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| | 12月31日を選んだひいおばあちゃん |
| | エンジュ | の | 森 | の広場
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| | キティ | / | いぬこ | 小4 |
| 12月31日を選んだひいおばあちゃん |
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「あっ!ママ、あと六時間で新年だね。」 |
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「そうね~。いよいよね。もうそろそろ料理ができるから、皆でお風呂に入りなさい。」 |
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「ハーイ!」 |
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私は京太お兄ちゃんと弟の輝といっしょにお風呂に入りました。ゆっくりと今年のアカを流しました。私は、 |
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(気持ちいいお風呂だな~♪優しいパパとママ。たまにはけんかするけど楽しい兄弟たち。あぁ、私はなんて幸せなんだろう!) |
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と思いました。お風呂が終わって応接間に行くと、お寿司がならんでいました。のり巻きに、サーモンがのっているお寿司に卵のお寿司。おせち |
| 料理も負けてはいません。ピカピカのエビにトロトロの豆もおいしそうだぞ!新しいお重に入っているから、なおおいしそう。食べるのがも~うも |
| ったいないぐらい♪♪ |
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「ママ!このおせち料理とお寿司おいしそう!これ本当に今日全部作ったの?」 |
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「そうよ~、大変だったわ。本当は、手伝って欲しいぐらいだったんだけどね。ずーっと今まで何をやっていたの?」 |
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「大みそかだから、部屋を大掃除していたんだ。」 ちょうど紅白歌合戦が、始まっていました。私は氷川きよしと美川憲一の大ファンです。 |
「あっ!氷川きよしが出てる!かわいいよね~いつみても♪」 |
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そう言いながら皆で楽しく紅白を見ている時、突然電話が鳴りました。 「はい、もしもし」 |
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「ああ、マリアちゃん、おばあちゃんよ。」 「あー!おばあちゃん!こんばんは!!」 「…元気、マリアちゃん。―――…あのね、ママいる |
| ?ひいおばあちゃんのことで大事なことがあるの。」 |
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「うん。すぐ代わる。ママー!おばあちゃんがひいおばあちゃんのことで、大事な話があるんだって。」 ママは急に 「何かあったのかな。」 |
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と、真剣な顔をしていました。 「もしもし。…えっ!…ああ、そう・・はい。はい。…」 ママは電話を切ると、急に泣き出してしまいました |
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「どうしたの?何かあったの?」 「ひいおばあちゃんが今日亡くなったんだって。」 さっきまであんなに楽しかった大みそかが、一瞬にして |
| 悲しい日に変わりました。みんないっせいに泣き出してしまいました。 |
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ひいおばあちゃんは十ヵ月以上も骨粗鬆症(こっそしょうしょう)という病気で入院していました。骨粗鬆症(こっそしょうしょう)という病 |
| 気は、骨にえいようがいきわたらなくなってかんたんに折れてしまう病気です。ひいおばあちゃんは、とうとう二〇〇一年二月にふとももの骨を折 |
| ってしまいました。そして入院しました。それで運動もできずにいて、心臓が弱ってきて亡くなってしまったのです。八十三才でした。 私たちは |
| とても遠くに住んでいるのでお見舞いにも行けず、いつもかわいそうだなと思っていました。私は、もし近くに住んでいたなら、一週間に一度はお |
| 花を買ってひいおばあちゃんにあげたかった。けど鹿児島へはなかなか会いに行けません。パパがやっと仕事から帰ってきました。このことを知る |
| と、とても悲しい顔をしました。 |
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私はひいおばあちゃんとは、5才の時以来会っていませんでした。でも私はいつも手紙と絵を描いて送ってあげていました。二人でハイキングに |
| 行った絵や、二人っきりで馬に乗ってお弁当を食べた絵。絵の中ではひいおばあちゃんを少し若く書きました。ママは、喜ぶかもね~といつも言っ |
| ていまいした。でも亡くなる前にもっと会いに行ければ良かった。ひいおばあちゃんは、五十才ぐらいから目があまり良く見えなくなったり、60 |
| 才くらいから背中が曲がってしまったりしました。ひいおばあちゃんは一生の最後の日を、一年の最後の日、十二月三十一日にしたのだと思います |
| 。 この日、どうしても天国行きのエレベーターに乗りたかったのだろうな。私は、死んでしまったらその後、人は天国行きか地獄行きのエレベー |
| ター乗って、天国か地獄にいくのだと思います。ひいおばあちゃんはどうしても十二月三十一日のエレベーターに乗りたかったのでしょう。このエ |
| レベーターに乗れば、上に昇れば昇るほど若くなっていきます。そしてチーン☆と天国に着いたら、カワイイ天使になっているのです。 生きてい |
| る時悪い事をした人たちは、地獄行きのエレベーターに乗せられます。お化けの警察官がちゃんと後ろに付いていて、しっかり見張っているのです |
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今ごろひいおばあちゃんは、十四才の時首のほねをおって亡くなった息子に会っているのかな。あっ!そう言えば、天国って皆天使になっている |
| から、探すのがむずかしいかも。まっ!大丈夫か。自分の息子だものね。 私は今度の夏休み、ママといっしょに鹿児島に行きます。実はこの旅 |
| 行はずっと前から計画していて、ひいおばあちゃんに会えるのを楽しみにしていたのです。私はひいおばあちゃんの大好物のつくだにを、横浜のデ |
| パートで買ってこようと思っています。そしてお墓まいりをして、墓石をきれいにしながら、ひいおばあちゃんに息子に会えたかどうかを聞こうと |
| 思います。夏休みがとっても楽しみです。 |
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