| 年賀状 | 
| アジサイ | の | 泉 | の広場 | 
| ミッキー | / | けく | 小5 | 
| ある日、五つになる孫坊主からはがきがとどいた。このはがきには、大小さ | 
| まざまな十幾字かが、あふれだしそうに書かれいた。けれど、事務的な印刷さ | 
| れた手紙を、もらった人はぜんぜんうれしくない。手紙の妙味の真骨頂は、一 | 
| 対一で認められるところにあるのだ。 | 
| 私はこの長文を読んで、私がもらっている年賀状は手書きのものだけれど、 | 
| お母さん達の年賀状は、機械で印刷されたものをよく見るな。と思った。 | 
| また、私は「黒田美紀」あてにきた年賀状を見るのも好きである。 | 
| 「わ、いっぱいきてる。でも私あては数枚だあろうな。」 | 
| お正月、郵便ポストに入っている年賀状を取りにきた私は、その枚数におど | 
| ろいた。はがきの束が、ぎゅうぎゅう詰めの電車のようにポストの中を占領し | 
| ている。ありすら、入れずに困っている。 | 
| 「一枚…、二枚三枚…。」 | 
| 「黒田美紀」あての年賀状を求めて数十分。 | 
| 「これだけか。」 | 
| 祖父との年賀状の数を比べてしまった私はため息をついた。 | 
| 「なんで、おじいちゃんの年賀状の数はこんなに多いんだろうな…。」 | 
| けれど、去年の私と比べたらけっこう多い。それだけでも満足しなくちゃ。 | 
| 「みんな上手だな。」 | 
| やっと私あてにきた年賀状を読みはじめた私は友達が書いた年賀状を見てい | 
| た。もちろんみんな手書きだ。個性豊かでおもしろい。けれどその一方で、 | 
| あんなに枚数が多かった祖父にきていた年賀状は、ほとんどが、機械が印刷 | 
| したものだった。 | 
| 私は、正直なところ、祖父はかわいそうだと思う。確かにあんなに枚数は多 | 
| かったが、手書きの年賀状は私の方が多い。機械で印刷されているから、字は | 
| きれいだが見てもおもしろくない。(おとなにとってはおもしろいかな?)そ | 
| れに、手書きの方が個性豊かだ。でも機械で印刷されたものもデザインは違う | 
| 。だから個性はあるのだが、その人の個性がすべて伝わらない。けれど手書き | 
| のものだとその人の個性がすべて伝わらない。ということは、筆者は、さぞう | 
| れしかったのだろうな。孫坊主からのはがき。 | 
| あと、私は一つ心配なことがある。それとは、大人になって私にくる年賀状 | 
| は、全てが機械で印刷されたのものになってしまうのではないかと。今、楽し | 
| みにしている年賀状が、大人になったらつまらないものになってしまうのでは | 
| ないかと。大人になりたくないなあ~。でも、いいや。 | 
| やっぱり私は、手書きのものがいいと思う。それは、その人にしかない個性 | 
| が書かれているからだ。「花より団子」といわれるように、外見より中身だ。 | 
| そして私は何でも、中身がよい方が一番いいということがわかった。 | 
| 私は今、手書きの年賀状を書いている。 |