| 学校での釣り |
| キジバト | の | 村 | の広場 |
| 裕史 | / | あめみ | 小6 |
| ぼくの学校の理科室の前に小さいよごれた池があり、ぼくの友達の小野君に |
| よると、その池に小さな鮒がいるそうです。あまりだれもとおらない場所にあ |
| るので、みんなから忘れられています。けれども、何もかもあの節分の日によ |
| って忘れられた池がぼくたちの新たな遊び場となったのです。 |
| それは二月三日の学校の昼休みの後でした。ぼくと小野君は、みんなより一 |
| 足早く入試に受かったので、この節分の日に鬼になって一年生をおどかすのを |
| 手伝ってきました。その後、ぼくたちはへとへとになって一年生の教室から帰 |
| ってきたので、先生が外で休んできてもいいと言いました。ぼくたちは外を歩 |
| いていたら、自然とあの忘れられた池についていました。小野君が持っていた |
| 豆を手に出して、 |
| 「この池に鮒が入ることを証明してあげるよ。」 |
| と、言って豆を二三個池に向かって投げました。初めのころは、 |
| 「こんな池に魚が入るはずが無い。」 |
| と、思ってあきれて見ていましたが、突然 「バシャン!」と、大きな音を |
| 立てて30センチほどの鮒が、一瞬水面に現れて豆をさっと取って消えてしまい |
| ました。ぼくは、思わず |
| 「うわ!」 |
| と、叫んでしまいました。そして、ぼくたちはおもしろくなって五分ほど、 |
| 池に向かって豆を投げていました。すると、小野君が明日手作りの釣り竿を持 |
| ってきて釣りをしようと言いました。ぼくは、 |
| 「学校の池で釣りなんかしていいのだろうか?」 |
| と、思いましたが、 |
| 「どうせ、忘れられた池だから大丈夫だろう。」 |
| と、思いクラスへ帰って行きました。 |
| その次の日に、小野君は言っていたとおりに手作りの釣り竿を持ってきまし |
| た。 |
| 「なかなかやるな。」 |
| と、ぼくは思いました。一時間目の休み時間にぼくたちは、あの池へかけて |
| いきました。ぼくは、 |
| 「釣れるかな?」 |
| と、どきどきしながらそっと釣り糸を入れました。釣り糸には、食パンを丸 |
| めたのを付けなるべく魚のいそうな所へ投げました。一分、二分、三分と時間 |
| がすぎるうちにだんだんと、興奮も無くなってきて、 |
| 「釣れないな...釣れないな。」 |
| と、いらいらしてきました。気がつくと、周りに低学年の子供たちが集まっ |
| てきて、 |
| 「何やっているの?」 |
| と、聞いてきました。ぼくは、 |
| 「釣り!!」 |
| と、一言いました。すると、 |
| 「そんなことやっちゃいけないんだ。」 |
| と、うるさく言ってきました。ぼくは、無視して釣りに集中しました。集中 |
| してから五分後、何となく釣り糸が動いたような気がしたので、糸を巻いてみ |
| ると、 |
| 「うわ!」 |
| いきなり魚がばたばたと上がって来たのでびっくりしました。そして、今ま |
| での集中が一気に吹き飛んでいい気分になりました。 |
| 「魚が釣れたと気っていいもんだな。」 |
| と、思いました。そして、そのころから釣りが好きになるようになりました |
| 。今でも、毎日やりに行きます。 |
| 「それじゃ魚が入なくなってしまうよ。」 |