| 親の役目 |
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| くみこ | / | さく | 高1 |
| 親の役目 |
| □ 磯野久美子 |
| 効力感は、これこそ自分のやりたいことだ、と思える活動や達成を選び、そ |
| こでの自己向上が実感されて初めて獲得されるものである。これは自然に生活 |
| の中でのばされていくものである。このとき、能動的に働きかけるのはあくま |
| で子供であり、親が注意すべきことは、まず賞罰によって子供の行動をコント |
| ロールしすぎないことであろう。子供の活動や自己向上が促進されるように環 |
| 境条件を整えてやると共に、子供の内部にある知識や価値基準を明瞭化してや |
| るべきなのだ。 |
| 最近は、どうやって子供をしつけたらよいのか分からない親や、過保護、また |
| はほったらかしの親が多いということだ。しかし、子供は「育てる」ものであ |
| ると同時に、「育つ」ものでもある。親の役目は子供の保護、補助であり、親 |
| は子供の成長を「助ける」と言うことに重きを置くべきだと思う。 |
| そのような方法としては第一に、全く基本的で、当たり前と言えば当たり前 |
| のことなのだが、「自分のやってほしいことは必ずしも子供のやりたいことで |
| はない、と言うことを認識する」と言うことがあげられると思う。お稽古はこ |
| れをしなければダメ、学校はここに入らなければダメ、ママの言うことを聞か |
| なければダメ、と言う具合では子供は意見を主張することをあきらめてしまう |
| ばかりでなく、意見を持つことさえ止めてしまうのではないか。たとえば、私 |
| の友達で、塾に死ぬほど通わされている、いわゆる「教育ママ」を持つ子がい |
| た。その子は、ママの言う通りにしていればきっと大丈夫、とでも言われてい |
| たのか、毎日おとなしくハードスケジュールをこなしていたのだが、ある日ぷ |
| つんと切れてしまったのか、授業中にいきなり泣きだし、「私は学校でも家で |
| もストレスがたまっているんだ」と言い始めたのだった。子供は自分ではなく |
| 、嗜好も興味も違うのだ、と思っていなければならない。 |
| 二つめの方法としては、子供が子供だからこそ考えつくようなことに関して |
| 肯 |
| 的な態度で接すると言うことだ。子供は自分の置かれている状況に対して、 |
| 自分で一番したいことと言うのをいつも持っている。それは常識を持った大人 |
| には奇妙に、そしてばかばかしく映るかも知れない。しかし、それがその子供 |
| の興味なのであり、子供の時でしか体験できないようなことだったりするのだ |
| 。その時に、周りの大人が鼻で笑ったり、その行為を禁止したりしたのでは、 |
| これから育ちはずであった興味の芽をつみ取ってしまうことになる。例えば、 |
| 小さい頃に生き物が好きで、虫を家に持って帰ってきてしまう子が居るかも知 |
| れない。親が「まあ、汚い。」と捨ててしまえばそれまでだが、好きにさせて |
| おけばその子は将来生物学者になることだってあるかもしれないのだ。 |
| 確かに親は子供が産まれたときに「こんな子になってほしい」「こういう風 |
| に育てよう」と言う方針を立てて子育てを開始するかも知れない。しかし、子 |
| 供は一人の人間であり、決してその人生は親にも決定ずけることができるもの |
| ではないのだ。「子供は大人を小さくしたものではなく、それ独自の価値を持 |
| っている。」という言葉もあるように、子供は独自の価値観と価値観を元来持 |
| っているものである。そういう意味で、親は子供の「監督」ではなく、「補助 |
| 役」であるべきなのだ。 |