本名を隠す、本名を隠す、本名と違う別名で名乗る。
と出た。どうやら匿名性とは、自分が何者なのか、誰なのか、分からなくする意味がある。そしてもう一つ、重要な効果を持つ意味がある。その効果の現れている最たるものが、インターネットだろう。
 インターネットほど匿名性の高く、自分の意見を言える環も、少ないだろう。無数にあるサイトと、本当にそれこそ星の数ほどもありそうな書き込みは、そのほとんど全てが、どこの、誰の書き込みなのか、職業も、年齢も、当然名前も、知ることはできない。そしてその書き込みの多くは、通常、ディスプレイ以外では見ることのできないような内容ばかりだ。つまり匿名性によって透明になった個人は、その個人の本心や本質が露わになる、という意味だ。同じようなことが戦争でも言えるかもしれない。よく戦争映画や小説で「戦争は人間の最も汚い部分でできている。」というような言葉を聞く。これは戦争という特殊で異常な環境が、個人という小さな単位での物事を見えなくしてしまう、という解釈でも間違いないはずだ。これも一種の“匿名性”だ。どうやら人間には生来、時には世間や他人から隠れ、自分本来を出したい、という性質があるようだ。そして、その性質は、隠れた個人を隠すどころか、実は裸にしてしまっているらしい。いや、むしろ裸に、つまり精神的に自分の素でありたい、という心理が、自らを隠す、ということなのかもしれない。
 一昔前であったら、このマジックミラーは今ほど効果が無かったかもしれない。今、人間社会はあまりにも管理の目が広くなっている。他人と接点を持たないなんて不可能だし持たなければいけない。だが同時に、サングラスに限らず、自分を偽る道具も、自分を隠す場所も増えてきた。今では自分の一部をどこかに隠しておくことが当然になってしまっているように思う。それが人間にとって良いことなのか、その逆なのかはまだ解らない。問題は、サングラスをかけて透明になったと感じるのは、自分だけだということだ。そのマジックミラーは、ストレス発散にはなりえるかもしれないが、いくら自分が素であっても、相手と自分に壁があったままでは、人の協調性や利他的な心も見えなくなってしまっているように思う。

   講評   nara

 この話はやはりおもしろい。匿名になることで自分をさらけ出すという一見矛盾した状況が起こっているのが、現代の特徴なのだね。実社会においてはその逆、個々の個人情報が明らかになり管理されていて、自分を出さずにいわば仮面を被りキャラを演じている。ほどほどさがなくなってきているのかな。4月も力作揃い。5月も楽しみにしているよ。

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