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 あこりおさんの読書記録
  あこりおさんの読書記録
 あこりおさんの感想
この世界では、人間みんなが妖精を飼っています。なぜなら、妖精は飼い主のことを褒めてくれるので、飼い主は気持ちがいいからです。この世界には、妖精配給会社という、無料でみんなに妖精を配る会社があります。主人公は、その会社で働いている社員です。社員が、会社の記録を見ていると、妖精がこの世界に存在した理由について、ある妄想に駆られます。そしてその妄想が核心に近づいたとき、何もなかったかのように社員が誤魔化し、物語は唐突に終わります。私は謎が解決しないまま終わる、というこの終わり方がとても印象に残りました。私は、人々が妖精を飼うようになって、文明が衰えていったと思います。なぜなら、妖精は過剰に褒めてくれるので、人々は自分に自信を持って、他の人との関わりが疎かになったからです。そして、褒めてくれるので油断して、それ以上に何かを成し遂げようと思わないからです。私たちは、褒めてもらうことを望みがちですが、この話を読んで、実際は、誉めてもらうばかりでも成長できないなと思いました。