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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   固有名詞による管理   PINK

 固有名詞は、言語が社会的なものであることを表している。現代社会では、人やものが固有名詞で呼ばれなければならないことを、子供たちは経験を通して徐々に学んでいく。固有名詞は、人類が決して一つではなく、相互の違いを際立たせ、それを固定させる道具でなのある。人間の名前がその所属を示すように、名前をつけられるということはその領有への主張が背後に滑り込む。こうして固有名詞は政治的な意味をも持つようになった。固有名詞で管理されている現代社会は問題である。
 その原因として考えられるのは、第一に、人間の名前にはその人物の地位や権力を表す固有名詞がつけられてきた歴史的背景が挙げられる。日本に関して言えば、清少納言という人は平安時代に活躍した女性作家・歌人であるが、『清』は姓から、『少納言』は親族の役職からとったと言われている。現代で例えるなら『鳩山総理』という名前で後々語り継がれていくようなものであろう。実際の本人の能力や才能と食い違った名が世に広まっていってしまっては、政治的・社会的立場がそれによって限定されていしまうことに繋がりかねない。そういった流れで現代社会の固有名詞で管理する風潮が出来上がってしまったのかもしれない。
 また、第二の原因として考えられるのは、固有名詞で管理することに頼らざるを得ない現代の社会体制がある。最近、国民共通番号というものを全国的に導入する案が政府内で検討されているとのニュースを耳にした。これはまさしく番号という名の固有名詞を使って国民を完全なる管理下におこうとする政府の考えなのだろう。ただでさえ我々は成長し、社会へ出るに従って数多くの固有名詞を背負って生きているのだ。自分が所属により限定されていくことによって、自由な行動も感覚を味わうこともできなくなっているのは事実であろう。
 確かに、自分の名前、いわば固有名詞で呼ばれるより『そこの君』と呼ばれるほうが嬉しい、という人はあまりいないだろう。自分には保護者がつけてくれた名前という立派な固有名詞をもっているのだから、それを尊重しないのは考え物である。だがしかし、固有名詞とは、私達を縛り付ける道具ではなく、私達の社会的な存在を認めるためのものなのだ。(自作名言)固有名詞によって管理されている現代の社会には問題があるのだ。

   講評   kira

 PINKさん、こんにちは。固有名詞について考えさせられましたね。普通名詞とどう違うものか、普段は意識していません。固有名詞とは「自分は自分であって、それ以外のものではあり得ないと主張される自分は、他方ではどこかに所属している あるいは所属せざるを得ないというこの原理」を示すものであるようです。PINKさんは、このうち社会性をもたせる部分に注目して、それによる管理は問題であるととらえました。一種の権威による支配を危惧したのですね。
 古人はたしかに冠位官職で名を残している人が多いようです。清少納言の例は、女性に固有の名がなかったことを物語るそうですね。たしかに現代でも、社会人は役職名で呼び合うのが通例のようです。
★こう考えると、役職名は固有というより普通名詞のような気がしてきますね。
 二つ目の理由の国民共通番号についても、数字は普通名詞・数詞かと考えられるので、「番号化されていく傾向=固有名詞で呼ばれない社会 は問題である」としたほうが、自然な流れになるような気がします。
 自作名言「固有名詞とは、私達を縛り付ける道具ではなく、私達の社会的な存在を認めるためのものなのだ。」には、前述した固有名詞の二つの性質がうまく内包されています。固有名詞は大切なのに、軽んじられているという論旨でいくとよいのではないでしょうか。

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