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暗唱検定
 言語力、記憶力を育てる
 暗唱検定  ●編集  ●原本
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千手観音とて

【7】 千手観音(せんじゅかんのん)とて手(て)が千(せん)御(おん)入(い)り候(そうら)は(わ)ゝ゛(ば)、弓(ゆみ)を取(と)る手(て)に心(こころ)が止(とどま)らば、九(きゅう)百(ひゃく)九十九(きゅうじゅうく)の手(て)は皆(みな)用(よう)に立(た)ち申(もう)す間(ま)敷(じく)。一所(いっしょ)に心(こころ)を止(とど)めぬにより、手(て)が皆(みな)用(よう)に立(た)つなり。
【8】 観音(かんのん)とて身一(みひと)つに千(せん)の手(て)が何(なに)しに有可候(あるべくそろ)。不動(ふどう)智(ち)が開(ひら)け候(そうら)へ(え)ば、身(み)に手(て)が千(せん)有(あ)りても、皆(みな)用(よう)に立(た)つと云(い)ふ(う)事(こと)を、人(ひと)に示(しめ)さんが為(た)めに、作(つく)りたる容(かたち)にて候(そろ)。
 仮令(たとえ)一(いっ)本(ぽん)の木(き)に向(むこ)ふ(う)て、其(その)内(うち)の赤(あか)き葉(は)一(ひと)つを見(み)て居(お)れば、残(のこ)りの葉(は)は見(み)えぬなり。【9】葉(は)ひとつに目(め)をかけずして、一(いっ)本(ぽん)の木(き)に何(なに)心(ごころ)もなく打(う)ち向(むか)ひ(い)候(そうら)へ(え)ば、数多(あまた)の葉(は)残(のこ)らず目(め)に見(み)え候(そろ)、葉(は)一(ひと)つに心(こころ)をとられ候(そうら)は(わ)ゝ゛(ば)、残(のこ)りの葉(は)は見(み)えず。一(ひと)つに心(こころ)を止(とど)めねば、百千(ひゃくせん)の葉(は)みな見(み)え申(もう)し候(そろ)。
 是(これ)を得心(とくしん)したる人(ひと)は、即(すなわ)ち千手(せんじゅ)千(せん)眼(がん)の観音(かんのん)にて候(そろ)。
(不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく) 沢庵(たくあん))